少年サンデーS 201212

何の意味があったのかよく分からなかった『MAJOR』のリバイバルと、
それなりに売上は確保した『AGE』のコミカライズが終了して、次号も2本が新連載。これで3ヶ月連続。
連載が27本 (『ハヤテ』除く) なので、新人作家の場合は概ね2年4巻でのローテーションって事にはなりそうですね。
連載立ち上げるのにどれだけ時間が掛かるかは作品・作家さんによって違いはあるでしょうけど、
概ね1年前後とするとこれくらいのスパンは必要って事なんでしょうか。
読切はクラサンのみという感じになりそうですね。


まんカレやコミック大賞で毎年どれだけ新人さんが入ってくるのかは知りませんが、
サンデーSになってある程度間口は広くなってボトルネックは解消されてるのかもしれません。
クラサンもありますしね。
まぁここから本誌へのハードルがまだあるので、人気出たら即週刊へと移行できるような月刊誌が
もう一冊必要な気はします。
理想を言えばサンデーSも500円で3万部くらいの実売になればいいんですけどねw


今週のクリアファイルは以前本誌で掲載された『ハヤテ』のカラーでしたが、
個人的にはいいカラーだったと思ってたので、嬉しい付録でした。


サンデーS 2012年12月号 p926-927

まずは阪神の選手じゃない方の狩野恵輔先生。

まんカレ2006年3・4月期に『神奈崎流アーティファクターズ』あと一歩で賞 (21歳)
まんカレ2008年6月期に『鬼さんこちら』で努力賞 (24歳)
サンデー超2009年9月号に『お涙頂戴』掲載、クラブサンデー 第2回新人王決定戦(2009年12月)にエントリー
クラブサンデー 第3回新人王決定戦(2011年9月)に『フラワー×フラワメント』新人賞獲得
サンデー超 2011年11月号(クラサン2011年11月)に『言魂遣いに気をつけろ』掲載
クラブサンデー2012年8月に『ROUND PLANET GROUND』掲載

個人的には『フラワー×フラワメント』で化けた作家さんという印象。
まぐれ当たりかな?と少し不安だったんですが、『言魂遣いに気をつけろ』でそれを払拭してくれました。
『ROUND PLANET GROUND』はちょっと微妙だったんで、これで連載しなくて良かったなぁとw
新連載は『フラワー×フラワメント』『言魂遣いに気をつけろ』で実績のある能力バトルっぽいので、
個人的には期待大です。


続いて赤池伊織先生。

まんカレ2008年5月期に『ナイン・テン』で佳作 (23歳)
サンデー超2009年10月号(クラサン2009年10月)に『ヤワラノミチ』掲載
クラブサンデー2011年2月に『ディエゴを知っているか?』掲載
クラブサンデー2012年3月に『蹴魂』掲載

新連載は恐らく『蹴魂』のブラッシュアップ、「熱血+魔球+サッカー」な漫画だと思われます。
『蹴魂』は32pで話を収めることを放棄して、キャラ紹介に徹するというある意味潔い読切でしたw
そのかいあってかキャラは描けてたので、ストーリーがどうかでしょうね。
『ディエゴを知っているか?』はあんまり覚えてませんが、サッカー漫画だったような記憶はあります。


◎ LASBOSS×HERO
『LASBOSS×HERO』 サンデーS 2012年12月号 p9 葛城一

どっかで似たような設定の漫画を読んだ気がしますが、割とあるんですかね?
ある意味逆ですけども。
葛城先生のケレン味のある持ち味はそのままに、メタ的な設定を上手く利用してるんじゃないでしょうか。
例えばこのシーン。
『LASBOSS×HERO』 サンデーS 2012年12月号 p43 葛城一

こういうクセのある漫画を描いていると「もっとインパクトを!」となりがちで、
読者と距離が離れてしまう恐れがあるので、こういったデトックス作品を描くことには意味があると思います。
出来れば作品の中でそういった緩急を付けられるようになるといいんですが。

本誌に掲載された読切の記事でこう書きましたが、
メタを意識しつつキャラの紹介を兼ねながら、その辺りの演出も出来てるんじゃないかと思います。


『LASBOSS×HERO』 サンデーS 2012年12月号 p22 葛城一

険持先生も愚痴ってましたが、実際に言われて腹立ってるんでしょうなぁ(苦笑)
ただ、編集者の肩を持つ訳じゃないですが、
どんな漫画かを説明するのに具体例なしでは中々難しい面はあると思います。
(上でも具体例出しましたし)
雑誌のバランスもありますしねぇ... 担当としては連載立ち上げ自体が評価に繋がるでしょうし。
その割を喰うのが新人漫画家という構造があるのはある程度仕方ない事ではあると思います。
ただし、ある程度は、ね。
個人的には、漫画家さんのやりたい事と、状況的にやらなきゃいけない事を上手く調整するのが
編集者の仕事のうち最も重要なことだと思ってはいます。


何にせよ、本当によく考えられてる作品だと思います。
ヒロインを殺すロジックにイマイチ説得力が無かった所だけは、ちょっと残念でしたが。


湯神くんには友達がいない
サイコー。
湯神くんには友達がいない』 サンデーS 2012年12月号 p69 佐倉準

ストーリー展開が非常に気持いいです。それに伴い湯神の表情がコロコロ変わるところも。

あと、最近微妙に湯神の顔芸漫画になってきてるような...w
(中略)
主人公が影響を及ぼしているのにも関わらず、主人公のあずかり知らないところで物語が進んでる感はいいですね。

9月号の記事でこう書きましたが、単行本の広告にもその辺りを出してる辺りからして、
これが一つのウリだと思うんですよね。
まぁ作者が意識してやってるのかは分かりませんが... 広告はデザイナーの仕事でしょうし。
主人公のあずかり知らないところで展開するパターンが今回もありました。やはりいいですね。
このブログで言うところの「ロールプレイ」です。これだとサブキャラにもフォーカス当たりますし。


重箱の隅ですが、p67の「興味津々じゃねぇか…」という言い方には若干の違和感。


今際の国のアリス
とっとと終わらせて、キャラ変えて本誌昇格させた方がいい気がしてきました。
その為の本誌読切だったのかもしれませんけど。
ストーリーで意外性を出さない時にはキャラで意外性を出す。
今際の国のアリス』 サンデーS 2012年12月号 p219 麻生羽呂

サンデーSとクラサンではタイムラグがあるからという事もあるんでしょうけど、
先が気になる読者が結構いるんでしょうね。毎回「今際の国のアリス ネタバレ」で検索して来る人がいますわ。
サンデーS買いましょうよw リニューアルしてから置いてある店増えましたし、550円で900p強もあるのに。


キュピコ!
pixiv
富士昴先生の読切『落第キューピット』もそうでしたが、手垢のつきまくったベタすぎる設定。
なので、この作品ではキャラとエロで何とかしようという方向性なのでしょうか。
『キュピコ!』 サンデーS 2012年12月号 p257 山下文吾

設定だけではなく、キャラも内容的にもベタすぎて個人的にはどうも...
二種類の矢があることくらいですかね? それも誰かがやってそうな気がしますし...
『しまらっつ』のような、ビーンボールしか投げられない人って訳じゃないんでしょうけども。
キャラの個性は描ける人だと思うんで、そこで何とか巻き返しを。


夏空エンドラン
うーんイマイチ。何となく引っ張ってるだけの印象。
まぁ好みから外れてるだけなのかもしれませんが。


My Sweet ウマドンナ 馬きゅ〜ん☆
毒吐くキャラを一人に絞ったこと、対象を女性にしつつ幻滅させる類でなくしたことによって
男性からみた嫌悪感というのは薄れていると思われます。
後半2本がどーしよーもないツマラなさなので、毒は必要なんでしょうなぁ...


ガンダムAGE 〜追憶のシド〜
全体的にみても無印。黒歴史にはならなかったというのが正直な感想。
サンデーSでまたぞろガンダム漫画をやるみたいで、それ自体は構わないと思いますが、
どうも茶番っぽくなるストーリーをせめて何とかして欲しいですね。
つっても次回作何するんでしょうね...
次にアニメ化するのはORIGINだと予想してるのですが、ガンダムAで連載してた訳ですし...
そのスピンオフなんでしょうか。


○ 女子高刑事 白石ひなた
56pもあるのに「増ページ」とどこにも書いてないのはどういう事ですかw
まぁこの絵柄だからこそ出来る芸当なのかもしれませんけども。
内容的にはほぼ完璧。
中国のケーキのろうそくなら爆発するんですけどね。 (目次のコメント)


KING GOLF
熱血成分が無い回はこんなもんでしょうな。


○ ちいさいひと
序盤なんで何とも言えませんが、ロジカルな要素が増えて読めるようにはなりました。
ただまぁ結局は心の問題ですし、児童虐待のパターンがそんなにあるとも思えませんし...
今回のように(前回も多少ありましたけど)切り口を変えることで何とかするしか方法は無いんでしょうか。


◎ AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜
いやー、この漫画凄いですね。というか原作が凄いという話になるんでしょうけど。
どうも田口ロミオ先生の作品はコミュニティを描く傾向にあるらしいですが、
読者に媚びるようなラノベとは一線を画す作品ですね。なおかつ面白い。
こういう作品がきちんと評価される世の中ってのは案外捨てたもんじゃないなと、
変なところで感心しました。


○ 青いね芝くん!
うーむ、こういう漫画でも「かわいいは正義」なんだなぁと。


○ WONDERLAND MUSEUM
かなり思い切ってテコ入れをしてきました。

捕獲対象に意思を持たせた方が良さそうな気はします。もしくは逃した張本人がいるとか。
そこで駆け引きの面白さが出せれば。

先月号でこう書きました。今回捕獲対象に意思を持たせてますが、それ以上に考えてきてますね。
今までのような地味なアイテムではなく、戦闘用アイテム使うことでより必殺技っぽくなりましたし、
回収対象に出会う前も駆け引きをするようになってきました。
内容的にはかなり向上...テコ入れは成功したんじゃないかと。
これでアンケートが良くなる所までいくかはまだ怪しいですけども。


後はキャラ・意外性・伏線ですね。最大のネックは絵の見栄えでしょうけども。
アイテムはキャラの性格と結びつける方が良さそうな気はします。アイコンにもなりますし。
意外性と伏線に関してはやれる人だと思ってるので、後半に期待。


ともだちテトラ
ただでさえ推理モノが『コナン』『芸術』『ひなた』と3作品あるのに、そこで勝負しなくても...
当たり前ですが、それらの作品と比べるとどうしても見劣りしますし。


○ 中巌寺家の隠密
今回もボチボチ。目的がキャラ描写を反映してる辺りは非常にいいです。


◎ ロック
何故だかよく分かりませんが、今回は割りと見易かったです。
背景の書き込みの問題なのかなぁ...
『ロック』 サンデーS 2012年12月号 p669 五味秀和

改めて思いますけど、役割は大切ですね。役割があるからこそキャラが生きる。


◎ 氷の国の王子様
『氷の国の王子様』 サンデーS 2012年12月号 p698 小野ハルカ

相手の言うことに全く意を介さないこのカップリングは凄いなとw
いとこだから似てるという描写でもあるんでしょうけど。
密かにキャラを活かすロジック(フォーメーション)もいいです。


○ 二の前しいの使い方
まったりコメディ若干ラブ。現状このくらいの感じがいいんでしょうね。


× 芸術捜査班!!!
やっぱりこの漫画には引きこまれませんねぇ...
黄金パターンをやりつつネタで勝負、ってのは間違ってないとは思うのですけども。


○ PLUG
突拍子もないお題はギャグのつもりなんでしょうけど、個人的にはリアリティの無さと直結しました。
プラグの能力を示す為だというのは分かるのですが。その辺りはいいんですけどね。
それにしてもちょい盛りすぎかなと。1,000問出す時間がどこにあるのかとか。


さんざんナナメの顔に違和感あると愚痴ってましたが、
『PLUG』 少年サンデーS 2012年11月号 p787 こじまたけし

今回は違和感なし。単行本持ってないので比較はできませんが、恐らく元に戻したんでしょうね。
ちなみに9月号ではこんな感じ。
『PLUG』 少年サンデーS 2012年9月号 p367 こじまたけし

(これはアカん)
比較すると今回の方が圧倒的に可愛いですよねw さすがにこれは一般的にみてもそうなんじゃないかと。
というか、連載当初から比べると大分見栄えしてきたんじゃないかなぁと。
『PLUG』 1話 p42 こじまたけし

昔も悪くは無いですけどね。ちょい寄目ですけど。


『PLUG』 少年サンデーS 2012年11月号 p794 こじまたけし

密かに『紅鮭』『クロガネ』『WxW』の近藤勇てw


G
印付けないの初めてだと思いますが、こういう夢オチはなぁ...
他に意外性を出せる箇所が無かったのは分かりますけども。
その他は良かっただけに。


電脳怪奇譚 サイバーワン
うーん盛り上がらない...


○ はるまげ
やはりこの漫画は発想力がキモですね。
オセロもシャボンも良いアイデアだったと思います。ぜひともこの調子で。