サンデーS 201408


◎ 月イチマギ部
4pの漫画にこの評価ってのはちと甘めなのかもしれませんが。
『月イチマギ部』 サンデーS 2014年8月号 p4 一色美穂

ルールを簡潔に説明しつつ、編集者のキャラもきちんと描き、
オチもきっちり落とし、何より「楽しそう」な印象を受けるようになっていると思います。
これだけ上手くて面白い漫画を見せつけられると、
やはり一色先生のオリジナル作品を期待してしまうんですがねw
オリジナル作品だとアクが強くて、現状青年誌向きなのは確かなんですよねぇ。
『LASBOSS×HERO』のように、その辺りを上手く折衷できると少年誌でも描けそうなんですが。


○ マギ シンドバットの冒険
本編は過去編に突入してからちょっとどうかなぁという印象ですが、
こちらはシンプルにかつての『マギ』の良さを出せてるのではないかと。


今際の国のアリス
今際の国のアリス』 サンデーS 2014年8月号 p88 麻生羽呂

いわゆる正体隠匿系ですか。これは期待できそうです。
いやまぁ今まで期待できそうにない「げぇむ」があった訳ではないのですが。


キャラクタイムズ
毒は吐いてるんですけど、個人的にはもひとつ。
まぁ面白いと思う人はいそうな感じではあるので、ダメだという気は起こりませんが。


○ アトランティド
一話目からガツンと面白い感じではありませんでした。
原因として、前半の展開が割とありきたりだったことと、
『アトランティド』 サンデーS 2014年7月号 p128 山地ひでのり

削っても良さそうな所いくつか見られること。
例えばこのページの4コマ目、必要ですか?
5コマ目のセリフ「これだろ。」から「これか?」に変えれば話は問題なく通りますし、
ついでに言うなら6コマ目のセリフも「それを返して!」よりは「返して!」の方が良さそうです。
無駄なコマやセリフがあるからテンポも悪くなるという話にはなるのですが、
それ以上に問題なのが、これらの箇所を無駄だと簡単に切り捨てられる所ではないかと。


上のシーンと似たようなものが思いつかなかったので、
同人誌『若木先生が好きすぎて語る何か』でも引用したこのシーンで説明します。
神のみぞ知るセカイ』 17巻 p102 若木民喜

それまではイケメンに目がなかったちひろが、即喰いついて来そうなイベントなのに、この素っ気なさ。
これによってイケメンに対する情熱が冷めたことを描写しつつ、
桂馬に対して好意を持っていることを示唆していました。
ちひろのセリフが全く無いにも関わらず、所作だけで、ですよ。
このページ自体は無くても話は問題なく通りますが、
ストーリー展開以外の大切なものがあるからこそ、わざわざ1pも費やしているのだと思います。


つまり、『アトランティド』には、キャラ描写と密接に関わりが無いからこそ、
逡巡することなく削れるコマやセリフが散見されているという事になります。
正直、1話目でキャラにファンが付くか?と言われると微妙と答えざるを得ません。
別に萌え成分増やせとか読者に媚びろとか言ってる訳ではないですよ?


『アトランティド』 サンデーS 2014年7月号 p147 山地ひでのり

とは言え、この敵キャラは立ってましたし、意外性のあるシーンは面白さを感じられるものでした。
世界観も悪くないですし、先々に期待はできる作品ではあったかなと。


MONSTER×MONSTER
やっぱ面白いという感じにはならんですなぁ。
というかコレを面白いと思ってる人、いるんだろうか?


キュピコ!
相変わらずいい意味で相変わらず、以外のコメントを思いつきませんw


× P.K.ジーニアス
ちと厳しめですが。
寒川先生の目次コメントから察するに、寒川先生の元アシでしょうか?
基本的にディフォルメされたキャラとスポーツ漫画ってのは相性が悪いと常々思っていて、
寒川先生はそんな中でも割と上手い事やっていると感じているのですが、
桐谷先生は動きがあまりにも微妙すぎます。
『P.K.ジーニアス』 サンデーS 2014年7月号 p284 桐谷将士



例えばこの映像や、2011年アジアカップ決勝・李忠成ボレーシュートを見れば分かると思いますが、
インパクトの瞬間に上半身が下向きに捻りきってる状態ってのはまずありません。
上のシーンだけ微妙ならまだいいんですが、一番目立つのがここというだけで、
全般的に怪しいというのがかなり根深い問題だと言えるでしょう。

とにかく、動画などの資料を探してから、それを見て描く。
この工程を経ないと、今回のようなヘンなシーンはこれからも出てくるんじゃないかと。
サンデーS 201403

以前『バディ!!!』の記事でこう批評しましたが、桐谷先生も同じ問題を抱えてるのではないかと。
以前に比べて大分マシになったとは言え、絵柄自体がかなり旧い印象を受けますし、
スミベタを多用してる事で旧さに拍車が掛かってるように見えます。


内容的には一応枷が掛かって外していたり、「楽しい」の演出はあるのですが、
評価できるのはそのくらいで。
絵柄が最大の原因ではあるのですけども、キャラの魅力に乏しいのが致命的。
これはちょっと厳しいんじゃないかなぁ。


◎ ぬいぐるみクラッシュ
すっかり面白いが通常運転に。
『ぬいぐるみクラッシュ』 サンデーS 2014年7月号 p331 熊之股鍵次

warota。
何気にキャラの表情が豊かになってるのもいいですね。


グノーシス・マーチ
さすがに星野先生という所も見受けられるのですが、いかにも地味ですなぁ (苦笑)
ミステリーだからある程度は仕方ないのかもしれませんが。
グノーシス・マーチ』 サンデーS 2014年7月号 p367 星野倖一郎

このセリフ回しはさすが。
ここを含め一応意外性を出すためのキャラの伏線が2つあるんですけど、
伏線としてはベタであるが故に先が読めるのが物足りません。
単にスロースタートなだけならいいんですけど。


ただ、バックボーンとしては中々面白い所を突くなぁと感心。
高校で世界史を選択してた人ならピンと来るかもしれませんが、
グノーシスは「グノーシス主義」から採ったものでしょう。
グノーシス主義に関してはwikiや下のリンクを参考に。(但し、正確かどうかは保証しかねます)
『神々の故郷とその神話・伝承を求めて』 10.キリスト教の光と影 2.最大のライバル「マニ教」と「グノーシス主義」


星野先生は『ポップコーンアバター』でもインド神話を題材に扱ってましたが、
グノーシス主義の「反宇宙的二元論」を人間と吸血鬼の対立構造に置き換えた...
かどうかはまだ分かりませんけど、少なくとも設定に深みを増すことにはなりそうです。
その辺りをどうエンターテインメントとして昇華できるかでしょうねぇ。
正直、『ポップコーンアバター』では面白さへと繋がる感じではありませんでした。


◎ 最後は? ストレート!!
地味なのは相変わらずですし、極端なシフトとその結果には多少ご都合主義的な印象は受けますが、
慶のキャラ描写には見応えがありました。久々にこの漫画読んで面白いと感じたなぁ。


アパートメント・オブ・ガンダム
印打とうという気には全然なれませんが、一昔前に比べれば大分マシにはなってると思います。


とある飛空士への追憶
個人的にはこじま先生の絵の見栄えがどんどん良くなっていくのがある意味楽しく。
内容的には核心へと迫っていく感じが若干面白くなりつつあるのかな、という印象はありますが、
そこで止まってしまいそうな懸念の方が大きくて。


○ 名無しは一体誰でしょう?
新展開ではありますが、序盤なので何とも言えず。
ただ、キャラの掘り下げに多少気を遣い始めたのは好印象。


◎ 木倉さんと三人三脚
『木倉さんと三人三脚』 サンデーS 2014年7月号 p519 奥英樹

矢文やらぬ槍文もそうですが、
河川敷でのキャッチボールを槍に置き換えただけで、こんなに新鮮な演出になるとはねw
マイナー競技であることのメリットを活かせてるんじゃないでしょうか。


○ 女子高生刑事 白石ひなた
つまらなくはないんですが、やっぱこの漫画はミステリーあってナンボだなぁと再確認。
伏線は張ってあるので今回もミステリーと言えばミステリーなんですが。


THE UNLIMITED 兵部京介
フツーの漫画なら臭いセリフでさえも格好良くなるってのは、やっぱキャラなんでしょうなぁ。


覚の駒

やはり一話完結が最大のボトルネックだったようで、大分マシに。
意外性もちょろっとあり、以前のように箸にも棒にもかからない感じではなくなりました。
ただまー面白いと思わせる所までにはまだまだ遠い印象。
サンデーS 201405

以前こう書きましたが、
ストーリーに制約が多いからこそ、一話完結が最大のボトルネックになっているんだなと再認識。
絵が多少スッキリした以外は内容的にも相変わらずマンネリ傾向で、
成長が感じられない点が個人的には一番キツいです。


◎ バディ!!!
かなり甘めですが。
『バディ!!!』 サンデーS 2014年7月号 p631 西園フミコ

ちょっとコレは微妙かなぁと思うシーンも無くはないのですけど、
(腕の付き方がちょっと低い)
『バディ!!!』 サンデーS 2014年7月号 p645 西園フミコ

絵で魅せたいシーンがちゃんと様になってきたように見えます。
(まぁこのシーンは手首を省略してる所が個人的には怖く見えちゃったのですが)
ノールックパスは絵で魅せた上に信頼関係の演出にもなっていましたし。



西園フミコ
このクロッキーを描いたのは誰だあっ!!(海原雄山
わたしです。晒します。 pic.twitter.com/vFFuJMU7eX
link
この原稿が完成した後の話ですけど、最近西園先生はPOSEMANIACSというサイトの 30秒ドローイングで描いた絵をtwitterに晒していて、 確かにコレをやると上手くなりそうな感じはします。 どうせならこの訓練方法を紹介しているらしい『脳の右側で描け』も読んで欲しいところですが... (私が読んだ第1版ではそんな記述は無かったので、第4版にはあるのかも)
脳の右側で描け

脳の右側で描け

中古ならamazonでも売ってますし、図書館でも借りられるはずです。 (取り寄せる必要はあるかもしれません) ただまー文章自体は難しくはないものの、内容的には若干難しいので借りて読むだけでは 理解するのは厳しいとは思いますけども。 立ち読みする感覚で借りてみて、身になりそうなら買ってみることをオススメします。 と、全く絵が描けない人間が言っても説得力皆無ですがねw あと、30秒ドローイングが「やらなきゃいけない事」になってないかが若干気掛かり。 作画向上は西園先生にとって「やらなきゃいけない事」ではあるのですが、 その想いだけでは中々続かないと思うんですよね。 ベイビーステップ』 7巻 p133-136 勝木光 講談社 いかに楽しくやれるか。 上手くなったことが実感でき、それが楽しみに繋がると一番いいんでしょうけども。 その為にも、描いたものをちゃんと記録してるのは良い事だと思います。 話が逸れたので漫画の批評に戻しますが、内容的には若干不満。 本当の策士なら、攻撃チームへの対策がなされてたと気付き、 追い上げられた段階でまた守備的チームに戻すだろうとか思っちゃいます。 一番勿体無いなぁと思うのはココ。

個人的には男性と女性の違いが気の強さ具合だけでは勿体無いので、
それ以外の性差も上手く出せれば、TSFである意味がもっと高まると思うのですが。

文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

バスケに必要な空間認識力とかはどうしても男性に分があったりしますし、
女性の方がちょっとした事でも気づく、といった辺りは漫画に反映させ易いでしょう。
サンデーS201311

『バディ!!!』 1話目でこう批評しましたが、まさにそれが出来た展開だっただけに。
尺的にはちょっと厳しいかもしれませんが、例えば落ち込んでトイレに駆け込み、
『バディ!!!』 サンデーS 2014年7月号 p641 西園フミコ

先輩が調子良いのに足を引っ張った自分に嘆く。
で、コートに戻って男に戻って解決策を思い付く。
こうすることによって、千明の男性・女性でいる時の役割が分担される。
TSFである意味が増え、キャラの深みを増す事に繋がっただけに。


最後に重箱の隅。
『バディ!!!』 サンデーS 2014年7月号 p638 西園フミコ

単純に引き算を間違えたのではなく、最初は8点差にしていたものを、
「ちょっとリアリティに欠けるからもう少し差を詰めよう」と56対60へと点数を変えたものの、
それに伴って4点差へと変更するのを忘れたとかじゃないかなぁと推測。


KING GOLF
迫力バンバン出まくりで爽快感ありまくりで。
単行本はそれほど売れてませんけど、やはり良い漫画だなぁと改めて。


夏空エンドラン

「打った」「やったー」「わーーーーーー」の繰り返し。
いやまぁある意味女性らしいとも言えるかもしれませんが...(苦笑)
ひょっとしたら『おお振り』の男性が面白いと思う箇所を全部ひっこ抜いたらこんな感じなのかも。
サンデーS201312

今回も構造的に見ればその延長上にあると言えなくもないですが、
キャラの考えをちゃんと描いていますし、全く問題ないですね。
『夏空エンドラン』 サンデーS 2014年7月号 p736 伊藤しろ

ただ、この打球でホームランってのはいくら何でもミスリードとしても無理があるのと、
個人的には東子先生が眼鏡外して魅力が7割減。


ネッコロ
やっとこう、シュールさが味になるような感じになってきました。
(前回と同じ感想)