ゲッサンmini プラス5 (ゲッサン201508別冊付録)

ゲッサンmini プラス5 (ゲッサン201508別冊付録) p1

工藤舞先生の表紙でした。
元々見栄えは悪くないのですが、カラーも良いですね。
1匹くらい猫の仕草に動きが欲しかったような気はします。


からかい上手の高木さん
いやー、相変わらず素晴らしい。
『キョーコ』同様、「普段とは違った表情を見せよう」がコンセプト?
からかい上手の高木さんゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p8 山本崇一朗

『キョーコ』とは違って非現実的な設定は使えないので、
余裕がない時というシチュエーションをトリガーにして、素直さを出したのでしょう。
後はオチの前振りをアバンに持ってくるだけ。
構造自体はシンプルですが、キャラの魅力があればこれだけでむしろ十分なんですよねぇ。


レゾンデートルの矛先 工藤舞
★★★☆☆
個人的に『とりかえばや』等の男女入れ替えモノはどうしても苦手ですが、
それを差っ引いても今ひとつ。
男装キャラが女性的な思考をするのは女流作家だから無意識にやったのかもしれませんが、
『レゾンデートルの矛先』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p36 工藤舞

女装キャラが男性らしさを垣間見せるシーンがここくらいなのは正直勿体無い。
(時計が男モノ)
女装キャラの魅力がどう出るかは正直実感出来ないんで分かりませんが、
少なくともボーイッシュな女の子の場合は、男らしさを見せつつも
ふとした瞬間に女性らしさが出る所がギャップとして際立つ良さがあると考えます。
というか、そこを描写しないならこの手の作品描く意味が無いとさえ思います。

文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

別にこの本じゃなくてもいいですが、男女の違いをまず知識として仕入れ、
そこからどういう風にすればキャラの魅力に繋がるかを考える必要があると思われます。


ストーリー的にも、共感は描けているものの、
伏線や意外性に乏しいといった、女流作家にありがちな範囲で収まっているのが残念です。


にじいろ食堂 かとそん
★★★☆☆
相変わらず見栄えの良さは本誌連載陣と比較して遜色ないのですが、
『にじいろ食堂』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p55 かとそん

12pとは言え、ストーリー的には『レゾンデートルの矛先』と
同じ問題を抱えていると見ます。
無理に意外性出そうとすると苦しいかもしれませんが、一捻りする余裕はあるはず。


はぐれの森のバニーちゃん 井上まい
★★★☆☆
明らかに悪い点が無いにも関わらず全体として見ると面白いという所まで行かないんで、
正直コメントするのが難しい作品ですw
『はぐれの森のバニーちゃん』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p85 井上まい

要素だけ見ると、誤解を基にしたコメディあり、きちんとテーマあり、キャラの魅力ありと
しっかり揃ってはいるのですが、
生温い仕上げですし、それが味になっているとも言い難いんじゃないかと。


新説☆日本むかし話 小林安曇
★★★☆☆
ちと甘め。
『新説☆日本むかし話』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p103 小林安曇

「ネタが無い時には昔話」というセオリーがありますが、
正直そんな苦しい時のネタ載せるくらいなら他の作品載せて欲しいですw
微妙な大喜利4本立てではねぇ...


山村君の夢 打江広祐
★★★★☆
ちと辛め。
前2作が猟奇的な作品だったので、いつ殺人事件が起こるのかと戦々恐々としてたら
そんな事は全く無く。
『山村君の夢』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p122 打江広祐

その代わり、キャラが特異なところと意外性があった点は前2作と共通。
違った性質を持つ異常なキャラがかけ合うところに面白味を出せれば、
もう一つレベルアップ出来るような気がします。
それが萌えとまではいかないまでも、キャラにファンが付くようであれば人気も出るのでしょうが。


ジョゴスとあそぼう 美里あづさ
★★★★☆
ちと甘め。
『ジョゴスとあそぼう』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p147 美里あづさ

変身能力をリアル/デフォルメ 両方の味で出せてたり、
いちいち仕草が可愛かったりと、ライトに楽しめます。
セカイを救う必要はありませんが、何かしら設定面で後押しできれば
短期連載くらいなら可能なキャラだとは思います。
可愛らしさを協調するためにも大人びたキャラや老人キャラを出して、
より可愛らしさを強調できるようにする必要はありそうです。


名画はそれを忘れてない 村松まつり
★★★☆☆

若:こっからが迷走ですよね。そっからは自分の読みたい漫画とか、自分の救いになるような漫画しか描かなかったんで、少年誌とかけ離れた感じになってましたね。
若木先生と好き過ぎて語る何か』(同人誌) p28 発行:もう、いーかげんなサークル

若木民喜先生がインタビュー本でこう仰られてました。
『名画はそれを忘れてない』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p154 村松まつり

作者が一番強く願っているのがそこになるので、
どうしても漫画で描きたい、共感して欲しいって事にもなるのでしょう。
mini+3で掲載された『ゆるいのといっしょ』も同じ傾向だったので、ちょっと心配。
『魔女はホウキで空を飛ぶ』 『STUDIO MEN』(同人誌)収録 p34 マツセダイチ

それが例えば富士昴先生やマツセ先生の同人誌のように、
きちんと作品に落とし込められてたら問題ないんですけど。
(そもそも同人誌は「読者が読みたくなる作品描く」という制約から外れてもいいのですが)

若:悩みがある誰かがいて、それをもう一人が慰めてってね。これは今でもみんな描くと思いますよ。同じような状況の人がいたら、何か答えが無いとダメだと思っちゃうんですよね。ストーリー作りたがるんですよ。
b:なるほど。
若:ストーリーなんてホントは要らないんですよ。新人なんて、何かしらマックスの瞬間があればいいんですよ。だってね、最初の『光陽高校合戦絵巻』(若木先生の新コミ入選作品)なんてストーリーは無きにしも非ずだったですし。
(中略)
勢いだけあって、ラストは急にね、引っ越してオチ。
(爆笑)
若:最後の1枚で突然終わっちゃうって話で。あれでいいんですよ。
も:内容は無いけど面白い。
若木先生と好き過ぎて語る何か』(同人誌) p28-29 発行:もう、いーかげんなサークル

まずはマックスの瞬間を出せるものは何か、長所は何かを模索する段階だと思うので、
32pやるよりは8p,12pくらいに自分の力をどれだけ注ぎ込めるかを試した方がいいのかもしれません。


起きて下さい森野さん 神奈
★★★★☆
そして、村松先生が試した方がいいと思う作品が正にコレ。
『起きて下さい森野さん』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p184 神奈

ストーリーが無きにしも非ず、という訳ではありませんが、
一つのシチュエーションに限定し、きちんとキャラの魅力を引き出せていると思います。
線が太い所も味わいがあっていいんじゃないでしょうか。
B6小版になると若干描き込み過多になっているという事も分かったでしょうし、
これだけ描けるんなら次は32pで描いて欲しいですね。