ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン201501別冊付録)


井上まい先生の表紙でした。カラー結構いいですね。


からかい上手の高木さん
個人的には今までで一番の面白さ。
からかい上手の高木さんゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p5 山本崇一朗

この時点で大笑い。
間抜けた所がキャラクターとしての西片くんの良い所ですが、
それを最大限引き出す為に、対極にあるダンディになりきろうとしてギャップを出す。
構造的にはこういう事なんでしょう。
やっぱロールプレイ大事だなぁ。パターンと言えばパターンなのですが。


からかい上手の高木さんゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p13 山本崇一朗

立場が入れ替わっているのもいいですねぇ。
ダンディさを崩すための脇腹攻撃をそのままズドンに置き換える辺りもいいです。
そしてズドンの天丼具合もちょうどいい感じ。
この漫画の一番の肝は高木さんの可愛らしさですが、
高木さんの可愛らしさもダンディとは別の対極にあるもの。
コメディの質も相変わらず素晴らしいんじゃないでしょうか。


こはる日和 井上まい
★★★★★
この読切を読んで、誰しも思うであろうことは『よつばと!』っぽいって事でしょうなぁw
ジャンボが主人公というか。
『こはる日和』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p23 井上まい

女の子・はるこをちゃんと可愛く描けてますし、
主人公の雌伏している状況が、漫画家としての作者の状況とリンクしている為か、
共感できるようにもなっているんじゃないかと。
男性がこういう漫画を描くと、どうしてもモラトリアムな方向に行きそうなんですが。


オチが弱いのがちと残念。
初対面のシーンを最後に持ってくる構成にして、多少はカバーできてはいると思います。


結べ!大和愛! 藤井ゆづる
★★★☆☆
『結べ!大和愛!』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p83 藤井ゆづる

前作『食糧事情』に比べて絵の見栄えは良くなってますが、
よくある設定、読めるオチ、イマイチなギャグ、インパクトを出そうとして失敗しているキャラと、
正直もひとつ。
唯一マトモなのはキャラの成長が描けてる事かなぁ。


読者とどう駆け引きをするかという視点が欲しいところ。
以前miniで『魔法少女マッスル♡マミ♡』という読切がありましたが、
アレよりインパクトの無いキャラってのはねぇ。ギャグ漫画なのに。
あの作品も決して褒められた内容では無かったんですけど。
何にせよ、このパターンのキャラなら萌えと萎えの境界線で攻めて欲しいですね。


HERO ACTOR 小林安曇
★★★★★
ずっと作家名を小泉八雲と書いてたという...ラフカディオ・ハーンじゃねーかw
すいません。修正しました。


こちらの読切もよくある設定で、オチがもひとつなのは共通しているのですが。
『HERO ACTOR』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p96 小林安曇

4コマ目の「千円」がスベっているのはともかく、
ヒーロー斯くあるべきという説明が伏線として機能しつつ、
ヒーローショーのお約束が漫画の構造とマッチしている...
このブログで言うところの「メタ的」な構造がハマっていて、
絶体絶命のピンチに颯爽と現れるところが、主人公の愚直さと相まって漫画の面白さに結びつきながら、
「そんなギリギリまで待たんでも」というツッコミさえも封じる手段にもなっています。


『HERO ACTOR』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p114 小林安曇

バトルも意外性に配慮して、ちゃんと面白く。
細かい所を言うと、ドリフトした時の車輪の角度が気に入らなかったりもするのですけども。


TPOを弁えないのが主人公のキャラなのですから、
ヒーロー然とすべきではない状況でやらかすオチで締めて欲しかったですね。
具体的にどういう場合かは考えてませんけども。(適当)
とは言え、「このキャラならこうすべき」と言えるほど主人公キャラが立っているのは、
受賞作『退役軍用犬ガルド』の焼き直しだったのが原因の一つかも。


酒の肴ストーリー 麻貴早人
★★★★★
今まではあと一歩な印象でしたが、この作品は素晴らしい。
『酒の肴ストーリー』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p125 麻貴早人

導入でホラ話だと印象付けておいての
『酒の肴ストーリー』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p140 麻貴早人

このオチ。
そういや「全然飲んでないのは何でか」という話だったなw

個人的な話になりますが、大昔に『シムアース』というゲームがありまして。
ファンタジーの世界を構築するといった話を作りたいなぁと考えてたのですが、
ある意味逆のシナリオですなぁ。
そんな妄想をしていた事のある人間にとって、この話がツボでない訳がなく。
ゲッサン201411

以前『ひとりぼっちの地球侵略』の記事でこう書いたように、
『酒の肴ストーリー』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p137 麻貴早人

今回の話もやはりツボ。しかも多様性に配慮してるとなれば楽しくない訳がなく。
イカしたフォルムのタコな小ネタも利いてますし。
ファンタジーな話をしている最中にリアルな話をポツンと入れつつ、
そこで笑いも取れるというのは、漫画のテンポを考えると非常にいいですね。


評価は一応クラサンレベルで上限の★5にしてますが、心情的には★7付けたいです。
とても17pとは思えないクオリティでした。
どうでもいい事ですが、ページ数表示できない微妙な余白には何か意味あるんですかね?w


しろくろ模様 かとそん
★★★★☆
『しろくろ模様』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p150 かとそん

ありがちな設定、ありがちな展開、ありがちなオチ、成長は描けているという意味では、
『結べ!大和愛!』とほぼ同じ。キャラ描写自体は悪くないのですけども。
ただまー前作はストーリーがあって無きが如しだったので、習作としてはアリかなぁと。
絵の見栄えは連載陣に混じっても遜色ないので、何とか頑張って欲しいんですけども。
市松模様が好きなのなら、タイトルやデザインに採り入れるだけではなくて、
対比として縞模様のキャラを使うとか、
除霊なら設定の何かに模様を組み込むとか、何かしら工夫する余地はあると思うんですよね。
そして、そこがオリジナリティに繋がっていく訳ですよ。


ふたりの日曜日 吉川皓也
★☆☆☆☆
ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p176

吉川皓也
東北芸術工科大学 文芸学科 3回生
第53回 GET THE SUN 新人賞 『花は夕暮れ』 佳作

脳直で「IKKIに行け」と言いたくなるような作風。
リニューアルして『ヒバナ』になるらしいですけども...
『ふたりの日曜日』 ゲッサンmini プラス2 (ゲッサン2015年1月号別冊付録) p178 吉川皓也

見事に元の意味での「やおい
つげ義春先生の作品は読んだことないので分からないのですが、
こういう感じなんですかね? 少なくとも絵柄はそれっぽいですけども。


あえて漫画のセオリーを外しているのならそれなりに評価はしたいのですが、
セオリーを知らず、見よう見まねで描いているようにしか思えないんですよねぇ...
日常を切り取るだけではドラマにならんのではないかと。