ゲッサン201406 #2
今月号のニュース・企画等については#1参照。
第13保健室
2014年3月号に掲載された『毎日が保健室』が連載化。
『第13保健室』 ゲッサン2014年6月号 p45 あおやぎ孝夫
読切とは違い、着せ替え型のキャラを主人公にしたようです。
この二人は『エルパラ』の日向、桜花と似たような外見ですが、作者好きなんですかね?w
メインヒロインくらいは作者の好みでいいとは思います。
あざとい記号のキャラもいる辺り、個人的には何だかなぁ感もあるのですが、
それを含めて多様性ってのは重要なのかしれません。
せめて仕草とシチュエーションに気を使うようであれば、個人的な好みはともかくとして、
そこそこ人気は出るとは思うのですが、正直その辺りも不安です。
ゲッサン201405
先月号でこう書きました。一応仕草というか接触プレイはあったのですが、
これでキャラにファンが付くのかと言われるとうーん...
絵自体は個人的にものすごく好みなんですけども、その割にはピンと来ません。
まぁスタートダッシュを決めるような漫画ではないので、
ストーリーでいかにキャラへとファンを付けられるかなんでしょう。
ただまー人気が出そうな予感は全くしないんですけどね。
◎ ひとりぼっちの地球侵略
日常のほわほわしたシーンが小川先生の魅力の一つだと思いますが、
市原編集長が以前新井隆宏先生を
「男の子というか、男性二人のキャラクターの愛憎劇がとても上手い先生で」
と評していましたけど、小川先生も同性の愛憎を描くのが得意な作家さんではないかと。
いやまぁ異性の愛憎も描けるのでしょうけどね。
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2014年6月号 p58 小川麻衣子
そして、日常モードを一変させるこのセリフ。
メリハリを出す為には違うパターンを単に出してけばいいって訳ではないんでしょうなぁ。
◎ ふだつきのキョーコちゃん
やはり日々野さんが出る、出ないの問題では無かったようですw
『ふだつきのキョーコちゃん』 ゲッサン2014年6月号 p118 山本崇一朗
最後はめでたし、めでたしできっちり締めてくれました。
で、話を作る立場になると、最初から気が合って仲良くなったでは面白くも何ともないので、
そこに枷を作って一悶着起こすという事になるのでしょうが、
『ふだつきのキョーコちゃん』 ゲッサン2014年6月号 p92 山本崇一朗
それを外す過程がいいですね。
ケンジとひかりとの仲介を頼むことによってコミュニケーションの機会を作り、
ツンデレな描写へと繋げていく。前半は課題が残りましたが、後半はほぼ完璧じゃないでしょうか。
そして、元々動きには課題のある作家さんだったのですが、この蹴りはきっちり決まってます。
『ネコのオッサン』 p4 山本崇一朗
新コミ受賞時はコレでしたからねぇ。ちなみにこの作品、このリンクから今でも読めます。
下の画像がネコパンチになっている理由は、体幹を意識してないことと、パンチが伸びきってる所。
ぶっちゃけ1巻収録分でガキんちょ抱えてるシーンも微妙だったんで、
キョーコが空手部に入る展開になれば、動きが微妙という課題が露わになりそうで不安だったんですが、
この調子なら問題なくやれそうですね。本人曰く「アクションは未だに苦手」らしいですけど。
○ 月曜日は2限から
ラブコメ成分増量で個人的な琴線に触れるようになってきました。
特に咲野と居村との間で愛だの恋だの全く言わず、
漂う空気感だけで通じ合ってる様を描いているのがいいですね。幼馴染という感じがします。
◎ 信長協奏曲
オリジナル設定で俄然面白く。最初からコレをやりたかったと言うよりは、
人気あるからもうちょっと引き伸ばしましょうという風に思えてしまいますがw
まー面白ければ何でもいいです。
逆にアニメやドラマじゃどういう結末にするんでしょうね。
◎ ハレルヤオーバードライブ!
まず、1コマ目の麗がエロい。
『ハレルヤオーバードライブ!』 ゲッサン2014年6月号 p221 高田康太郎
でもって内容も素晴らしい。
能力主義という点では浅緋と冬夜の兄弟は共通してますが、
『希望』がきっかけとなって袂を分かつことになりました。こちらも愛憎ですねw
『ハレルヤオーバードライブ!』 ゲッサン2014年6月号 p243 高田康太郎
小雨の誘いでかつて憧れていた兄弟の共演をすることで、冬夜は昔の想いが再燃することに。
冬夜の実力が付いたことで、少なくとも浅緋からすれば冬夜をバンドに入れるハードルは
なくなりました。さてどうなるか...といったところ。
ウニ子 (若葉) が鍵となる展開になりそうです。
◎ あやしや
この漫画のヒロインは咲だと思っているのですが、すっかり影が薄く...
キャラ人気投票の影響でもあるのかなぁ。何とか扉で出番を貰えてますが。
陰謀渦巻く展開でワクワクします。
『あやしや』 ゲッサン2014年6月号 p277 坂ノ睦
こういう展開だと、天才キャラがいる場合は特にご都合主義に陥りがちなんですが、
どの情報を誰が持っているかをきちんと整理しているからのでしょうか、
ロジックが非常に説得力があります。
その上、誰が何を目指しているかも明確で、各キャラの思惑が異なるが故に陰謀が渦巻く。
東雲副長なんてたった3コマで何を目指してるのか表現しちゃってますしねw
◎ ちろり
ありがちと言えばありがちかもしれませんが、いいものはいいんです。
1話目はともかく、そもそも奇を衒う漫画じゃないですし。
『ちろり』 ゲッサン2014年6月号 p302 小山愛子
共感を喚び起こすような描写は、誰にでも感じること。よくある話ですし。
問題はそこにどう色を付けるか。
僅かな時間、ちょっとした思いつき、小さな冒険、ふとした景色、囁かな会話、かすかな幸せ。
『ちろり』 ゲッサン2014年6月号 p308 小山愛子
そこにほんのり茶目っ気を。
編集者さんが考えたんでしょうが、アオリもいいですね。
◎ VANILLA FICTION
相変わらずメタ的。
2014年3月号の記事で書いたような、「キャラ自身にキャラへの興味を持たせる設定」ではありませんが、
「ゲームも人間もどうでもいい」と言っていた太宰が、事態の収拾に積極的になる。
構造的には、枷を外す行為をキャラ自身が積極的に動く、という意味では類似しています。
これだけだと、単にお話を進めやすくなるだけに過ぎないのですが、
『VANILLA FICTION』 ゲッサン2014年6月号 p398 大須賀めぐみ
それを「友達ごっこ」という表現にする。
友達関係には互酬性が伴うものですが、太宰が一方的に望んでいるだけであり、
実際に友達関係になった経験も無いのでそうとは言い切れず。
かつては「ゲームも人間もどうでもいい」と考えていたことをも包摂し、
太宰に常識的な感情が欠落しているが故の、友情に対する切ない憧憬を端的に表せてると思います。
○ くちびるに歌を
ようやくラストに盛り上がるシーンが。
いい話ではあるのでしょうけど、正直言ってあまりコミカライズ向きの作品では無かったのでは。
だからやるべきではなかっとは言いませんけども。
小説や映画の場合は、一本のストーリーで盛り上がりどころが一つだけでも成立しますが、
漫画だと一部の例外を除いて連載形式になるので、どうしてもメリハリに欠ける印象を受けます。
残り3回らしいですけど、逆にラスト3回を読みおわってから全巻揃える人もいそうではあります。
確か映画化される筈ですが、まだ公開未定なので時期を合わせている訳ではないみたいですね。
◎ アオイホノオ
サイコー。
『アオイホノオ』 ゲッサン2014年6月号 p445 島本和彦
ドラマ化が決定したのに、いやむしろ決定したからこそ描く。ケレン味爆発ですなw
私も映画『逆境ナイン』を見る前は4コマ目のホノオと同じ考えだったんですが、
ちゃんと分かってる人が作れば、ハードルさえ高くしてなければ割と楽しめると分かったので、
『アオイホノオ』も同じスタンスで、あまり期待せずに待つことにします。
内容も、編集者が作品にどのような影響を与えているのか?について個人的に関心があるので、
非常に興味深く読ませてもらいました。
『アオイホノオ』 ゲッサン2014年6月号 p471 島本和彦
まずは一般的にはどうでもいいと思われるシーン。
サンデーSで森多ヒロ先生など、何度かペンネームではなく本名が掲載されることがあったんですが、
恐らくこれが原因なんでしょうね。
『アオイホノオ』 ゲッサン2014年6月号 p467 島本和彦
こちらは逆に投稿者なら興味深いんじゃないでしょうか。
持ち込みだと、予約した時の電話に出た編集者がそのまま担当になる場合が多いらしいですが、
(参考 ロクロウポッドキャスト第84夜 20:34〜)
賞に直接出すと、経験が豊富な担当さんに当たる可能性が高くなると言えるのではないでしょうか。
それが必ずしも良いこととは限りませんし、今もこのような状況かは分かりませんけども。
そもそも、編集者との打ち合わせなしに、ストレートで賞に受かることは稀だと聞きますし。
で、一番重要なのは
ゲッサン2014年6月号 p474
※この妄想ネームはボツにしてやろうかとも思いましたがエンタメとしてはおもしろいので
通しました。おもしろいって大切です。(市原)
ここでしょう。
偶然にも最近『美味しんぼ』の表現について賛否両論巻き起こってますが、
「面白くない」「分かりにくい」「自主規制に抵触する」事が原因で書き換えさせることはできても、
編集者が、事実とは違うからと言って訂正させるのは非常に問題だと考えています。
はたして、事実と違う表現をすることは悪いことなのでしょうか?
悪だとすれば、誰がどう判断するのでしょうか?
どの新しいアイデアが研究に値するか、どの議論が継続する価値があるか、どの信念が「一般的受容」と当然の利用の正式範囲に入れられるかが、決められなければならない。この選別は、仕事の半分のうちでもより困難なほうである。我々は皆、毎日朝飯前に三つの新しいアイデアを持つことができる。問題は、それがほとんどと言っていいくらい下らないアイデアであるということである。困難なのは、誰がいいアイデアを持っているかを突き止めることである。対立意見を効果的に述べ、そこから選択するという平和的方法が欠けている場合は、幾百万という我々のアイデアはただそこにあるだけで、それぞれが自己の優位性を主張するが、決定の仕様がなく、収束することもなく、ただ分裂と漂流あるのみである。
(強調部分は原文では傍線)
『表現の自由を脅すもの』p106 Jonathan Rauch著 飯島良明訳 角川選書
何度かこのブログで引用した文章ですが、全知全能の神が信じられていた時代ならともかく、
何が正しく何が間違っているかは、議論を通じる以外に現実的には方法はありません。
そして、俎上に載せるためには表現する以外に方法はありません。
私はあの原稿を通したスピリッツ編集部の判断は正しいと考えていますし、
『美味しんぼ』の表現に対して遺憾の意を表明した福島県の対応も正しいと考えています。
これも表現の一種ですし、声明をよく読めば撤回や雑誌の回収を求めている訳でもありませんから。
なので、福島県に対して批判するのは、もちろん批判する自由はありますけど、的外れかなと。
ただし発表前に訂正を求めた大阪府・市に関しては、検閲行為に近いので問題があると考えています。
『美味しんぼ』の話が正しいか否かはまた別の話で。個人的には間違ってるとは思いますが。
話を戻して、『アオイホノオ』がそのまま紙面に載った場合には、
本気に受け取る人も出るでしょうから、注釈が付くのはある程度やむを得ないと思います。
さすがにダストBOXが本当にあると信じる人は少ないとは思いますがw
どこまでがネタでどこからが事実だと感じるか、は読む人によって違いも出てくるでしょうし。
○ ぼくらのカプトン
最近一部マスコミで「マイルドヤンキー」なる言葉を流行らせようとしているみたいですが、
- 作者: 原田曜平
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逆に今回出てない小田は不安ですねぇ...
○ ドン・バルバッツァの息子達 (短期集中) 梅内創太
ちと辛目ですが。
『ドン・バルバッツァの息子達』 ゲッサン2014年6月号 p520 梅内創太
絵的には大分余裕の無さが薄らいできましたし、決めるところはかなり見栄えします。
ようやく独特の絵柄が味と言えるようになったんではないかと。
キャラの思考の違いが表現されつつ、ストーリー的に問題がある箇所はないのですが、
『あやしや』の陰謀渦巻く感じを読んだ後だと、どうしても見劣りしてしまいます。
◎ 第三世界の長井
この漫画も連載がずっと続いてた訳ですが、そろそろ締めに入ったのでしょうか。
『第三世界の長井』 ゲッサン2014年6月号 p546 ながいけん
毎回読んでる訳ではありませんが、この漫画で初めて笑いましたw
『がらくたストリート』的な面白さがありました。
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○ アサギロ
○ 終末風紀委員会
この漫画も2巻で終わりそうですなぁ。新人が打ち切り率高いのは仕方ないことですけど。
あくまで個人的な意見ですが、
内容的には良かったものの、見栄えとキャラに課題が残った『切り裂きウォルター』や、
見栄えはするものの、何がしたいのかよく分からなかった『あおにの空に竜は哭く』『アダンタイ』とは違い、
キャラの見栄えはし、熱血や色気も出せ、武器や必殺技が割と考えられているこの漫画が、
打ち切りになるのは少々惜しい気がします。
『終末風紀委員会』 ゲッサン2014年6月号 p591 熊谷祐樹
このシーン、轍のアイデアはかなり良いと思います。
轍とほぼ直角に侵入しているにも関わらず嵌ってしまうのはちょっとオカシイとは思います。
理屈で言えば円の接線で侵入すべきでしょう。とは言えこれは重箱の隅。
問題のひとつは、轍を作ったというセリフをこの後のシーンでも使っていること。
この重複はテンポを崩します。むしろこのシーンで使わないべきだったかと。
そして意外性。めくりではないものの、一応ページ移動で意外性を出そうとしてはいるのでしょうが、
直前にコースが逸れた感が薄いため、イマイチ意外性に繋がっていません。
例えば、捉えようと手を伸ばした直後、急にまどかに躱されたと思ったら
実は自分が轍に嵌ってコースがズレていた、という風に描写出来ていれば意外性が出せたと思います。
陸橋を切断するシーンもアイデアは良いんですが、ここも意外性には繋がらず。
面白くなる要素は比較的揃っているのですが、演出面で物足りないためにイマイチ面白さへと繋がってない。
逆に言えば歯車が噛み合えばグンと面白くなるポテンシャルはあるのではないかと。
まぁ演出面で凝り過ぎると、以前の読切のように読みにくくなる恐れもあるので、
その辺りはバランス感覚が必要になるかもしれません。
そういう意味でも、この作家さんにはもう少し時間を与えて欲しいんですけども。
○ 錦田警部はどろぼうがお好き
ちと辛目。
ご結婚おめでとうございます。相手はモリタイシ先生ですか? (錯乱)
ここんところ面白くなっていますが、旦那のアドバイスでもあったんでしょうか。
内容的にはベッタベタですが、BL気味なこととドS描写がマッチしているのではないかと。
無理に奇抜なギャグを入れようとしない方が、幅広い読者から受るのかなぁ。
◎ LES MISERABLES
『信長協奏曲』がカラーの際に巻末を任せられる作品だという事なんでしょう。
まぁ昔は『月の蛇』だったりしたんですけどもw
司教の言葉、「あなたが望む姿に変わればいい。」が突き刺さり、
「正義とは何か」を考えさせられる展開だったと思います。相変わらず素晴らしい。
◎ ツール・ド・本屋さん
ちと甘めですが。正直はよツールせんかい!と思ってますw
まだ旅に出る気配は無いんで、次は新井先生のサイン会とかやるのかなぁ。
『ツール・ド・本屋さん』 ゲッサン2014年6月号 p692 横山裕二
いやいや意外でも何でもないでしょう。人事を尽くして天命を待つ。
ネットやSNSの進化により、何が原因で人気に火がつくか分からない時代になりましたしね。
『実は私は』なんてトム・クルーズのtwitterアカウントで紹介された事がきっかけになったりとか。