ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録)

ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p1

麻貴早人先生の表紙でした。気持ち悪い感じが出てていいですね。


ハッピーワールド 麻貴早人
★★★★★
素晴らしい。
ハッピーワールドゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p5 麻貴早人

「死後の世界」が有るか無いかの二択を提示しておいて、
そこから天国の有る無しへと微妙にミスリード
ハッピーワールドゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p28 麻貴早人

そして最後のオチ。何が素晴らしいって、
基本的には読者に期待させておいて、叶えるか、裏切って意外性を出すかの二択になるんですが、
読者に弟が助かるように期待させておいて、望むような展開をしつつも意外性がある
しかも読み返して矛盾が無い。


こういう変化球を毎回投げようとすると苦しくなりますが、
決め球としては効果的。パターンの幅が広がったんじゃないでしょうか。


○ 聖船のラー
本誌掲載分は微妙でしたが、#5.6.8はまーまー。
『聖船のラー』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p5 繭住翔太

#7は全編笑えました。よくこんなん思いつくなぁ...


ドールフレンド 栗田あぐり
★★★☆☆
個人的にマガジンっぽいこの絵柄は好みではないんですが、
客観的に見れば全く問題なく。連載経験あるんで当然と言えば当然なんですけども。
『ドールフレンド』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p73 栗田あぐり

ただ、どーも面白くない。
何故面白くないのかイマイチ確信が持ててないのですが、
意外性の出し方にその一因があるように思います。
カモメが親父を殺したかもしれないとミスリードさせている事自体は問題ないのですが、
葬式まであげた親父が実は生きていた、って所はミスリードでもなんでもないんですよねぇ。
『ドールフレンド』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p48 栗田あぐり

この段階で「お前が望むように尽くしてくれる筈だ」とでも言っておけば、
カモメの言われた事を馬鹿正直にするキャラクターと相まって、
親父の意図をミスリードさせることができ、ひいては意外性にも繋がったんじゃないかと。


ヒロインも若干問題で、
ロボット(もしくはアンドロイド)だからマシンだから主人公の意見を唯々諾々と受け入れるのかと思いきや、
空気を読もうとしたり主人でもない人間の意見を採り入れたりと、どうも人間臭いんですよねぇ。


とは言え、手直しすればマシにはなるでしょうけど、面白い所までは行かないでしょう。
結局のところ読者が「孫と爺さんが仲直りする話」を読みたいのか?
という点に尽きるかもしれません。
爺さんがイケメンでBL展開だったらそこに喰い付く人もいるでしょうけど。


乙女のまにまに地球は回る 井上まい
★★★☆☆
『乙女のまにまに地球は回る』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p89 井上まい

『ハカットロボセ』『こはる日和』とストーリー重視の2作品を出した後は、
前作『エスパー牧』同様の短編。
見事に元の意味で「やおい」ですが、ストーリー書ける人なんでキャラ重視の習作なんでしょうか。
キャラの回し方は割とよく出来てると思います。


探し屋物語 花城黒和
★★★★★
ちと甘め。


入れたいテーマやシチュエーションが山ほどあって、てんこ盛りにしたかの内容。
下手したら20pくらい削ってコレなのかもw
どこを切るか?という判断は作家よりもむしろ編集者にありそうですし、
実験的なことやれるminiだしとりあえず全部載せてみようってのはアリだと思います。
そういう意図があって52pあるのかどうかは知りませんが。
個人的には拳銃を撃つ辺りの8pは削れるかなぁと。


『探し屋物語』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p143 花城黒和

『ドールフレンド』でも似たような面があるんですが、
達成感はキャラの願いがどれだけ切実かを描写し、読者に共感を与えた後でないと
効果的には与えられないと思うんですよね。
『探し屋物語』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p126 花城黒和

どちらの読切も、本当の願いがあると示唆するようなシーンはあるので、
まだいいんですが、『探し屋物語』はコレで本当の願いが何か読み取るのはちょっと無理かなぁ。


花の種はラストの一押しって事なんでしょうけど、死ぬ前に渡しとけよと若干ツッコミたくなりますし、
「自分は変わらないのに周りは何もかも変わってしまって……」と言わせるなら、
最後の思い出のシーンでその辺りを描いて欲しかった。
例えば、当時は花畑のあるビルが近辺で一番高かったとかならば、
時代の移り変わりを描けますし、そこが目印になるから出会う事が必然だった感も出ますし。
この辺りはあまり漫画の面白さには関係ないですけど。


『探し屋物語』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p114 花城黒和

とは言え、キャラの個性と世界観は素晴らしいんで、後もう一押しという感じはします。


畢竟石 彦
★★★★★
『畢竟石』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p162 彦

タチキリが微妙に作者の想定と違ってた感じですが、
投稿用のサイズとmini掲載のサイズとは微妙に違いがあるのかなぁ。
それにしてもこの気持ち悪さは素晴らしい。


魂を移転させても身体の調子は変わらない訳で、寿命が延びる訳でも無さそうなのになぁ、
むしろ母親の魂を吸い取って元気な人間に移した方が良くね?とは正直思うのですが、
そういう設定ですからたぶんいいんでしょう。
母親に別の人間の魂入れてもそれは母親なのか?と思うんですけど、
この辺りは主人公の頭が悪いって事で全て解決。
と言うか、母親に蛙の魂入れて後1回しか石使えない、という時点で詰んでますねw
この段階で母親の魂どこ行ったんだろうってのは若干気になりますが。
逆に、蛙って意外と寿命長いんだなぁと。


リアリティのある方向へ行くとたちまちボロが出そうなので、
なるべくファンタジーな方向で頑張った方が良さそうです。
絵柄も気持ち悪くありつつ見やすいので、この個性は大事にして欲しい。