富士昴先生の次回作にご期待ください! #3
ということで最後...になりませんでした。#4に続きます。
ぶっちゃけこの記事に関しては「富士先生が向いてそうな漫画」というよりは、
自分が読みたい漫画が、いくつかの要素で富士先生の経験を活かせそうだなと思っただけで、
富士先生にこういう漫画を描いて欲しい、という訳ではありません。
甘い考えなのかもしれませんが、漫画家は自分の描きたい作品を描くべきだと思いますし。
7) 次回作
ということで、今までの記事の流れにそって次回作を妄想してみようかと。
7-1) キャラ
中田譲治 | おぉ、伯爵だ!“@fujisubaru: @joujinakata123 中田さん、はじめましてm(_ _)m大変遅まきながら巌窟王にハマっておりまして、気づくと伯爵を描いています・・・。これからも応援しております!! http://p.twipple.jp/uGzbe ”め |
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fujisubaru | 「人間の残酷さを描くことで表現される人間愛」をテーマに描こうかと思ってたんだけど、それとはまっっったく別に、「切ないオッサンが描きてぇ!!!!!!!!」ってのがあって、そっちのほうが実はテーマとしてはいい気もしてきた。 |
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- 作者: ジョナサンローチ,Jonathan Rauch,飯坂良明
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私や多分あなたのようなリベラルなアメリカ人が、当時の創造論者を見ると、進歩を否定する無知蒙昧な穴居人の一団を見る思いがするであろう。しかし、自分の聖書を泥で汚され、代わりに神を否定する世俗の偶像が打ち立てられるのを目の当たりにするのが、どんなに恐ろしいことかを私達が理解しえないならば、我々は正しいとはいえない。創造論者たちは、自分たちの世界、自分たちの体面を守ろうとしたのであった。
『表現の自由を脅すもの』 p16 Jonathan Rauch著 飯島良明訳 角川選書
表現の自由の根幹を担うのは懐疑的思考...正確に言うと可謬主義であり、大雑把に言うと疑うことです。
一般的な観念に照らし合わせれば、疑うことは正義に反します。悪です。
ですが、実際には疑うこと (批判) こそが科学的思考であり、科学的思考に必要不可欠なのが表現の自由がなのです。
(まぁ、人を疑うことと意見の正当性を疑うことは違いますけども)
「表現の自由」を制限しようと躍起になる勢力の一つに人道主義者がいますが、
「聖書を泥で汚す」ような「表現の自由」を貫くことがダークヒーローになり得ることの証明にもなっているんじゃないかと。
このような、一般的には悪だと思われてることが正義であるテーマを扱うことによって
主人公が悪なら、『DEATH NOTE』や『アクメツ』のように最後はBAD ENDになりがちです。
(それはそれでいいんですが)
主人公が善で敵役がダークヒーローなら、いずれダークヒーローは倒されることになり、
その時点で物語は終わります。
という縛りから開放されることになります。
すなわち、主人公が悪でもHAPPY ENDに繋げることができますし、善の主人公とダークヒーローが組むことも可能です。
個人的にはこういう漫画が描ければ、かなり画期的なんじゃないかと思うのですが。
まぁ探せばあるんでしょうけどねw
7-4) 配役
このようにダークヒーローであっても行動が正義である場合、基本的には主人公が妥当だと思われます。
ですが、個人的には主人公の味方がベストなポジションではないかと思います。参考になったのが『巌窟王』でした。
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アニメ化に伴って主役をアルベールへと変更しました。この変更が実に素晴らしいなと。
このブログで何度も書いてることですが、主人公の描写の方法として主に着せ替え型とコスプレ型の2つがあります。
引用は以前の記事にあるのでそこを参照してもらうとして、
アルベールは感情移入がし易いキャラクター(着せ替え型)で、伯爵は憧れを抱かせるようなキャラクター(コスプレ型)です。
一応主人公はアルベールという事になっていますが、実質主人公が二人いる作品だと言えるでしょう。
これによって、着せ替え型とコスプレ型主人公双方のメリットを享受できるような構造になってる点がまず素晴らしいです。
しかも、それが理に適っている。
コスプレ型は基本的にそうなのですが、特にダークヒーローとなると感情移入が阻害されるという欠点が出てきます。
そこで着せ替え型の主人公を配置し、ストーリーが展開するにつれ、主人公がダークヒーローと共感してゆくことを通じて、
視聴者のダークヒーローへの感情移入を促していく。
また、伯爵を含め大人の描写が何かしらの我欲... 愛欲、金銭欲、名誉欲を扱ったドロドロの展開を見せつつ、
アルベール含め若者の描写は何かしらの正義...信頼、献身、愛情といったピュアな展開を見せる。
テーマ自体は復讐を扱った作品ですが、それに賛同しない人にとっても作品を楽しめる工夫がなされてるのではないかと。
キャラ毎に何を最も重要視してるかがきちんと区別されている点も見逃せなくて、
例えば献身が大切だと感じてる人はフランツに感情移入する事になるでしょう。
テーマが「表現の自由」であり、一見納得できない「疑うことが正義」というロジックを浸透させる構造にしつつ、
それを受け入れられない人にも楽しむ余地を残すには、『巌窟王』と同じような構造、すなわち、
プレーンな着せ替え型の主人公を配置し、その味方としてダークヒーローを登場させるのが妥当だと考えます。
敵役は主に権威主義者、人道主義者、原理主義者です。
最近の『マギ』が階級闘争をテーマに扱ってますが、懐疑的思考と権威主義とは永遠のライバル関係なので、
「表現の自由」をテーマににしても、同じようなストーリー展開が可能でしょう。
『マギ』 週刊少年サンデー2012年49号 p20 大高忍
「ある人は他の人よりもより賢い。だから……より賢い人が尺度である。」
『テアイテトス』169b,158d プラトン
サンデー本誌を狙うなら、逆に『マギ』といかに被らないようにするかの方が重要になるかもしれませんけどもw
そもそもこの漫画、「マギが王を指名する」という設定自体が権威主義的なんですが、
さて今後どうなるやら... 個人的には「天皇の下での平等」に似た方向しか無いとは思ってますけども。
7-5) 舞台
聖書を汚すような事をすればクレームを受けるのは必死なので、ノンフィクションに近いものは避けるべきでしょう。
この設定ならば、中世ヨーロッパをイメージしたものが妥当だと思います。
基本的にはファンタジーですが、それが嫌なら歴史モノでもフィクションだと強調できさえすれば良いとは思います。
fujisubaru | バトルだめ、ファンタジー嫌、スポーツ無理、ギャグ描けない。うああああああ何もねぇえええええ(;°д°) |
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