ゲッサン201504

ゲッサン 2015年 04 月号 [雑誌]

ゲッサン 2015年 04 月号 [雑誌]

次号の5月号では島崎結太、田岡りき先生の新連載。
ゲッサン2015年4月号 p12

3/1に開催されたゲームマーケット大阪で、
ゲッサン編集者のT波さんとお会いした際に「誰を担当されてるんですか?」と聞いたら
「来月から新連載される田岡先生とか…」という最新情報を得ていたにも関わらず、
公式発表以前に情報出すのを忘れていたという...
ちなみにT波さんが担当されている新人作家さんは
花城黒和、得津宏太、藤本優先生だそうです。(他にいるかも知れません)
田岡先生は受賞してからかなり間があるのにも関わらず、左側に配置されてるって事は、
編集部的に『吾輩の部屋である』の方が評価低いのかも。


『だって小山くんが艶い。』は第64回ゲッサン新人賞準入選、
ゲッサン2014年12月号に掲載された同名作品の連載化。

欲を言えばもう少し絵の見栄えも欲しいですが、現時点で十分許容範囲内ですし、
ネタさえ続けば16p以下で連載も即可能じゃないでしょうか?
いかにアレな仕草が出てくるか?をオチにした方が、話は作りやすそうに見えます。
ちょっと『坂本ですが?』に似てしまうかもしれませんが。
ゲッサン201412

その時にはこう批評しましたが、まさか本当に連載化されるとは...w
結構ポジティブに書いている割に個人的には★4だったんですけどね。
担当はB川L子さんだったりするんでしょうか。
キャラの魅力を前面に出す作品なので、そこがウケれば。


ゲッサン2015年4月号 p13

そして6月号からはアントンシク先生の連載がスタート。
ゲッサン2014年8月号に掲載された『幕末ウエスタン DJINGO』のリメイクでしょうか?
その前の読切『え・び・す・こ』が掲載された時に
ゲッサン2014年2月号 付録はがき

こういうアンケートがあったのですが、
その際に2と3の項目が拮抗していたので、いっそ混ぜちゃえって流れなのかも。
画力に関してはゲッサンでも1・2を争う素晴らしさですし、
リンドバーグ』後半は内容的にも素晴らしかったので、後はキャラの魅力でしょうね。


さらに7月号からは密かに推してる笹乃さい先生の短期連載。
味噌汁グルメ漫画というテーマはニッチで興味深いのですが、
最近のサンデーだと『おいしい神しゃま』という正直微妙な作品があるので、
あの二の舞いにはなって欲しくないなとw
『カプセル・ツアー』の時のようなワクワク感が出せればワンチャンあるのでは。


アイドルマスター ミリオンライブ!
いつものように、客観的に見れば◎。
アイドルマスター ミリオンライブ!ゲッサン2015年4月号 p24 原作:バンダイナムコゲームス 漫画:門司雪

今回は何と言ってもこのシーンでしょう。
個人的には『神セカ』のこのシーンを思い出しました。
神のみぞ知るセカイ』 2巻 p142 若木民喜

中々本音を語らないキャラに対して、怒らせて本心を引き出す演出は
ある意味セオリー。
神のみぞ知るセカイ』 2巻 p142 若木民喜

『神セカ』は桂馬がある意味神なので、この後いくつかの会話と状況の変化だけで
栞の気持ちを読み取るシナリオへと向かっていきます。
この作品はアイドルだけで30人以上いるので、それらのキャラがどう反応するかで
静香のホンネを探っていく感じになっています。
何回か書いていますが、『シナリオの基礎技術』で言うところの「リトマス法」ですね。

シナリオの基礎技術

シナリオの基礎技術

対応の違いによって、キャラの違いが表現できますし。

担当 門司さんはストーリーと絵については申し分なかったんだけど、キャラクター作りに課題があって。それで僕、ちょうどアイドルマスターが好きだったので、門司さんにいつも「キャラとは」っていう話をしながら例えによく出してましたね。それが伏線というか、フラグみたいになってた(笑)。
コミックナタリー 『アイドルマスター ミリオンライブ!』 門司雪&担当編集インタビュー

編集のT長さんがインタビューでこう答えてました。
キャラクター作りに課題のある作家さんが、多様なキャラが用意されているコミカライズをすることで、
キャラクター作りというボトルネックを解消しつつキャラの動かし方を学べる。


デジタルに考えると、キャラの多様性とはすなわち記号(性格含む)の多様性です。
今回静香が「あのステージ! 本当は私だって立ちたかったのに!」と怒った訳ですが、
その話について他のキャラがどう感じたのか。
言わば新しい試料にリトマスだったりヨウ素液だったりといった試薬にどう反応するかという
面白みがある訳です。
その時、このキャラならどういう反応するだろうという選択肢(要するにキャラの数)が用意されている。
そこからどのキャラを選び出し、どう反応させるのかを考える。
アイドルマスター ミリオンライブ!ゲッサン2015年4月号 p30-31 原作:バンダイナムコゲームス 漫画:門司雪


キャラを記号のまま描いちゃう、もしくは描ける作家さんもいなくはないですが、
普通はキャラの感情に共感できる... 赤松健先生の言葉を借りれば
「キャラに血が通う」ことなしにキャラは中々動かせないものでしょう。
その辺り、未来に対する門司先生のコメントが
「最初は性格がなかなか理解できなくて」とあるように、苦労しているようです。
この苦労、そして試行錯誤が成長の糧になっている感アリアリです。


こういう風にキャラを動かすことで、
今度はキャラクター作りへとフィードバックも出来るようになるでしょう。
この後にT長さんは「門司さんの才能に絶対向いてて絶対将来的にもプラスになる」と述べてますが、
正にそういう効果が出ているのではないでしょうか?
...まぁインタビューは若干T長さんが先走っている印象も無くはないですがねw


◎ LES MISERABLES
状況的にはマリウスのジレンマやヴァルジャンの男気がむせる回ではありますが、
『LES MISERABLES』 ゲッサン2015年4月号 p55 原作:ヴィクトル・ユーゴー 漫画:新井隆広

個人的にはエポニーヌのシーンが心揺り動かされます。

それとなく 紅き花みな 友にゆづり そむきて泣きて 忘れ草つむ
『明星』 第八号 山川登美子

こういう乙女心は洋の東西を問わずですなぁ。


ハレルヤオーバードライブ
次号、最終回!! と言われても何ら不思議のない回でした。
もうちょっとだけ続くんじゃ。
ハレルヤオーバードライブ!』 ゲッサン2015年4月号 p144 高田康太郎

高田先生も似たような心境じゃないでしょうか。
作家と主人公の気持ちがきちんとシンクロしてるってのは、良い作品には欠かせないなぁと。
まぁ作者が疲れたり苦しんだりするのが主人公とシンクロしてしまい、
「もう止めようか」となっちゃう作品もありはしますがね...


◎ VANILLA FICTION
いやー素晴らしい。
『VANILLA FICTION』 ゲッサン2015年4月号 p202 大須賀めぐみ

相変わらずメタ的。
だからこそ説得力を出せるのですけども、描写として素晴らしいのはまた別で。


この後、信頼関係の強弱の違いが原因で意見が分かれる事になるのですが、
状況が変われば会話をする余地が残っている辺りが素晴らしいなと。
エリと佐藤が安全で、鞠山に不利な状況になることがまず考えられますし、
新たな情報がひとつ出ることによってガラリと状況が変わるかもしれません。
後々への展開の布石がきちんと打たれているという事なので、
どう展開していくか想像するだけでも楽しいですし、
布石に気付かなかった人にとっても、状況が変わった時には意外性に結びつくでしょう。
こういう、周到な用意がされているミステリーってのは読んでて気持ちいいです。


ふだつきのキョーコちゃん
細かい要素を見ていけば今回素晴らしいと言える回だったとは思います。
個人的にこの漫画に対してはコメディを求めているので、
コメディ要素が薄いと個人的な評価は若干落ちます。
ただ『高木さん』とは逆に、『キョーコ』は一つの要素で偏って欲しくないので、
コメディ薄めの回があること自体はむしろいいんじゃないでしょうか?


ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年4月号 p216 山本崇一朗

このシーンはいいですねぇ。
キョーコが言うように、スカートもヒカリに似合っているとは思うのですが、
表情と姿勢だけで着慣れてなさ、ぎこちなさを表現。
可愛らしさを出しつつギャップもあって、こういう漫画に欠かせない要素だと思います。


最後、リボン外れた際にキョーコの本音が出る訳ですが、
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年4月号 p237 山本崇一朗

「今なら何やっても勝てそーだけどね。」のセリフと、このシーン以外は
それを匂わせるようなセリフは無く。
しかしちゃんと読みなおしてみると、ヒカリがケンジとリン姉を目撃した後の
ヒカリの笑顔が若干固いこと、キョーコがヒカリの表情を注視してたと分かるんですよね。
ちゃんと読解力ある人なら初見で気づくのかもしれません。
こういう細かな気配りがこの漫画の面白さを後押し出来ているのではないでしょうか。


ちうか、ヒカリの血は吸わないのねw


迷宮入り探偵
2月号同様、ひたすら肩透かしな内容でしたが、今回はかなりマシ。
何が原因かはよく分かりません。
中学生時代の探偵が出てきたのに、もうちょっと可愛らしさを表現できたのでは?
という気はします。
しかしまーこの漫画も単行本化ですか...
売れる気はしないけどなぁ(苦笑)


◎ ひとりぼっちの地球侵略
まずは重箱の隅。
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年4月号 p269 小川麻衣子

サイドミラーより前にドアハンドルがある車ってあるのかなぁ?
283pや3巻12pと比較すると、明らかにオカシイんですけども。


今回の見所は何と言っても凪と謎の少女とのやりとり。
凪の目的は、岬一と希との仲を裂くこと。
謎の少女の目的は、希を懲らしめること...なのかは分かりませんが、
少なくとも希と敵対している点では岬一も謎の少女も一致しています。
しかし岬一を大切にしているか、どうでもいいと思っている点は違う。
その辺りの立場の違いに加え、
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年4月号 p295 小川麻衣子

凪と謎の少女との関係性を上手く引き出していると思います。


アオイホノオ
アオイホノオゲッサン2015年4月号 p317 島本和彦

他の二人の反応はともかく、
一緒に持ち込みへ行ったきっちゃんもその反応ってのはどういう事だw


○ 嘘つきは殿様のはじまり
何やかんやで熱血だとちゃんと面白くなるなぁと思うのですが、
小太郎が影武者として動くなら、最初からそうした方が良くね?とか思っちゃいますねw
まぁ、女性である事を隠すからこそ色々トラブルが巻き起こったりするのでしょうけど、
今までのストーリーでそういったシーンがあったかと考えると...?
正直、熱血をストレートに出し易い設定ではないように思いますし、
ストレートに出せない所に何か面白さを加味出来てるかと考えると微妙なところ。
キャラ人気するタイプの作家さんでもないので、ちょっと厳しいかもしれません。


第13保健室
露骨なお色気回。
まぁ一番求められているのはソコですからいいんですけども。


このテの学園モノでいつも不思議に思うのは、現実の変化に対応してないこと。
少なくともこのくらいの規模の学校ならスクールカウンセラーはいるはずですが、
出てくる気配さえありませんしねぇ。
ALT(外国人の授業助手)が出てくる漫画も見たことがありません。
昭和生まれのオッサンには共感出来ないからあえて描かないのか、
単純に実情を知らないのかどっちなんだろ。
ちなみに養護教諭スクールカウンセラーは資格・職務・雇用形態など全く別物です。


放課後さいころ倶楽部



中道裕大 今月のさいころ倶楽部はけっこう挑戦的な回だったので、評価してくれる人がいてくれるのが本当に嬉しい(^ω^)ボードゲームが登場しなくてがっかりした人も多いかもしれませんが… link


GRGR @shimaneko555 個人的には今までで10番以内には入りますね。否定的な内容が伴うから発売されているゲームではやりにくい、とかあったんですか? link


中道裕大 @GRGR_ ありがとうございます!てか、既存のゲームでは無理です、もちろん! link
こういう回でしたが、こういう事情があるという事で。 この漫画で最も需要が高いのはキャラで、だからこそ一番大切な要素もキャラでしょう。 ボードゲーマーが一番楽しみにしているのは「どのゲームが出てくるか」なんでしょう。 私はこの漫画においてはキャラが大切と何度も何度も書いてますが、 個人的に一番楽しみにしているのはテーマです。 放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年4月号 p460-461 中道裕大 ランドルフのソースを確認した訳ではないので確たることは言えませんが、 単純に進化論を念頭に置いた発言なのかもしれません。 ただ、個人的には『神セカ』のこのシーンを思い出しました。またかよ。 神のみぞ知るセカイ』 12巻 p122 若木民喜 完全でないから、進化する余地がある。

 自由科学の基礎をなす「懐疑主義」は全く別のものである。(これを、結論を一切出すべきではないといった類のものと区別して、哲学者はしばしば「ファリビリズム」[無謬否定主義、過ちを免れえないとする立場]と呼ぶ。)この種の懐疑主義者は、心底から言う。我々は結論を出さなければならないが、その結論をどれ一つとして、これ以上克明に調べることや変えることはまかりならぬとしてはならない。「どんどん自分の好きな結論を出しなさい。だがあなたの結論のどれであろうが、すべて訂正される必要がありうることをよく覚えておきなさい。」この態度であれば、何も知識を断念する必要はない。求められるのは、ただ確かさを捨てよということだけであって、この二つは同じではない。別の言葉で言えば、あなたの知識は常に仮のものであって訂正されうるものだということである。こうした懐疑主義の根底には一つの単純な命題がある。それは、我々はひとり残らず、何時でも間違いうるという考えを、我々すべてが真剣に受け止めるべきだということである。
表現の自由を脅すもの』 p74 Jonathan Rauch著 飯島良明訳 角川選書


※引用注 強調部分は原文では傍線
     ファリビリズム(fallibilism)は可謬主義と訳される方が一般的。

今回もまた、ものづくりに共通する話だったんじゃないでしょうか。
まぁものづくりに限った話でもないですけど。

ただ、今回の流れからすると、ライバルというよりはタッグを組む相手という事になりそうですけども。
二人の間でどう役割分担されるのか、少し気になる所です。
ゲッサン201503

そして、先月号でこう書きましたが、
クリエイティブな仕事はミドリが担当し、ゲームバランスの調整などをエミーが担当する、
といった役割にするのかもしれません。


ついでなんで、

単行本読んでないので確認できてませんが、恐らく日本初ボードゲーム漫画
『アクア・ステップ・アップ』のシュナイダーさんをモチーフにしたのではないかと。
ゲッサン201503

同じく先月号にこう書きましたが、中道先生に直接伺ったところ、

メインキャラをもう一人増やす予定は最初からあった。
増やすなら転校生か新入生のどちらかだろうと考えていた。
どうも1年経つのに大分時間が掛かりそうなので、転校生にしようと。
転校生出すならドイツ人だよね、という事でエミーというキャラが出来た。

といった経緯だったそうです。メモや録音した訳ではないので若干うろ覚えですが。


○ ぼくらのカプトン
『ぼくらのカプトン』 ゲッサン2015年4月号 p476 あずまよしお

1.3本目はまーまー。2本目はちょっと笑いました。
油がさっぱり分からんw 単行本では明かされるのでしょうけど。


○ 四弦のエレジー
ライバル出現、ライバルとの因縁と、それこそ「お手本」のような展開でした。
だからこそ物足りなさも。


○ 忍者シノブさんの純情
先月、先々月と同じ感想。
コスプレ出したり表情豊かにしようとしてみたり、若干違いはありますけども。
やっぱ読切の時のような「シナリオが超面白い」って感じとは別で。


○ 月曜日は2限から
新キャラ2人登場。
あえてちこと咲野と被せて来たんでしょうけど、
これから先、どう微妙に違いを出せるかって所でしょうか。


◎ アサギロ
誰かと思ったらこいつかー。


◎ ちろり
『ちろり』 ゲッサン2015年4月号 p647 小山愛子

こういう時代性のあるエピソードもまた良し。
根底に共感があるのもいいです。


終末風紀委員会
4巻終了コース、話を纏めにかかっているので仕方ないと言えば仕方ないのですが、
お話を進めるだけでは中々面白いって感じにはならんですなぁ。


犬と散歩 (読切) 田岡りき
★★★★☆
絵柄からし『確かめにいこう』より後の作品でしょう。
8p漫画で、かつ地味なので★5は付けにくいですが、
可愛らしさがありつつも最後にちょっとした意外性と、面白い作品ではありました。


○ あやしや
日常シーンで和やかな感じは出てましたけど、個人的には何か物足りなさも。


○ ツール・ド・本屋さん
アレに関してはノーコメント。


今回、締りのない終わり方でしたが、
『ツール・ド・本屋さん』 ゲッサン2015年4月号 p724 横山裕二

正直今回の枷が微妙だったことが原因だったんじゃないかなぁと。
合間にイベントで無理矢理中身を膨らましてましたが。
1582km走破した大変さも全く伝わりませんでしたし。


単純に企画をやる人にとっての面白さなら、
例えば初期にやっていたような「POP1つにつき500円」といったルールは、
横山先生によってジレンマになりうるものですが、
それを漫画にした時に面白くなるかと言われるとまた別で。
旅先での出会いやB級グルメは楽しめる要素ですけど、
メインに据えたいコメディカルな要素とは違いますし。
唯一コメディになるのはトラブルですが、毎回毎回ある訳でもないですしねぇ...


京都では鍵無くして、鍵なしの状態で出町柳駅前の駐輪場に停めるという
かなりギャンブルな事やってましたが、さすがにあの話はカットですかー。
原稿だけは中道先生の家に持って行ったみたいですけど。