神のみぞ知るセカイ#47

2度目のハクア編。個人的な嗜好があるのは否定しないが、ハクアは非常に良いキャラだ。
この漫画は主に二つのパターンから成り立っている。


一つ目はメインの流れで、サブキャラ攻略ルート。
駆け魂が心のスキマに入った少女を恋に落とすのが目的になる。そのうち自分なりの解説を入れてみます。
二つ目はサブの流れで、メイン攻略ルート。
今のところメインキャラはLC(エルシー)とハクアで、LCルートは非日常の日常を描き、ハクアルートは世界設定を説明するのが漫画における目的になっている。
非日常の日常に関してもそのうち解説入れますが、今回は世界設定の説明について。


世界設定の説明は非常に難しいです。
実際に前作『聖結晶アルバトロス』では設定に引きずられて残念な結果になりました。

いくら素晴らしいコンセプトがあっても、それを具体化できなれば、意味がないの!複雑な設定が錯綜する世界、しかも、主人公が説明を聞いてからでないと行動できない巻き込まれ型のストーリー形式、更にバトルが毎回必須で求められる、それだけのタスクを毎回18pのなかでバシッとこなして作品を作り上げるということは、初連載のボクにとっては、相当に難しい仕事でした。コンセプトをわかりやすく提示すること・・・それを堅持すること・・・・高い壁でした!多すぎる「保険の設定」が、物語のスムーズな進行の足かせになっていることに気づくのに、時間はかかりませんでしたね。

しかし、ボクは自分の作った世界観の要素を、ただの一つも捨てることができなかったのです。

その結果、行き場を失い、ページ内に入りきれなくなった設定がどんどんと崖から転げ落ちていきました。かと言って、残った設定も他の設定とのしがらみから独り立ちできず、もやもやを残したままの状態になってしまったっ。最後の方は読者の方々も気づかれたと思いますが、女の子の姿もほとんどありません。どうなってんだ、こりゃ。最初のコンセプトは完全に霧散していたのです。もちろん、週刊連載というのは物語のその時のノリや読者の反応で、どんどん構想が変わっていくことは必然ではあるにしても・・・。いやはや、力不足でした・・・いや、ここは経験不足だったと言い換えさせてくれ!
::HoneyDipped:: 1/25:「聖結晶アルバトロス」総括(上)

そして今作『神のみぞ知るセカイ』では、その経験不足をものの見事に克服しています。

そして、今回の話は設定話が出てきます。設定話は善し悪しで、世界観を深められる良い部分の一方で、設定を話している間の話のスピード感が著しく失われるという大きな欠点があります。


特に最近のマンガは世界観が重厚なものが多いですから、設定をどういうタイミングで、いかに効率よく話すか、というのが人気と内容の両立を求められる少年マンガの重要タスクです(青年誌なら、ずっと設定話みたいなことも許される場合もあるみたいですが)。ジャンプの連載なんかは10回先が見えないということで、1話目でストーリーを犠牲にしても当面の設定をとにかく話しきる(巻き込まれ型の場合は2話目で)、みたいな感じがありますが。苦労しますね。


まあ、今回のハクア編の序盤はせめて、「ただ立ち話だけをしている状況」というのをどうやって避けるか、ということで色々工夫をしています・・・。
10/06:FLAG23:「地区長、脅迫される。」


地獄全体のシステムの詳細については、物語上必要でなかったので、省略。アルバの時の反省もあり、この物語の設定や伏線は極めてひっそりと配置されています。ハクアが何か話すたびに、少しずつ地獄のシステムについてわかっていきますが、難しいこと知らなくても、支障ないです。
10/13:FLAG24「地区長、地獄を語る。」

この「難しいことを知らなくても、支障ないです。」は非常に重要です。
細かいことが伝わらない、残念だったり年齢が低い読者から敬遠されにくくなります。
長編モノはどうしても一見さんに敷居が高くなりますが、一話完結や短期完結モノはそれが無くなるメリットがあります。
しかし昔の設定を参照しないと理解できない構成だとこのメリットが消えます。


知らなくてもそれなりに面白いけど、知っていればより楽しめる。


この塩梅が連載を続けていくようになると大切になってくると思いますね。


ハクアのキャラ設定も秀逸。
主人公の桂馬が秀才キャラなので、ヒロインのLCはバランス取って天然キャラに。
天然キャラに世界観を解説させるのも一つの手ではあるが、的確に解説させるとキャラの風味を損ねる。
マニュアルみたいなものを読ませるのもアリだけれど。
そこで有能な悪魔であるハクアの登場。
ただし単に有能だと桂馬と被る。ハクアが桂馬より優秀ならばお互いの接点が無くなる。
なので有能さは悪魔の事情や能力の扱い方に精通してる事に限定している。
ハクア編1回目では、ハクアは桂馬の知らない事を知っていることで、
桂馬はハクアに弱みを握られたり人間界の事情に疎いことで頼る必要性を出してきた。
(ハクアが人間界の事情に疎いことを桂馬が知らないので、学園内の事情になってますが。)
この構成とツンデレな性格とを絡めたのは、まぁツンデレと有能キャラは親和性高いので王道ではあるのですが。


しかし弱みはLCに駆け魂を捕らえた事がないのを告白したし、悪魔が人間界の事情に疎いのは人間とバディを組んで解消するという設定がある。
ハクア編2回目でこの関係性を再構成。
新地獄アルマゲマキナとかいうゲームで、少なくともゲームに関しては桂馬の方が上手いという表現をした上に、
「ただ立ち話だけをしている状況」を回避しつつ世界設定をハクアに喋らせる。
桂馬とハクアのミスディレクションを描きつつ、ツンデレ混濁させた「お前、私に、興味ないの!?」
メインキャラ攻略ルートで先が長いから、初めからお互いが意識しない方がいいんでこういう感じにしてるんでしょうね。
デレ分ださないとハクアの人気が出ないので、桂馬を朴念仁にしてそれを避けてるんでしょうか。


そしてハクアのバディ登場...

てな感じで月夜編は終わり、次の話は・・・皆さんご存じのヒロインと、そして新しいヒロインが同時登場です。お楽しみに〜!
3/31:FLAG46「Mr.ムーンライト」

何かやるとは思ったが、さてはよっきゅんで味をしめたなw


この漫画にはあえて作ったと思しき、普通の漫画と比べて欠けている点がいくつかありますが、そのうちの一つが男性キャラが桂馬以外いないも同然なこと。
一応名もなきmob以外では英語の先生がいることはいますが。後ヤンキー4人組もいたかそいや。
理由は恐らく

だからまあ、途中ホント攻め手がなくて展開が堅かったですね・・・ファンタジーの世界では先生を落とすためのキラー展開として、「先生に恋人がいる→フラれるところに出くわす」という聖職属性無効化波動砲イベントがあるんですが・・・これは作者的には死んでもやりとうない!だから、別のアプローチから長瀬の先生属性弱体化を狙いましたが・・・おかげで難しいテーマを扱うことになってしまったですよ。
2/24:FLAG41「いつも心に太陽を」

かんなぎ」の二の舞にはなりたくないという事でしょう。
メインの支持層だと思われる草食系なんちゃらにとって、こういう葛藤は苦手でしょうしね。
ハクアはLC同様主要攻略キャラなので、ただでさえ男性キャラがいないこの漫画にバディを男性、という選択肢はないでしょう。
枯れたお爺さんなら有り得ますが...そもそも若木先生じじいキャラ描けるのかという疑惑さえあるがw
なのでハクアのバディが女性なのはほぼ必然でしょう。
関西のオバハンを持ってきたのは、まぁハクアとのバランスなんでしょうねきっと。
本人がよく目にしてるからキャラ作りやすいというのもあるでしょうが。


何にせよ、このオバハンをどう生かしてくるか期待します。
メインルートでは3〜6話構成かつ桂馬と攻略キャラとの1対1の関係を描くので、キャラに深みが出せません。
作者の力量云々の話ではなく、あまり色んな表情を入れるとどんなキャラかを把握してもらう前に混乱してしまいます。
なのでキャラ付けはせいぜいツンとデレや、楠のような乙女と格闘家といった二面性が限界です。
しかし、何度も登場するであろうLCとハクアはそれ以上の表現が可能です。
例えばハクアは桂馬に対してはツンデレ、LCに対してはお姉さんキャラといった、相手に応じた役割を演じさせることができます。
言い方を替えればカップリングを通じてキャラに深みを出せます。
今回を見ても明らかにハクアはこのオバハンに対して桂馬やLCとは違った対応をしてるので、この辺りも考えているんでしょうきっと。