ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502別冊付録)

ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p1

花城黒和先生の表紙でした。
現時点でも十分見栄えしますねぇ。


top-secret 花城黒和
★★★★★
ベッタベタな双子ネタですが、
『top-secret』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p21 花城黒和

ネタばらしする前にあえて双子であることをバラし、
「姉が優等生、妹が殺し屋」という話が嘘か本当かの二者択一だとミスリードして、
『top-secret』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p41 花城黒和

オチに繋げる。
若干ヒネることで、読者ときつちり駆け引きが出来ていると思います。
課題の一つであったキャラ描写も 優等生−殺し屋−素のJC のギャップで魅力を出せてますし、
もう一つの課題であった読みづらさも問題ないレベルに。
イキナリ連載は少し荷が重いかもしれませんが、短期連載なら挑戦してみても良さそうです。
若干纏まり過ぎてるような気もしますが、新人が一度は通る道なので。


侵略未満2 中原開平
★★★☆☆
2014年12月号に掲載された『侵略未満』のまさかの続編。

中原先生のウリと言えば何といっても意外性ですが、
サスペンスにすると弱点であるキャラの魅力を描くのがさらに難しくなるので、
コメディ成分を混ぜるというのは正解なのかもしれません。
とは言え、この作品でキャラのファンになる読者がどれほどいるか?と考えると微妙な所ですけども。
ゲッサン201412

その時にこう書いたんですが、意外とキャラ人気したのかなぁw

何にせよファンタジー路線でいくとしたら、リアルだとどういう事になるのかをきちんと考え、
リアルでできない事をどうファンタジーな設定で埋めていくか?という作業が必要になってくると思います。
サンデーS 201201

以前『太陽のポスティーノ』という山地ひでのり先生の読切をこう批評しました。
「細けぇ事はいいんだよ!」と言いたい所ですが、
ことSF、ファンタジーだとディテールの妙なリアリティがあってこそ、
大きな所に目を瞑ることが出来るものだと思うんですよね。
ここは一般的な見方ではないかもしれませんが。


『侵略未満』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p53 中原開平

このシーンはファンタジーの世界でもちゃんと物理法則に則っている、という描写にもなっています。
ただ、あれだけ大量に水が溢れ出たにも関わらず、プールの水位が全く下がっていない
ってのはねぇ...
『侵略未満』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p56 中原開平

この状況を作りたかったってのは分かるんですけども。
水を逆流させるような魔法があれば問題は解決しますし、
プールの水位が不自然に下降した後に上昇したとなれば、
優介がプールに飛び込む動機にもなるのですが。


子どもが怪物化して飛び込むシーンは絵的にインパクトあったんですが、
企みが筒抜けだったことが、飛び込むシーンのネタばらしになっているのが勿体無いです。
筒抜けだった事自体は面白いんですけども。
優介が担当している子どもが怪物化しているのを見て、
「アレってちゃんと元に戻るんだろうな?」とシールドに確認することで子どもから目線を逸らさせ、
飛び込んだ瞬間に全員が怪物化している事に気づき、筒抜けだった事がバレる...
という構成なら、もう少しインパクトが出たと思います。


姉妹幻影 打江広祐
★★★★★

あとまーデータベースは正直微妙かなぁ...
ゲッサンmini マイナス1 (ゲッサン201409 別冊付録)

マイナス1でこう批判しましたが、
ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p78

今回は「所見」に。
コメントの内容は2つとも割とがっかりなものでしたが、
何もないってのも寂しいですし、自由に書かせるしか無いでしょう。

打江広祐
第61回(2014年8月号)GET THE SUN 新人賞 『スペースシアター』佳作

今作品が打江先生のデビュー作でしょう。少なくともゲッサンでは初掲載。


内容的には素晴らしい。
『姉妹幻影』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p84,104 打江広祐


全く同じセリフを妹と姉、別の視点から見ても全く同じ内容に見える...
相手が殺人鬼に見えるように揃えています。
個人的にザッピング的なストーリーは大好物なのですが、
情報を小出しにする事で互いの視点の違いを明確にし、ミスリードさせ、
意外性を出して面白さにきちんと繋げられているのではないかと。
まぁこの辺りはセオリーなんですけども。


セオリーからすれば、妹が殺人の時の記憶が失われているように、
姉も遺体を処理している時の記憶が失われるなりして、
どちらが殺人をしているのか分からないようにするのでしょうけど、
あえて明確な解答を出すのも悪くはないと思います。
ただ、解答を出すならもう一捻り、一旦どっちが正しいか分からなくさせておく手もあったかも。
前半と後半の相似を崩してしまう欠点はありますけども。


絵の見栄えは若干微妙ですが、それがかえって作風にマッチしているように見えます。
★5付けましたが、心情的には★6.5。


バッタになってしまった 晴十ナツメグ
★★★★☆
ちと甘め。
現在、月刊誌『電撃大王』にて『カイダンにっき』連載中。
それもあってか、前作『貸本月歩堂』のような描き込み過剰な傾向は見られず。


『バッタになってしまった』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p116 晴十ナツメグ

話自体はバッタというよりベタですが、それ故に纏まりもあったとは思います。


で、このパターンの漫画の時には毎回書くのですが、
(例えばmini6号の『魔法少女マッスル♡マミ♡ 』)
いかに萌えと萎えとの境界線でせめぎ合うか。
「このキャラ萌えるんだけど、バッタだぜ? バッタに萌えるん?」
といったジレンマがこの手の漫画の面白さだと考えています。
その為には、まず先に萌えさせる事が重要です。
『バッタになってしまった』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p140 晴十ナツメグ

もちろん、眼鏡外したら実は美人として意外性を出すパターンもありますけど、
これが出来るのは眼中に無かったキャラだけです。先に萎えがあると成立し辛いです。
中盤には萌えを惹起させるようなシチュエーションはあれど、
仕草などに萌え要素がほぼ無いので、この点も不満。
まぁ萌え萎えよりギャグ・コメディ優先した結果こうなったのかも知れませんけど、
そっちに寄せるならよりシュールなギャグ、リアルなバッタ的な何かがあっても良かったのでは。
まぁ萌え萎え路線ならマイナスじゃなくてプラス掲載だよなぁと思わなくもないですがねw


重箱の隅ですが、
『バッタになってしまった』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p136-137 晴十ナツメグ

ジャンプしている時には左手で持っているのに、投げる時は何故か右手で投げてます。
そもそも、ボール持つ時に手の平はこんな角度にはならんと思いますね...w
恐らく、コマの中でどう見栄えを良くするかだけを考えるからこういう事になるんでしょう。
知識のないものを想像で描いちゃうと、間違いなくボロが出るって事なんでしょうなぁ。


吸血女子 藤井ゆずる
★★★★☆
見栄えは地味に良化中。
『吸血女子』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p144 藤井ゆずる

6pという事もあり、テンポが良かったと思います。
暫くはショートか4コマで修行した方が良いのかも。


スウィートスウィートミルキィ 得津宏太
★★★★★
客観的にみれば★4くらいでしょうけども。
『スウィートスウィートミルキィ』 ゲッサンmini マイナス2 (ゲッサン201502 別冊付録) p155 得津宏太

母親のもとに彼女を連れて行く。
ただそれだけの話なのに、馬鹿馬鹿しいストーリー展開で気楽に読めます。
一番の面白さはジジババのキャラかもしれません。
前2作は正直もひとつ感ありましたが、
ある程度ページ数あった方がいいタイプなのかもしれません。