放課後さいころ倶楽部 #18

今月は30p。
内容的にはこの漫画の中では真ん中くらいの面白さでしたが、
個人的には内輪ネタ的な面白さがツボでした。


放課後さいころ倶楽部ゲッサン2014年2月号 p256 中道裕大

アヤ回だった訳ですが、このブログではアヤに対してかなり批判的な事を書いていました。

問題はアヤです。
彼女には「天真爛漫」「妹」という記号はありはしますが、
「妹」は姉のハナとの関係などである程度は描けてるものの、
「天真爛漫」は言い換えると表裏のない性格になるので、
キャラの魅力となりうるギャップを付けた途端、天真爛漫なキャラでは無くなってしまうという欠点があります。
放課後さいころ倶楽部 #15

アヤは以前マチ★アソビでのサイン会では店長と並んで2人しかサインの要望がなく、
大阪のトークショーでも39人中4人と、メインヒロイン3人のうち最も人気が無いキャラでした。
なので、私は引用した画像のページを見た瞬間、どういった対策を講じてくるのか期待が膨らみました。


今回のゲームは『ファウナ』

ファウナ (Fauna) 日本語版 ボードゲーム

ファウナ (Fauna) 日本語版 ボードゲーム

作者はフリーデマン・フリーゼ (Friedemann Friese)。他の代表作に『電力会社』
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個人的にはクイズゲーってのは覚えたらおしまいなので、
何回も遊ぶ事は無いだろうなぁと思ってしまうのですが、2〜3回くらいは楽しめそうですね。
フツーの人よりは動物に関して詳しいとは思うのですが、
漫画内で登場した動物で生息地域が分かるのはアイアイ、ナマケグマ、シーラカンスくらいですし。
(ナマケグマを知ってるのは去年に『ダーウィンが来た!』で放映されたからなんですが)
割と興味あるだけに、仮にこのゲーム買ったとしたら全部覚えようとしてしまいそうで、
そうするとゲームが面白く無くなるという罠に陥りそうw


ブログには書いてませんでしたが、1巻ではミキばかりが勝ってるのはどうかなーと思ってたので、
カタン』回ではミドリ、今回の『ファウナ』でアヤが勝った (ハナもですが) のは一安心。
ボードゲームもゲームの一つなので、どうしてもゲームが強い人、弱い人というのが出てしまいますが、
ゲーム内容が多様であるが故に、ゲームが苦手な人でも何かしら得意なゲームが存在するというのも、
ボードゲームの魅力のうちの一つだと思います。


放課後さいころ倶楽部ゲッサン2014年2月号 p269 中道裕大

で、私が指摘した「天真爛漫なキャラにギャップを付けようとすると、天真爛漫ではなくなる」
という矛盾を、父親が動物カメラマンだから動物に詳しいという、知識の多寡にすり替えることによって、
大人の表情を出せるように工夫。
これなら天真爛漫さを損なわずにギャップが出ますね。正直感心しました。


放課後さいころ倶楽部ゲッサン2014年2月号 p269 中道裕大

父親が動物カメラマンで、アヤの生まれがアフリカだというのは初期設定だと思われます。
ミドリが話してるように、アヤの天真爛漫さを裏付ける良い設定でしょう。
...と、ブログを書いてる途中に中道先生に確認してみましたが、やはり最初から決めてたそうです。
1巻の6-7話、ハナが初登場のシーンなどにも壁に動物の写真が額に入れられてますし、
1話でアヤが「パンツはいてないからスースーする」と言いながら割と平気だったり、


放課後さいころ倶楽部』 1巻 p28-29 中道裕大


世界を旅する人間が言いそうなセリフが出ていたりと、
以前の話でそう言われると納得する場面がけっこう出てるんですよね。
こういう事は中々初期設定として組み込まれてなければ出来ない事ですし、
何より読み返すと新たな発見があるというのは、単行本の満足度が上がるので非常にいいですね。


個人的には、アヤがアフリカ生まれで多少はアフリカにも住んでるという事は、
英語かフランス語、もしくは両方が話せても不思議じゃない所がいいです。

そこで、言葉があまり通じないドイツからの留学生 (女子希望) が来たとかなれば...
個人的に、ボードゲームを扱ってる漫画ですから、
ドイツで地味に売れる可能性を秘めてるんじゃないかと思うんですよね。
なので、ドイツ人が感情移入し易いよう (これも橋渡しです) ドイツ人視点がある方がいいのでは、と。
The Structure of "After School Saicoro Club" #3

残念ながら (?) 、ドイツ語が公用語の国はヨーロッパ以外には無いので、
アフリカのどの国に住んでいてもアヤとハナがドイツ語が喋れる可能性は低そうですが、
ドイツ語圏に住んだ事がある可能性はまだ残ってますし、
そもそも簡単なコミュニケーション程度ならドイツ人相手でも英語でイケそうです。


もう一つ。アヤが動物にやたら詳しい割に飼い猫のさくらに懐かれてないのは一見矛盾しますが、
あくまで図鑑的な知識があるだけで、飼育方法だったりといった知識は無いという事なんでしょう。
...まぁハナにはその知識もあるって訳でもないんでしょうけどw
で、そのさくらですが、ちょくちょく出てきてるのがいいですね。

プラモの小動物的な可愛らしさを2回に1回くらい、1pでいいから入れたらいいんじゃないかと思います。
まぁ無くても作品には問題ないですが、作品の質に比べてファンがそんなに多くない印象があるので少しだけ改善の余地はあると思います。
無論本筋をきっちり演出した上での話ですが。
ゲッサン200911

以前『リンドバーグ』の批評でこう書いたことがありますが、
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2014年2月号 p258 中道裕大

単に白いコマで時間経過を表すよりも、右下のようなコマを入れるだけで全然印象が変わりますねw
このシーン以外でも、ペットフードを食べてるシーン、食べ終わった後の毛づくろい、
ゲーム中に寝て、ミキがアヤに抱きつかれる前にはさくらがミキに抱きつかれてたりと、
人間の行動とシンクロさせてる辺りもほっこりします。


で、その上のミドリがアヤの頬を抓ってるシーン。これもまたいいですね。

私は『ハヤテ』が大好きなので、どうしてもその方向での要望になってしまうのですが、
キャラの多面性を引き出す方向でキャラを動かして欲しいんですよね。
どういう風にかと言うのは以前The Structure of "Hayate the combat butler"で書きましたが、
「ロールプレイ」「カップリング」「ミスディレクション(ミスアンダースタンド)」の3つです。
ゲームを通じて女の子3人と知り合った人が、さらにゲームを通じて別の人間と知り合う。
ここでゲームがキャラの「橋渡し」をする訳ですが、
その際、キャラ毎の対応の違いによって、よりそのキャラを多面的に描く。
放課後さいころ倶楽部』 1巻 p86 中道裕大

今のところ、その辺りが描かれているのは
ミドリ⇔アヤ、ミドリ⇔ミキ (4話冒頭)、田上⇔ミドリ、田上⇔アヤの関係性くらいですが、
キャラの関係性をもっと描けるようになれば、より面白い漫画になるんじゃないかと思います。
幸い、アナログゲームは『人狼』のようにキャラを演じ (ロールプレイ) たり、
仲間 (カップリング) になったり、情報を隠し (ミスアンダースタント) たりといったゲームもありますから、
こういった演出をする題材に事欠かないと思います。
The Structure of "After School Saicoro Club" #3

以前こう書きましたが、



DHA ころクラはようやくメイン3人でカップリングが考えられるようになった気がする。 link


DHA ミドリはミキのことが好きなんだけど、ミキは最初に声をかけてくれたアヤの方がどちらかというと大切。で、ミドリがアヤに意地悪をするとアヤはミキにひっついてしまって、ミドリが嫉妬するという妄想。 link
DHAさんがこういう妄想が出来るのも、キャラ毎の対応の違いがきちんと描かれているからだと思います。 頬を抓ってるシーンだけではなく、蛇の絵を見せる時のミドリのドSっぷりや、 泣き出したアヤをなだめるミキの優しさ。 この3人の関係性だけではなく、 放課後さいころ倶楽部ゲッサン2014年2月号 p257 中道裕大 ハナとマキとの関係性も端的に示していて、この辺りは萌えに繋がるんじゃないかなと感じました。 毎回書いてますけど、基本的にはキャラ萌えしない人なので、あくまで想像ではあるのですが。 で、DHAさんと萌えと言えば、以前アヤの髪型について言及していたのを The Structure of "After School Saicoro Club" #3で引用したのですが、髪にも変化を付けてきました。 とりあえず現行の髪型でいくことを基本に置きつつ、 放課後さいころ倶楽部ゲッサン2014年2月号 p284 中道裕大 風呂あがりでギャップを出してきました。こういうイメチェンはいいですね。 この辺りはアヤ人気をどうやったら上げられるかを探ってる感があって、 個人的には内輪ネタ的な面白さで大笑いしてしまいましたw また、ヘアゴムも髪型の変更とは違いますが効果的に見えます。 以前『バディ!』の記事でもちょこっと書きましたが、アイテムというのはキャラ描写にも繋がりますし。 とまぁアヤの魅力を押し出そうと考えうる限りのアイデアを出しきったとさえ思える回でした。 ただ、


DHA ミドリの負けず嫌いだったり意地悪な面が出てる方が、個人的には面白い。 link
こう感じたのも事実で。キャラ萌えって難しいですねw キャラ萌えで一番惹かれやすいのは照れてる所 (恥ずかしがってるのも含む) だと考えてますが、 そういったシーンがあったのは今回でさえミドリとマキだったというのもあるのかも知れません。

中道先生の描くオッサンは超絶格好良く、ボーイッシュや綺麗な女性も素晴らしいのに、
可愛くしたい女の子がイマイチ可愛らしい感じにならないのは、
放課後さいころ倶楽部』 1巻 p51 中道裕大

オッサンの輪郭はやたらとリアルに描きつつ、
女の子 (と田上) はデフォルメしつつも、丸みがまだ足りないからではないかと。
故に、ネオテニー (neoteny 幼形成熟) 的進化をする必要があるのではないか。
まぁ田上は丸み持たせる必要無いでしょうけども。
念を押しますけど、あくまで仮説です。これが正しいという保証はありません。
The Structure of "After School Saicoro Club" #3

また、以前こう批判しましたが、1巻の画像と今回の画像を比べたら分かるように、
明らかにネオテニーどころかマチュリティ (maturity 成熟) 化してるのにも関わらず、
今の絵の方が大分いいんですよねw
ひょっとしたらJK漫画だから可愛く描こうと最初の頃は意識してたものが、
だんだん地が出てきて、得意な綺麗系に寄ってきたおかげで見栄えも良くなったのかもしれません。
まぁこの辺りは好みの範疇なんで人それぞれでしょうけども。


といった感じで、今回については漫画自体の面白さというよりも、
自分が記事を書いたことが関連する面白さみたいなものが勝った回でしたw
で、さらに今回のゲッサンのアンケートは
ゲッサン2014年2月号 付録はがき

アヤ回でどれだけ効果があったのかを調査する為の『放課後さいころ倶楽部』キャラ投票が。
ゲッサンはアンケートまで面白いとはどういう事だ
上の『え・び・す・こ』の質問もそうですが、結果が知りたいなぁ...