レジチョイサーよしえ (読切)

★★★★★
『レジチョイサーよしえ』 週刊少年サンデー 2013年24号 p401-402 福井セイ


サンデー本誌に載る読切って微妙なのがかなり多いんですが、
葛城一先生の『セーラー服を纏った教祖様』以来の当たりが久々に来たんじゃないでしょうか。
しかもギャグで。
ギャグの読切で面白かったというと、個人的にはクリスタルな洋介先生の『ミスマッチ!』以来...
6年振りですか。
まぁ本誌にあんまり読切が載らないって事もあるんですけどね。


福井セイ先生は、この作品がデビュー作。
恐らく第71回新人コミック大賞を『右玉』で入選した福井幸聖先生だと思われます。
受賞の時点で京都清華大学ストーリーマンガコース4年生だったようです。


パターン的にはそんなに斬新という訳ではありません。
他にもあるでしょうが、パッと思いついたのはクラサンに掲載された時にブログで絶賛した
浦山慎也先生の『改札王』が似たようなパターンだと言えるでしょう。
『改札王』 p4 浦山慎也

改札機の両方から走って、どちらが先に券を入れてゲートを開けるか。ただそれだけの漫画でしたw
『改札王』は16pしかなく、割と詰め込んだ印象があったので、
ギャグとは言え、キャラを重要視すると36pくらいは必要なのかもしれません。


浦山慎也先生は基本的にストーリー漫画描く作家さんで、
サンデーSで連載を取った『WONDERLAND MUSEUM』はSFでした。
『WONDERLAND MUSEUM』は確かに序盤躓いた感のある作品でしたが、
打ち切りになった最大の原因は恐らく絵の見栄えだったと思われます。
その辺りを考えると、受賞作が青年誌っぽいストーリー漫画だった福井先生がギャグ漫画を描いたのは、
現時点ではギャグ以外では絵柄からして厳しい、という編集の判断があったと推測します。


レジチョイスという目の付け所もいいですが、ギャグがテンポ良く、ボケツッコミも気持ちいいです。
『レジチョイサーよしえ』 週刊少年サンデー 2013年24号 p404 福井セイ

『超推脳 KEI』と似たような事やってるんですが、それがきっちり面白さに繋がってるんですよね。
このようなロジックに説得力があると言われると微妙ですが、馬鹿馬鹿しいため変に納得力があります。


その上きっちり伏線張って起承転結に結びつける。
『レジチョイサーよしえ』 週刊少年サンデー 2013年24号 p426-427 福井セイ


ヒロインの女の子がdisられたことを伏線にし、意外性と達成感をきっちり出せているんじゃないかと。
ギャグのみで勝負するのではなく、漫画の構成もしっかりしてて非常に好感が持てます。
あと個人的にはあんまり関係ないんですが、絵が見栄えしない割にヒロインが多少マシなのもポイント。
サンデーで連載取ってない新人さんは他におたみ先生くらいしかいませんが、
おたみ先生はヒロイン描けない点がネックになってる印象があるんですよね。


クラサン基準では文句無しの★5つ。
読切としては及第点以上の出来栄えですが、やはり心配なのが読切向きな作品だという事ですね。
人間は一日で30,000回判断をするという話があるくらい、判断する動物なので、
レジ以外でもチョイスするネタはあるでしょうけど、マンネリになるのは目に見えてます。
その辺りをどう克服できるかが鍵でしょう。
とは言え基礎はしっかりしてますし、受賞作はギャグ漫画では無かったので、
ギャグ以外の要素も入れられるでしょうし、マンネリを回避できる実力はあるように思えます。
ただ、経緯からしてギャグ漫画をやらされてる感が多少あるので、ストーリーに戻りたいのならば、
絵の見栄えの向上は必須でしょう。絵自体が下手という訳ではなさそうですし。


最後に。
レジチョイサーを目指す人は、かごの中の商品をなるべくバーコードが上になるように入れるといいよ!
これだけで1商品につき0.5秒くらい短縮になりますから。