【漫画家】お絵かきラジオvo​l.050【プロ】の計算

需要がある気は全くしませんが、
以前放送で取り上げられてた計算をここでも一応書いておきます。


A) 見た目の奥行き (裸眼 or 50mmレンズ相当)

以下に書いてある計算は一点透視を前提にしてないので、
そこだけは注意してください。

目の位置が150cmの人からみた、300cm先の30×30cm角のタイルの
奥行きはどのくらいに見えるか

こういう前提で計算していきます。


奥行きがどこにあたるかを考えるにあたって、
タイルを回転させて、どの位置になれば最大になるか
を考えると、感覚的にも分かるんじゃないかと。
目線とタイルが平行になった時には、タイルの側面の厚さしか見えませんし、
目線とタイルが直角になった時には、タイルが正方形に見え、奥行きも最大になります。
つまり、見た目の奥行きとは、目線と直角になる線分にあたります。


タイルが問いの位置にあった場合は

この図で言うと、破線が目線で、太い線のうち、手前がごとう先生がXだと言ってた実線で、
実際の見た目の奥行きがその奥の実線です。真横からみた場合は、

タイルの一番手前を見た時の目線と、奥の目線の中間の目線と直角になる線分...
Zoが見た目の奥行きとなります。


なので、このZoを求めればいいんですが...。

理論上は下の式を解くだけなんですけども、

Zo/2=sinα(150/sinγ)
α=(β-γ)/2

計算が超絶面倒臭いです。私は挫折しましたw

計算上はおおよそZo=12.42になるようです。


なので、もうちょっと簡易的に考えてみます。
Zを中心線に垂直ではなく、奥の目線と直角になる線分で取るようにします。
この場合、どのくらい誤差が出るかというと、

Z=12.41となります。ほぼ変わらないですね。ZoとZとの角度もわずか1.04度。
まぁソフト使えばイチイチ計算しなくていいという話でもあるんですがねw


図1

で、これだと計算が上の式に比べれば遥かに楽です。
(それでも難しいと思われるかもしれませんが、一応中学数学の範囲内です)


1) Xの値を求める。
図1の三角形 (YとXと30で囲まれた三角形) は
図2

この図の底辺が330cm、高さが150cmの高さと相似形 (大きさは違うけど形は同じ) です。
なので、このようになります。
30:330 = X:150
要するに、大きな三角形は、小さな三角形の330/30=11倍って事です。
なので、Xは150を11で割れば出てきます。

X = 150/11 ≒13.63 …… (1)

ここまでは、ごとう先生がした計算と同じですね。


2) Yの値を求める。
図1から、Yの値を求めます。三平方の定理 (ピタゴラスの定理)を使います。
直角三角形の斜めの線の長さを2乗したものは、底辺の2乗と高さの2乗を足したものに等しい
という公式なのですが、図見た方が早いですかね。

(ちなみに、これが成り立つ自然数の組み合わせをピタゴラス数と言い、無限にあります。)
この公式から

Y^2 = 30^2 + X^2 (「^2」は2乗のこと。 Y×Y = 30×30 + X×X)
   = 900 + X^2
X = 13.63を代入すると、
Y ≒ 32.95  …… (2)  

3) Zの値を求める。
さて最後です。相似から求めることも出来るのですが、
三角形の面積の方がわかり易いかなぁと。


三角形の面積を出す公式は
面積=底辺×高さ÷2ってのは覚えているかと思います。
(ちなみに相似と三平方の定理は中3ですが、三角形の面積は小5で習います)
XとYと30で囲まれた三角形の面積を出す場合

Yを底辺とみると、Y×Z÷2となりますし、30を底辺にみると、30×X÷2となります。
つまり、
Y×Z÷2 = 30×X÷2
これを解けばZが出ます。


Y×Z÷2 = 30×X÷2
Z = 30X/Y
(1) (2) を代入して
 ≒ 30×13.63÷32.95 ≒ 12.41

Z = 12.41


このZ =12.41 (もしくは12.42)ってのは、300cm先の30cm角のタイルを見た時に
横幅を30としたら、奥行きは12.4くらいの割合に見えるという事です。
これを一点透視で描くと、これよりはもう少し大きな数字になります。


B) ではX =13.6 が奥行きなのは間違っているのか?
ぶっちゃけ間違ってますが、1点透視で絵を描くとき、13.6で描いて違和感出るかと言われると...
恐らくそんな事は無いと思います。
ただ、1点透視の奥行きはXで表せるとだけ考えるのは危険です。


どういう時に危険か。それはタイルが近い時です。
一番極端な例を挙げると、タイルが真下にあった場合。

Xが150cmになるんですよね。30cm角のタイルなのに。
もちろんコレは極端な例ですし、
目線が150cmの高さで水平位置に収束点がある1点パースで足元が見える訳ないのですが、
仮に120cm先のタイルだとすると、X =30 となり、タイルがほぼ正方形になっちゃいます。パースがあるのに。
概ね視野角が60度 (水平より下には30度) より広い場合には、Xを基準にすると手前にかなり誤差が出る...
違和感が出るパースになる可能性が高いと思われます。


なので、結論を言うと

a) 1点パースで上の条件だと、奥行きはZ = 12.42 より大きくなる
b) 1点パースで上の条件だと、奥行きはX = 13.63 より小さくなる
c) 1点パースでXを目安にするなら、なるべく平行に近い時にする

こんな感じじゃないかなぁと思いますね。
まぁ元々測って描く事も無いでしょうし、あくまで目安ということで。