ゲッサンmini 2 (ゲッサン201307別冊付録)

何やかんやあって予定より3日記事をupするのが遅れました。
平日は確実に『彩色主義 生放送』で2時間取られるので、土日に用事あると中々厳しいですなw


ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p1

山本先生、カラーも結構いいですね。
で、『からかい上手の高木さん』がminiでの連載となりました。
今までは読切と連載の間には『パピヨンの風』『銀の王』などの4話短期集中連載がありましたが、
別冊付録を定期的に出すことで、miniでの連載という新しい選択肢が増えたのはいいですね。


短期集中連載だと4話分溜まるまで待つ必要がありますし、かと言って1話づつ小出しにしたら忘れられる。
mini連載だと、次にmini出る時には載ると分かりますし。
作家側からしても、例えばアシスタントを続けながら連載もできるでしょうし、
4話で区切りを付ける必要も無いので、人気が出ればそのまま連載を続けることも可能でしょう。
さらに人気が出ればminiからゲッサン本体への移籍も容易ですし。
世界を救うタイプの漫画だと少し工夫する必要はあるかもしれませんが、
何話目から読んでもあまり影響のない日常系ならノープロブレム。
新人の全てをmini連載経由にすべきだとは思いませんけど、
作家の実力や状況・人気等に応じて、誰をどういうルートで育てるかという意味では非常に有効ではないかと。


からかい上手の高木さん
この作品だけ読切ではないので、クラサン基準の5段階ではなく連載基準の3段階評価で。
2012年7月号に掲載された8p読切のリファイン版。

もう一話完結の読切を描く意味が見出せないので、次は連載を見据えた短期連載で読んでみたいですね。

読切で面白いものが描けるってのは分かりきってるので、そろそろ短期連載して欲しいんですがねぇ...

以前読切が載った時にこう書いたこともあって、個人的には非常に嬉しい連載です。


山本先生の漫画に共通してるのは、ミスリードのさせ方ですかね。
キャラのモノローグ等で読者の思考を誘導して、別のキャラがそれを覆す。
からかい上手の高木さんゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p16 山本崇一朗

そしてこの表情である。
主人公の西片もいい表情しますけど、高木さんもいい表情しますねw
喜怒哀楽以外にも表情があるというか、表情のバラエティがあるというか。
まぁ結局のところ眉と目と口の組み合わせなんでしょうけども。


連載を続けるにあたって、意外性のバラエティをどうするかに関しては
既に読切『まちにまったおとなりさん』の記事に書いたので省略。
個人的に、課題はそこだけだと思います。


からかい上手の高木さんゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p12 山本崇一朗

密かに前作『歩いて下校』のキャラ3人がmobとして登場。こういう遊び心もいいですなぁ。


ブレザーと眼鏡 小山愛子
★★★★☆
絵柄等から恐らく『ちろり』プロトタイプ読切 (ゲッサン2011年1月号掲載) より前の作品だと思われます。
『ブレザーと眼鏡』 ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p22 小山愛子

ヤマもオチもイミも無く、「おんなじ」事を見つけてテンションあがる、ただそれだけの作品。
4pという制約を掛けることによって、「描きたいものは何か」を探るための読切なんでしょうなぁ。
元の意味での「やおい」は普通ネガティブな意味を含みますが、
ヤマやオチやイミを描けないのではなく、それさえ削ぎ落としても描きたいものがあるという選択をするなら
こういう漫画もアリだと思いますね。
実際どうかは分かりませんが、このように捉えるとこの読切は『ちろり』に繋がっている作品ではないかと。


MERRY SHOOTER 森茶
★★★☆☆
新人作家の読切と見れば及第点ではあるんですが、
6巻まで単行本出した作家さんの読切と考えると、正直言って期待外れ。
『MERRY SHOOTER』 ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p54-55 森茶

お前それが言いたかっただけとちゃうんか、とツッコミたくもなりますw
漫画自体は良く出来てるんですけど、面白いかって言われると...


なぜあんまり面白くないのかイマイチ掴めてませんが、
『MERRY SHOOTER』 ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p38 森茶

原因のひとつとして、敵がムカツク感じになってないって所がありそうです。
腹が立たないから、倒してもイマイチ達成感が沸かないんじゃないかと。
敵自体にも問題があるとは思いますが、
それ以上に被害を受けた女の子に感情移入しにくいのが原因でしょうか。
例えば、アバン (導入) でこの娘がピアノをプレゼントされて喜んでるシーンを入れ、
このシーンではそのピアノを破壊され泣き叫んでる... となれば、少しはマシになるんじゃないかと。
ちゃんとキャラ同士の関連性を持たせること。読切でも最低限のことはやれると思うんですよね。


みんな未確認 斉藤ゆう
★★★★☆
『月曜日は2限から』もそうですが、タイトルのセンスはいいですね。
作家本人が考えてるかどうかは分かりませんが。
『みんな未確認』 ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p72 斉藤ゆう

夢オチ的なネタがありましたが...これならセーフでしょう。
この人の作品で初めて面白いと思いましたw
やはり4コマは新人育成に向いてるのでしょうかね。
4コマを繋げて再構成したような形になってるので、話のテンポが良いですし、
どこかのボケやツッコミで引っかかるような構造にはなってるんじゃないかと。
暫くこの構成でストーリー漫画を作ってみて、
ある程度確立できたと思ったら、それを崩していくって方向でしょうか。
何にせよ相当成長してるんじゃないかと。


へたれ勇者 あらくれ姫 美里あづさ
★★★☆☆
割と堅実な作品を作ってるなぁという印象。
『へたれ勇者 あらくれ姫』 ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p84 美里あづさ

確かにすげーですよ。すげーけど...
いくら何でも雪道をチャリって、普通滑ってマトモに乗れませんからw
この女の子がすげーって話だけだったらいいんですけど、後で男の子もフツーに乗ってますからねぇ...


割と完成されてるので、現時点でも連載できる実力はあるんじゃないかと。
可愛らしさがあるとは言え、人気が出るかどうかは別の話ですが。
ほんのちょっぴりSFやミステリー等を交えると良くなりそうな気はします。


よりすぎた かんばまゆこ
★☆☆☆☆
私がクラサン基準で星1つ付けた作品は過去に1作しかありませんが、
(『ポーターズ』 深代千唐)
それに匹敵するツマラナさ。最早漫画の体を為してません。
『よりすぎた』 ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p109 かんばまゆこ

ただ、この作品のみの評価だと酷評以外にあり得ませんが、
あえてやっちゃいけない事をやる意義はあったと思います。結果失敗しただけで。
ギャグ漫画家なので、いかに常識を覆すかというチャレンジは必要だと思うんですよね。


Mの魔弾 門司雪
★★★★★
ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p161

入選作『屋根裏ネコ東京へ行く』は全く記憶に無いんですが、
「入選も納得。完成度高いなー。」とつぶやいてたので、きっとそうなんでしょう。(要るのかこの説明)


少なくとも絵の見栄えは本誌レベル。
『Mの魔弾』 ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p156 門司雪

内容的にも、雷が絶妙のタイミングで鳴りつつ停電になり、
弾かれた銃が偶然足元に転がりこんでくる、といったご都合主義的展開が気になりはしますけど、
聖書に拳銃が隠されていたり、フツーの女の子が拳銃ぶっ放したりといった意外性や、
適度なモノローグの差し挟み方でキャラへの感情移入がスムーズに出来ていたりと、
良い面がはるかに凌駕しているんじゃないかと思います。
この作家さんは期待できそうです。


平成東京物語 きゅっきゅぽん
★★★★☆
これで何作目だきゅっきゅぽん先生w 描くの速いのかなぁ。
『平成東京物語ゲッサンmini 2 (ゲッサン2013年7月号別冊付録) p156 きゅっきゅぽん

作者の状況をダイレクトに反映させたような漫画だからか、ようやくオッサンにも理解できる内容にw
恥ずかしいことをストレートに描けるのはこの人の持ち味かもしれません。
個人的な趣向で意外性やロジックのない作品はなかなか高評価をし辛いんですけど、
そろそろ短期連載やってもいい頃かもしれません。
個性のある作家さんなので、これからもそこは残して欲しいですね。