放課後さいころ倶楽部 #35
今回のゲームは『パンデミック』
私が持っている数少ないボードゲームのうちの一つです。(割とどうでもいい)
パンデミック:新たなる試練 (Pandemic) 日本語版 ボードゲーム
- 出版社/メーカー: ホビージャパン(HobbyJAPAN)
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: おもちゃ&ホビー
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デザイナーはマット・リーコック (Matt Leacock)
代表作は他に『禁断の島』(2011年ドイツ年間ゲーム大賞 最終候補)
惜しくもドイツ年間ゲーム大賞を逃した作品ですが、
『パンデミック』はプレイヤー同士が協力してゴールを目指す「協力ゲーム」
と言われるカテゴリーの中では最も評価されているゲームでしょう。
このゲームが大賞を逃した理由はただ一つ。
『カタン』『カルカソンヌ』と並び、三大ボードゲームの一つとまで称される
『ドミニオン(Dominion)』がその年の受賞作だったからです。
「協力ゲーム」は好みが分かれるジャンルでして、
その原因のひとつとなっているのが「奉行問題」(Leader Problem)です。
ゲームとは「充分な情報の下に行われた意思決定 (decision making)をもって、
プレイヤーが与えられた資源を管理 (managing resources)しつつ自ら参加し、
立ちはだかる障害物を乗り越えて目標 (goals)達成を目指す」ものであるとした。
wiki ゲーム コスティキャンによる定義
以前The Structure of ”After School Saicoro Club” #5でも引用した、ゲームの定義の一つがコレです。
その記事で書きましたが、ゲームの楽しさの根本は「管理(マネジメント)」です。
しかし協力ゲームでは、ゲームに詳しい、もしくは声が大きいプレイヤーが仕切って
『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2015年5月号 p151 中道裕大
他のプレイヤーはその指図通りにプレイするだけ...「管理」する余地が無くなって
ゲームを楽しめなくなる場合がある、という構造的な問題があります。
しかも質(たち)が悪いことに、仕切ることが大好きな人間ほど協力ゲームが好きなんですよねw
なぜこういう問題が出てくるのか? に関しては下のリンクが参考になると思います。
【海外フォーラム記事翻訳】なぜ、協力型ゲームはクソなのか?奉行問題があるからだよ!
読むのが億劫だという人のために結論を書くと、答えが存在するから。
答えが絞られるからこそ、答えを知っている、もしくは知ってるつもりの人が
知らない人や控えめな人へと一方的に指示してしまう。
かと言って、答えが絞られなければどう協力していいかの方針も立てられません。
この「奉行問題」を解決する方法は大きく分けて二通りあります。
その1つがゲームのシステムで解決する方法。
ゲームシステムで解決する方法には、少なくとも2つあって、
そのうちの一つが例えば『人狼』の狼のように敵を出すことですが、
この手のゲームは「協力ゲーム」の範疇から外れるので省略。
もう一つのパターンは『花火』のように、会話に制限を掛けること。
- 出版社/メーカー: ホビージャパン(HobbyJAPAN)
- 発売日: 2013/07/04
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そこをルールで縛れば「奉行問題」を解決することが出来ます。
このようなゲームシステムが組み込まれていない場合、
それが起きるか起きないかはプレイヤー次第...
つまり、プレイヤー自身がいかに「奉行問題」を起こさないようプレイするかが肝心です。
前置きが長くなりました。今回のテーマはコレ...かどうかは分かりませんが、
このテーマに沿ってシナリオを練るならば、
『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2015年5月号 p161 中道裕大
まずは誰かが奉行をし、それが上手くいかないことを描写する。
『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2015年5月号 p168 中道裕大
しかる後、協力することでゲーム進行がスムーズになる。
何かが正しい事を示すには、反対のことを間違ってると示すのが手っ取り早いですし、
序破急の破を上手くいかない描写に、急をそこからの転換に当て嵌められます。
意外な展開はゲームの展開で、
それ以外の展開は基本に忠実、というのがこの漫画の良い所ではあるのですが、
『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2015年5月号 p163 中道裕大
こういうシーンがベタ過ぎるのは
もうちょっと何とかなんねーかなぁとは思いますねw
と、話がここまでならまーまー面白いで終わるのですが。
『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2015年5月号 p148 中道裕大
このブログで何度も言及している言葉だと
「PDCAサイクル」「ロールプレイ」の2つの話になります。
白石の役割は指揮官… PDCAサイクルだとC(check = チェック)
鷺ノ宮は計画立案… PDCAサイクルだとP(Plan = 計画)
山粼の役割は実行部隊… PDCAサイクルだとD(Do = 実行)
と言えるでしょう。
P→D→C→のループが回って(Aは省略されてますけど)はじめて
物事が上手く回っていくと。
で、会社でもよくありがちなのは
『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2015年5月号 p159 中道裕大
現場の人間には全体が見えず、本部の人間には現場が見えないという状況。
こういう事がきちんとキャラのロールプレイとして出来てる辺りは、
どれだけ作者が意図しているのか分かりませんが、素晴らしいなと。
『放課後さいころ倶楽部』 ゲッサン2015年5月号 p173 中道裕大
ミドリパパはこう言って、ミドリは「ほとんどシュミのくせに」と言っていますが、
むしろこの最終試験は彼らの「適性」を識る...
何に適しているかというよりは、むしろ自分の適性の限界を知り、
他人の適性を尊重する事に繋がるのではないでしょうか?