ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録)

ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p1

得津宏太先生の表紙でした。
内容的にはホラーでも何でもないのに関わらず、マイナスな表紙に合わせた感はありますが、
キャラの見栄えがまだまだな所が表紙としては微妙だったかなぁと。
まぁ今回のラインナップから考えれば、得津先生が表紙なのは妥当だと思いますけど。
と言うか、今回面白かった作品2つ選べと言われても、もう一つがね...


ロマンチストブルー 得津宏太
★★★★★
とまぁキャラの見栄えに課題を残す得津先生ですが、
前作『スウィートスウィートミルキィ』が巻末だった事を考慮すれば、かなりの抜擢。
前作が「母親のもとに彼女を連れて行く」だけの話だったのと同様、
今作も「彼女と近所をドライブする」だけの話。
なのにちゃんと面白いんですよねぇ。


前作は主人公の祖母とヒロインの祖父のキャラ、コメディのテンポがその原因でしたが、
『ロマンチストブルー』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p28 得津宏太

今作はファンタジーな世界観に加え、
『ロマンチストブルー』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p36 得津宏太

いくつかの謎... 車の性能や、亡くなった父親のキャラクターなどが面白さの原因でしょう。


個人的に好きなのはこのシーン。
『ロマンチストブルー』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p12-13 得津宏太

常識的に考えれば、右ページのように車が川へと突っ込んだら即レスキューに出動要請するでしょう。
ですが母親は呑気に「やっぱり乗らなくて良かった...」などど言う。
その理由は、左ページのように水中を移動できる車だから。これがこの世界での常識であると。


何が言いたいのかというと、設定が意外性に結びつき、ひいては面白さに繋がっているんですよね。
ジブリに詳しくない私にとってはジブリらしい演出にも見えます。
個人的には★5.5くらい。
あともう1作品くらいは読切を読んでみたいです。


ゲッサンは創刊当初「アンチバトルファンジー」を謳っていたこともあり、
現状ファンタジーと呼べる連載作品は和風ファンタジーの『あやしや』一作のみ。
連載完了作品でも『楽神王』『リンドバーグ』くらいじゃないでしょうか。
『アダンタイ』や『切り裂きウォルター』がファンタジーかと言われると若干疑問ですし。


miniマイナスは「手に汗握る」系らしいので、それとは若干異なりますが、
現状を鑑みればファンタジーゲッサンらしくないと言えるので、
そういう作品が本誌にもう少し出てきてもいいんじゃないかと個人的には思うのですけども。
ファンタジーだけど、どこかゲッサンらしい。『あやしや』もそんな作品なのですから。
得津先生がバトルやるのは正直言って賛成しませんけどねw


夢子の約束 打江広祐
★★★★☆
『夢子の約束』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p44 打江広祐

この作品だけで判断すれば「素晴らしい」となるのかも知れませんが...
前回と似たようなパターンなので新鮮味が薄れて。
こういうタイプの意外性は難しいですなぁ。


ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p62


君に○○の花束を 栗田あぐり
★★★☆☆

栗田あぐり
twitter
第85回 週刊少年マガジン新人漫画賞 『ライアーゾーン』 佳作 ※青柳花奈名義
マガジンSPECIAL 2011年4月号 『ライアーゾーン』 掲載
月刊少年ライバル 『エースの系譜』 2011〜2012年 原作:岩崎夏海 全3巻

去年6月に休刊した少年ライバルで連載経験のある作家さん。
元ライバルの作家さんだと兎中信志先生も今月のサンデーSに読切が掲載されてますが、
正直うーん...


『君に○○の花束を』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p66 栗田あぐり

受賞後に原作付きとは言え、即連載を取れたのも納得の絵の見栄えはあります。
『君に○○の花束を』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p98 栗田あぐり

馬鹿な奴ほど暗示が解けにくいという設定から、
実は自分が馬鹿な奴で自分に暗示を掛けていた、という意外性は良いと思うのですが、
という事は実は死んでいたにも関わらず暗示の力だけで生きながらえてきたって事...?
最後に笑顔で締めているのも意味不明。
これって単純に俺の読解力が足らないだけなのかなぁ?
「話がよく分からん」という結論に。


二月の肖像 工藤舞
★★★☆☆

工藤舞
第38回 GET THE SUN 新人賞 『黒鷲』 佳作 (大分県・23歳)
第45回 GET THE SUN 新人賞 『18』 佳作 (大分県・24歳)
第75回 新人コミック大賞 『美晴君と雨宮さん』 佳作 (東京都・26歳)
現・片山ユキヲ アシスタント

絵の見栄えは連載できるレベルにあると思います。
『二月の肖像』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p118 工藤舞

初めヒロインを不思議ちゃんだと思わせておいて、
読んでるうちにああなるほどと思わせる意外性はあるのですが、
この意外性が何故か面白さに繋がってないという。
謎が解けて納得して終わりになってるんですよね。何故そうなるのか分かりませんが。
切ない雰囲気は良かったと思います。


アカヒメ奇談 藤本優
★★★☆☆
相変わらず絵の見栄えは良いんですけども。
『アカヒメ奇談』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p142 藤本優

40ページも費やしておいて、ヒロインだと思ってたら実は違っていた、
だけで面白いとなるかと言われるとねぇ。
絵に魅力がありますから、大コマが多くなるのは良いことなのですが、
それに耐えうるようなシンプルでも濃いシナリオが必要になってくると思います。
せめて伏線が1、2本欲しいですね。


オセロ 泉尾アキ
★★★☆☆
若干甘め。
『オセロ』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p176 泉尾アキ

こちらも『君に○○の花束を』同様、よく分からない系。
結局のところ、オチを曖昧にするという点でセオリーから外れてるので、
よく分からないとなるのかなぁ...?
何かしらの目的があってセオリーを外してるのなら評価するのですが、
単純にセオリーを無視しているだけのような気がしてなりません。


聖船のラー 繭住翔太
★★☆☆☆

第62回 GET THE SUN 新人賞 『無脊椎妖精』 最終選考 (東京都・21歳)
第66回 GET THE SUN 新人賞 『聖船のラー』 佳作 (東京都・21歳)

古代エジプトで通してる事に関しては面白いと思うのですけども。
『聖船のラー』 ゲッサンmini マイナス3 (ゲッサン201504 別冊付録) p180 繭住翔太

ギャグは好みが激しく出るとは言え、個人的にはクスリとも来ず。
受賞作は4コマ漫画ではなかったようですが、
4コマを続けていればそのうち何か掴めるのかもしれません。
表情をほぼ変えられない事を面白さに繋げる事は出来そうだとは思います。