ゲッサンmini 9 (ゲッサン201409別冊付録)


表紙は小林安曇先生。まぁボチボチといったところ。


からかい上手の高木さん


ゲッサン編集部 山本崇一朗先生の2作品「ふだつきのキョーコちゃん」「からかい上手の高木さん」ともに重版が決定いたしました!
おめでとう山本先生! 9月5日に出来予定です、よろしくお願いいたします!(担)
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『高木さん』は2度目の重版、それに釣られてか『キョーコ』も初の重版。 ゲッサンだと半分弱の作品が重版されるので、それ自体は珍しくもないのですが、 『高木さん』は6月に発売した直後の7月に緊急重版、さらに9月にもという事になりますし、 1巻の時点でという辺り、他のゲッサン作品とは明らかに勢いが違います。


山本崇一朗(単行本一巻発売中 ラフネーム1本終わったー。
サンデーに載せてもらってストックが減ったから取り戻さないとなー。
がんばろ
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山本先生、原稿描くのは結構早い方なのかもしれませんが、 内容的に薄くなる傾向があるので、個人的にはあまり2本立てを頻繁にはやって欲しくないところ。 休載が必要だとは思いませんし、今回くらい宣伝効果が期待できるならまた話は別ですけどね。 余力はネームの直しなり、 作画しながらでは鑑賞できない字幕の映画に費やすなどのインプットに使って欲しいです。 まだまだ先のある作家さんですし。 からかい上手の高木さん

以前週刊少年サンデー本誌、ゲッサン本誌、ゲッサンminiの3本立てをした時にこう書きましたが、


ゲッサン編集部 今月号の付録は「アオイホノオ」クリアファイルに話題を持ってかれてますが、別冊付録ゲッサンminiには絶好調「からかい上手の高木さん」がストック全放出の3本立て! こちらも必見ですよ!(担) link
またしても3本立て。 いや2本立てを頻繁にやって欲しくないとは書きましたが、3本はもっとダメですよ!!1w

 今一ヶ月の休みが取れたら毎日毎日ひたすら映画や小説を堪能しまくって自分の漫画力をもう一度鍛え上げるのに全力を尽くします。
ゲッサン編集部こぼれ話 55杯目 市原武法

休みが取れない前提でこう書いているのでしょうが、
少なくともどれだけ実績を重ねても学ぶことはいくらでもあるという事は痛感してると思います。
漫画家は作画に入ればアニメや映画、ラジオを流してインプットする事が可能な人はいますし、
山本先生もアニメと映画は流してるようですが、
『高木さん』『キョーコ』共に仕草が重要なタスクとなっている漫画なだけに、
ちゃんと映像を観る時間が取れた方がいいと思うんですよね。
特に、字幕映画を鑑賞できない状況が深刻です。過去の名作は字幕が多いですし。
幸い、内容的に薄くなる傾向自体は薄くなってきてますけども。


3本目は若干落ちますが、1.2本目は相変わらず素晴らしいクオリティ。
からかい上手の高木さんゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p7 山本崇一朗

教科書に手紙が挟んである。ただそれだけなのにこれだけ駆け引き出来てるんですからねぇ。
からかい上手の高木さんゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p14 山本崇一朗

下校までに返事が欲しいというセリフが伏線になっているんですが、
西片くんに「返事」という単語へと反応させる事によってカモフラージュしているので、
伏線が張ってあるにも関わらず読者には悟られにくくなっている。
こういう細かな気配りが出来てるからこそ、読者と駆け引きも出来ているのかもしれません。


人気が出ているのは結局のところ高木さんのキャラで、萌え漫画と認識されているのでしょうが、
萌え以外の要素がきっちりしているからこそ、面白い漫画になっていると考えています。


山岳村おこし白書 小林安曇
★★★☆☆
ちと甘めですが。
『山岳村おこし白書』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p43 小林安曇

化け物をゆるキャラにして町おこしというアイデアと、餌付けに成功というネタは良かったものの、
演出的に微妙で全体的な面白さには繋がらず。
『山岳村おこし白書』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p35 小林安曇

作者的には自分の思い描いたイメージを基に1p目を描いているのでしょうから、
読み直すとそのイメージが喚び起こされるのかもしれませんが、
この1p目だけで化け物に感情移入しろと言われても無理な話。
『山岳村おこし白書』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p36 小林安曇

結果としてめくった後の2pがギャップにならず、面白さにも繋がりません。
アバン (導入) でネタをやっちゃうと、どうしても出落ちになり易いのですが、
失敗しているのでそれはなく。 (もちろんこの方が問題アリ)


村おこしのために伝承が残っている祠 (ほこら) を調べようとしていたら、
うっかり封印を解いてしまい、中から恐ろしい怪物が出てくる...
といった辺りを呻き声やmobの怯え方で十分ミスリードした後に、
2p目を出せばもうちょい面白さに繋がったんではないかと。


一応ゆるキャラ的な魅力を出そうとはしてると思うのですが、
ジタバタさせている所もイマイチ可愛らしさは描写されず。
もうちょい仕草で何とかなったように思います。
『ペンギン大魔王』 Go! Go! ジャンプ 2006年1月25日増刊 p348 大柿修司 集英社

こういう風に、ギャグ漫画でも仕草の可愛らしさは魅力として出せるとハズなんですがねぇ。
手足が短いことを絵とセリフだけで処理してるのも微妙。
コケるとか、手が届かなくてオタオタするとか、何かしらの仕草を絡めないと。


後半の枷の掛け方も微妙ですし、ギャグももひとつ。
絵自体は割と上手いんですけど、見栄えしませんし、もうちょい線の強弱が欲しいように思います。
まだまだ課題は山積してるのではないかと。


可能性 小山愛子
★★★☆☆
『可能性』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p72 小山愛子

それほど面白いとは思いませんでしたが、「そう繋がるんだ」という意外性はあったと思います。


コールド・シティ 花城黒和
★★★☆☆

あと、ちょっと引き過ぎている構図が多いような気もします。
ゲッサンmini 8

前回こういう指摘をしました。画像貼っとけよという話はありますな。
『影は笑う』 ゲッサンmini 8 (ゲッサン2014年7月号別冊付録) p168 花城黒和

右下のようなコマがあまり効果的だとは言えませんでしたが、
『コールド・シティ』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p106 花城黒和

今回は左下のように、常識の範囲内に。
逆に、右上のようにキャラを並ばせずにすんなり立たせてる辺り、
割と空間を描く能力自体は高いのかも? とも思ったり。


ただ、内容的には微妙。
『コールド・シティ』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p122 花城黒和

ストーリー的には意外性が担保されているのですが、絵のインパクトは無いので、
イマイチ盛り上がりに欠けます。
兄貴がロボットだと思わせておいて...とミスリードしてるのは構わないのですが、
人間とロボットはどう違うのかというストーリー展開をした上で、
感情移入している主人公が実はロボットだったという設定は、
ネタが出た瞬間に感情移入を阻害する事にも繋がってしまうと思うんですよね。
まぁこう感じるのは私だけかもしれませんけど。


隠れた冥店 麻貴早人
★★★☆☆
『隠れた冥店』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p138 麻貴早人

なぜ幻の店なのか?という謎があるにも関わらず、
謎が解けた時に面白いとはならんかったですなぁ。何が原因かはよく分かりません。
オチはそれなりに纏まっていますけど。


デビューしたての新人作家と、大ヒット飛ばした中年の作家と比べるのも酷な話ですが、
『洋菓子店ギャラクシー』 週刊少年サンデー 2014年36・37号 p164 若木民喜

似たような内容だった若木民喜先生の『洋菓子店ギャラクシー』と比べると雲泥の差。
まぁこの読切もソコソコ面白いとは言え、『神セカ』を描いた若木先生の読切というのを考慮すると、
もひとつ感ある作品でしたが。
(単に『超昂天使エスカレイヤー』のルーイをオマージュしたかったんじゃね疑惑)


確かめにいこう 田岡りき
★★★★★
twitter田岡りき
ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p170

ゲッサン2010年7月号 『夢のつづき。』 掲載
ゲッサン2010年10月号『透明人間になった日』 掲載 

このブログは一応創刊時からゲッサンを追っかけているのですが、
どちらの作品も批評が残ってませんし、読んだ記憶もないです。
恐らく後者は8p、前者も4pか8pだと思います。
どーでもいい個人的な話をすると、
『ツール・ド・本屋』の東海道編最後の三条大橋で横山先生を待ってた時に、
市原編集長に話しかけている、自転車乗ってる兄ちゃんは誰だろう?と思ってたんですが、
後でtwitterのTL見るとどうも田岡りき先生だったようで、
結果的に田岡先生が私が生まれて初めて見かけた漫画家さんという事になりましたw


そんな (?) 自転車好きの田岡先生が自転車漫画を。
『確かめにいこう』 ゲッサンmini 9 (ゲッサン2014年9月号別冊付録) p181 田岡りき

頭で考えている事が言葉に出ない辺りは田岡先生そのものだと思われます。
(一度見かけただけで知ったかぶり)
完璧に用意していたつもりでも想定外、予想外のできごとが起きるのですが、
それが悉くあるある、もしくはありそうなイベントで共感し易いです。
その発端に好奇心がくすぐられる謎があるので、引きこまれやすくなるんじゃないかと。


かなり寡作な作家さんですが、せめて次は32pで読んでみたいですね。
できれば主人公視点だけではない作品を。