ゲッサンmini 5 (ゲッサン201401別冊付録)

ゲッサンmini 5 (ゲッサン201401別冊付録) p1

今回はゆずチリ先生の表紙。
ぶっちゃけかなり微妙ですが、ここからどれだけ上手くなっていくかですね。
調べてみたら、ゲッサン新人賞で昔から「絵がネック」だとさんざん言われ続けていますし。
バランスがおかしい訳でも無いので、場数こなせば解決されるとは思います。
もちろん良くしていこうという意識は必要ですけども。


ちなみにゆずチリの由来は



ゆずチリ
@makoXmako お疲れさまです!僕も福井先生にお伝えしたいことが!今月号の福井先生の読み切りに実家の母がたいへん感動してました!(^O^)いきなりメールきましたもん(笑)僕もかなりグッときました! ゆずチリは中学のときに好きだったゆず(音楽家)+エビチリ(中華料理)です!笑
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らしいですw からかい上手の高木さん 『キョーコ』同様2本立てでしたが、こちらは全くダレる事もなく安定のクオリティ。 『高木さん』ならサンデー本誌でも十分やれてたんじゃないかと思います。 ゲッサンの作家がサンデー本誌へというのは、1話リバイバルや読切出張以外では前例ありませんけど。 という事で、『高木さん』の本誌出張くらいならアリじゃないかなぁ。 からかい上手の高木さんゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p34 山本崇一朗 相変わらず西片くんが高木さんの手のひらの上で踊らされてる感が楽しいです。 この前のシーンもそうですが、赤くなってるのは否定できない辺りがねw からかい上手の高木さんゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p34 山本崇一朗 個人的には高木さんのモノローグが初めて出てきた辺りに違和感に近いものを感じました。 西片くんに聞こえないような小声でつぶやく感じの方が良かったんじゃないかなぁと。 まぁアリナシで言えばアリでしょうし、 これがアリなら高木さん視点で話を作るってのもアリだとは思います。 アオイホノオゲッサン2011年1月号 p381-382 (6巻 p59-60) 島本和彦 ブコメの基本はコレですから、要は付き合わなければいいんですし。 とは言っても、この作品に関してはあんまり「ムフ♡」を必要とはしない気がしますねw からかわれてる事自体がご褒美って感じですし。 私を姫とは呼ばないで ゆずチリ ★★★★★ あれ、作者って女性だっけ? と一瞬思うほど。 たぶん男性だとは思うんですが。実際どうかは知りませんよ?w

「ダメな僕。それでも『そんなアナタが好き』と言ってくれる女の子はいないかな」と<承認>を求める男の子。そんな具合に自分のことしか考えていない男の子に愛想を尽かし、心の奥底を打ち明けても<理解>してくれる男性を求める女の子。これでは、噛み合うはずもありません。
『日本の難点』 p40 宮台真司 幻冬舎新書

このブログで何度か引用してる文章です。
心の奥底を打ち明けられた訳ではありませんが、
『私を姫とは呼ばないで』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p61 ゆずチリ

打ち明けたかった事を王子に言われ、暫く経ってから涙が溢れだす辺りはリアリティあるなぁと。
前作『妹観察日記』でも感じた事ですが、
主人公の心理描写と枷の掛け方、外し方は本当に素晴らしいですね。
ノローグの上手さは、一人称視点でないと話が描けないのとコインの裏表のような気もしますけども。
何にせよ、文句なしの★5つ。
受賞作の『雨女晴れ男』含めて3作共素晴らしい内容なので、これは本物でしょう。
私から見れば素質に関しては疑いようがないです。


絵のクオリティはまだまだだとは思いますが、(前回から「まだ」が一つ減りました)
『私を姫とは呼ばないで』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p62 ゆずチリ

前作よりは良くなってる気がしますし、目を瞑ってるシーンはちゃんと可愛いので、
見栄えの一番のネックは瞳の描き方なんでしょうなぁ。後は線の強弱?


エレベーター 小山愛子
★★★★☆
ちと甘めですが。
『エレベーター』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p70 小山愛子

この初々しさは嫌いじゃないです。
ちなみに、個人的には小山先生の描く初々しさで一番素晴らしいと思ったのがこのシーンです。
『ちろり』 ゲッサン2013年5月号 p466 小山愛子

やっぱり女の子が照れてるシーンってのは萌えを惹起しますね。


サラブレッドに恋して 雪丸
★★★★☆
ちと甘めですが。
女の子の喜怒哀楽はちゃんと可愛く描けてますし、描くのが難しいらしい馬も違和感なく。
第4回ゲッサン新人賞の時点で馬の漫画描いてるくらいですから、好きなんでしょうね。
サラブレッドに恋して』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p83 雪丸

内容的にも、こういう感じで枷を掛けて、
枷を外す際に「そこまで言ってない」髪を切る事がイメチェンを兼ねた本気度を表していると。
綺麗に纏まってる作品だと思います。


迷宮入り探偵 かんばまゆこ
★★★★★
ちと甘めですが。
ゲッサンmini3号の『錦田警部はどろぼうがお好き』よりは落ちますけど、
『迷宮入り探偵』シリーズでは一番面白かったんではないかと。これもmini掲載は勿体ない感じ。
まぁゲッサン本誌の連載はあくまで穴埋めなんで、たまたまこのページ数って事にならないんでしょうけども。
『迷宮入り探偵』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p99 かんばまゆこ

時限爆弾を解体するという、どれだけ使い古されてんねんとツッコみたくなるネタを、
まずは天丼で使い、次に色を変え、
『迷宮入り探偵』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p102 かんばまゆこ

「下から青いコードが!」とちょっと変化球入れた後にもう一度天丼。

ただまー天丼はやって3回が限界だと思ってます。オチもイマイチでしたしね...
これだけ同じこと続けていれば、読者も「またか」と思うので、
それを逆手に取って意外性を出すことを心掛ければ、少しはマシになるのでは。

ゲッサンmini4号『闘え! ギリギリ甲子園』の記事でこう批判しました。
この批判を反映させたのかどうかは分かりませんが、
天丼を逆手に取ることで意外性に繋げ、
意外性を続けた後に天丼に戻ることで意外性に繋げるといった風に、
読者とちゃんと駆け引きが出来てると思います。
で、例えるならば横の変化で駆け引きをしていたところに
『迷宮入り探偵』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p111 かんばまゆこ

縦の変化で意外性を。よく出来てると思います。


そして、その合間にかんば先生らしいギャグを入れる。
その辺りのギャグは個人的には刺さらないのですが、
構造的な所以外で、きちんとこの作者らしさを出してる辺りも好印象ではあります。
全部テクニックを使ったコメディをやっちゃうと、本人のモチベーションも下がるでしょうし、
この人らしいギャグが好きな人もいるでしょうから。
どうしてもギャグというのは当たり外れが大きかったり、間口が狭くなる傾向があるので、
安定性を高めたり間口を広くするためには、コメディのテクニックが必要になると思うんですよね。


今回の内容でどれだけアンケートに反映されるかは分かりませんが、
このクオリティを維持できたら、連載が続いてもクレームはそんなに出ないんじゃないかと思います。


Rの情景 笹乃さい
★★★☆☆
mini3号に掲載された『カプセル・ツアー』が素晴らしい出来だったので、
この作品も期待してたのですが、正直肩透かし。
よくよく読んでみると、構造的にはそれほど大きくは変わってないように見えたんですが、
面白さに繋がったか否かはジャンルに依る所が大きいと考えます。


ブコメだと一番大切なのはキャラです。ネタ自体はさほど新鮮味が無くても問題なくて、
きちんとミスリードして読者と駆け引き出来ていれば面白い漫画になるはずです。
『高木さん』なんてその典型。別に目新しいことは一つもありませんし。
ただ、サスペンスになると意外性がより重要になるのに加え、
目新しさも必要になってくると思うんですよね。
『VANILLA FICTION』なんてその典型ですが。ネタでも切り口でも何でもいいんですけども。


『Rの情景』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p136 笹乃さい

で、最大の問題は、サスペンスではミスリードさせる必要があるのに、逆にリードしている点です。
このシーンのように、このキャラが吸血鬼かもと読者に想像させてしまっている。
伏線のつもりでやってるのかもしれませんが、タダでさえベタなネタで盛り上がりに欠けるのに、
結果的にはそれをさらに均してしまっています。
個人的には血液型を出してるのも面白くないです。ABO式以外に血液型が何種類あるのかと。


まったりサスペンスってのもある意味新しいのかもしれませんが、基本的には相性が悪いと思いますねぇ。
既にそういう系統で成功してる作品があるのかも知れませんけども。
テーマやキャラは悪くないだけに、ちょっと勿体無い作品ではないかと。


オーマイ導士さま! 源 素水
★★★☆☆
twitter源素水
ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p194

第72回新コミ佳作『よろず薬局店の惚れ薬』はクラサンで読めます。
こっちはまーまー面白いんですが。 (クラサン基準だと★★★★☆くらい)


ゲッサン新人賞の方にそれらしい名前が見当たりませんでした。 (そもそも北海道の受賞者さえいない)
恐らく持ち込まれた作品を、そのまま新コミに出したんでしょう。
受賞時点で26歳みたいですが、現時点で既に連載に耐えうる絵の見栄えはありますし。
というか、第72回新コミは3人がゲッサン新人って事ですか。
ゲッサン的には素晴らしい事ですけど、これサンデー本誌的にはどうなのよ?とw


この作品に関しては、内容的にいまひとつ。
何故面白くないのかイマイチ良くわかってませんが、自分なりに考えた問題点としていくつか。
『オーマイ導士さま!』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p155 源 素水

個人的には主人公がプレーンなキャラクターだと1pだけで意識させた後、いきなりキョンシーになったり、
いつの間にか婆ちゃん子設定を追加されたりといった辺りで、イマイチ主人公に感情移入できませんでした。
私も婆ちゃん子だったらそこで共感を得てたのかもしれませんが。
序盤で急に展開を変えてるだけに、もう少し主人公視線の絵作りでモノローグを出していけば、
その辺りが少しは解消できたのかも。


意外性の出し方も微妙で、最初の急展開と「実は孫」の設定だけ。
どちらも漫画の面白さに繋がる要素にはなってません。


後はカタルシスの無さ。
主人公がぶっ飛ばされた後に問題解決じゃぁ、達成感も何もあったもじゃありません。
『オーマイ導士さま!』 ゲッサンmini 5 (ゲッサン2014年1月号別冊付録) p193 源 素水

最後にツンデレ入れてるのは、その辺りの問題点を和らげようという試みなのかもしれませんが、
ババアなのにこんなに萌える、と読者と萌えと萎えの境界線上にて駆け引きをしてた訳でもないので、
イマイチ効果的ではない気がします。
そういう匂いを最後の最後で出すことによって、意外性と捉えてくれる人もいるのでしょうけども。


アバン (導入) やら何やら、結構難しい事をやろうとしてるのは伝わるんですが、
どうもそれが上手く回っていない感じをどう表現しようかと悩んだんですが、
作者のコメントにある「もどかしい」という表現が一番ぴったりする漫画かもしれません。
まずは伏線一本のシンプルな展開の漫画を描いてみて、そこからテクニックを増やしていく方が良いのかも。