4段ブチ抜きの変遷?

久米田先生のページ4段ブチ抜き(最近は1段残すのが定番)は誰の影響か、気になったのでちょっと調べてみました。

さよなら絶望先生#174


ブチ抜きのスタイルは高橋真琴という人が元祖のようです。
ただどっかで画像見た感じでは、今の久米田先生が多用してるような、両端のどちらかに登場シーンとして全身ブチ抜きコマを出す。
というスタイルではなく、全身画を入れたいなどの願望から出たもののようでした。
確かにあまり脈絡がない絵だったような記憶がある。ページ中央に全身画を入れ、周りのコマが窮屈な印象でした。


この全身画をコマぶち抜きで描くスタイルが醸成されたのは少女漫画で間違いないでしょう。
手塚先生やら石ノ森先生の漫画をいくつかピックアップしてみましたが、枠からはみ出すコマさえあまりなく、
縦に長いコマもありましたが、ほとんどが引いた情景で上下の動きを見せるのが目的でした。
少女漫画で発展したのは、少女漫画があまり枠に囚われなかったからという言い方が出来るでしょうが、
むしろ普段どこに目線が行くか、という動物学的な違いが現れてるのでは?と思いますね。
詳しくは↓のリンクを。
同性を見るときの男女の違いを端的に表した絵(Gigazine)
なので、全身画はあまり少年漫画では必要とされず、少女漫画では必要とされたのではないかと。
少年漫画でも全身画はあるにはありますが、コマの中に余裕でおさまる引いた絵でした。少女漫画のようなアップは皆無。

ガラスの仮面1巻 1976/4


もう一つの原因として、少女漫画特有の1/4柱の影響があると思います。
単行本になると作者のコメントが入ってたりしますが、ギャグテイストが低い漫画だとほぼイラストが挿入されてます。
その中で全身画を描くものがあり、これが発展したのではなかろうかと。


で、問題は少年漫画では誰が最初に導入したかですが、図書館で探した中ではコレが最古でした。

ドカベン4巻(文庫本)=ドカベン7巻 1974/6
意外と歴史あるんですねぇ。


で、現在の久米田先生のぶち抜きが誰から薫陶を受けたのか?
調べてみたら、久米田先生は『南国アイスホッケー部』の1巻から導入済み。(画像ないのがなぁ)
久米田先生と同期で、密かに2〜3段ブチ抜きを有効利用している椎名先生もGS美神1巻から導入済みでした。
(椎名百貨店は基本4コマなので。読切短編では使用してなかった記憶が。)
全然気づかなかったぜ!

GS美神 極楽大作戦1巻 1992/4


久米田先生は実質師匠がいないので(アシ経験は満田先生のところでわずか2日)、
一番考えられるのはあだち先生の作品なのですが、現在確認取れず。
他に考えられるのは、高橋留美子先生ですかねぇ。椎名先生とは関連があっても不思議じゃない。
この線で調べてみましたが、↓が最古ですね。

うる星やつら4巻 1981/1


この4段コマブチ抜きに至るまでの変遷が見えるので、サンデーに導入されたのは高橋先生か?という憶測は成り立ちます。

うる星やつら1巻 1980/4

うる星やつら3巻 1980/10


まぁ何にせよ中途半端な調査ですねorz