GAN☆KON 3巻

GAN☆KON 03―願☆婚 (少年サンデーコミックス)

GAN☆KON 03―願☆婚 (少年サンデーコミックス)

ソースは2chですが、クラサンへ島流しが決定したようで...
個人的には結構楽しんで読んでるんですが、人気出てないみたいなので仕方ないですわなぁ。
ということで反省会。


個人的には面白いんだけど一般受けしてない漫画はほぼ間違いなくキャラに問題があったと考えられます。
今振り返ってみると、ヒロインの属性に問題があったんでしょう。
GAN☆KON』 1巻 p189 菅原健二

ひめはじけ』の時にも書きましたが、
せめてヒロインくらいは作者の好みを全面的に押し出してもいいといいと思うんですよね。
...ただし、何事にも限度というのがあります。


「ヒロインが可愛いけど実は...」というパターンの漫画はいくつか存在します。
今だと『さんかれあ』、昔の作品だと『ブラック・ジャック』のピノコ、『GS美神』のおキヌちゃん
美鳥の日々』の美鳥等、挙げればキリがないです。
『葵DESTRUCTION!』 p8 井上和郎

最近流行りの「オトコの娘」の起源がどの作品かは分かりませんが、(例えば『ぷろぶれむちゃいるど』)
井上先生は先見の明があったなとw これ10年前の作品ですよ。
『アンデッド』というヒロインがアンデッドの話も『さんかれあ』より前に描いてますしね。


普通の娘じゃなくても人気は出るのに、イサナさんはウケなかった理由は簡単です。
GAN☆KON』 3巻 p118 菅原健二

原因は普通の娘じゃない設定を外見の変化にまで広げてしまったことだと思います。
散華礼弥もピノコもおキヌちゃんも美鳥も葵も、フツーでない設定は外見とは関係ありません。

圭 PEROさん、女の子を顔で決めてるんですか?
PR 悪いか?オレは常に顔で決めるで。
圭 ひどい〜!
PR 何で?
圭 だって、外見だけじゃあいい人か悪い人か全然わからないじゃないですか。
PR 何を通り一遍の事を。じゃあ君、坂田利夫と結婚せえ。
圭 ええ?そんなこと絶対できません。
PR 見ろ。何で即答できる?やっぱり見かけで決めてるやんか。アホの坂田もホンマはいい人かも知れんやろが。
圭 極論すぎますよ〜。
PR ふるい分けは性格以外のところである程度されてるんや。結局・・・。性格がどれだけ良くても相談相手は恋人にはなれないし、最低な性格でも好みのタイプはいつまでも気になる存在なのさ。男も女も同じやで。哀れなシラノ・ド・ベルジュラックには永遠に順番は回ってこないよ。あるとすればそれは「妥協」の産物や。あだち充は偉大だよ、全く。
■Chapter1:グッドエロゲとは?■  b:ハイパーハートウォーミングストーリー 〜萌やせ萌やせ真っ赤に萌やせ

例えヒロインが人外でも男でも、そういう設定はキャラへの愛を貫くためのハードルになり得ますが、
外見がコレでは、多賀守レベルの愛が無ければハードルではなく超えられない壁でしか無いんじゃないかと。
ハードルを超えることによって主人公の異能さは表現できますけど、読者の共感は得られません。
確かにギャグではこういう設定はアリですが、これはキャラにファンを付くことを拒む設定でもあります。
フツーの人にとって巨神兵だとチンピク状態を維持できる訳がないです。
まぁ「わっち」はアリなのに、という話はありますが、(『狼と香辛料』ホロ)
その辺りも精査すれば理由が見えてくるんじゃないかと思います。

●ただの萌えまんがにはしない!!●
前回お話ししたように、今の連載作品は戦略的にオタク向け傾向の作品にしています。しかし、だからと言って、ただの「萌え」だけのまんがにならないように非常に気を遣っています。
つまり、女の子がたくさん出てくる作品であることには違いはないんですけど、そこにあまり重心が傾かないようにしているんです。
プロが語るまんが秘伝 part188●菅原健二先生 PART4

以前『M・S DOLLS』について菅原先生はこう書いてました。
クラサンからサンデー本誌に移籍して、オタク向けからよりマイルドな感じに戦略変更する必要があるのに、
ことヒロインに関してはよりマニアックな設定にしてしまいました。
先にも述べたように、個人的にはバトルコメディというカテゴリーで、こういうギャグは「アリ」だとは考えますが、
『M・S DOLLS』を支持していたうちのラブコメファンをオミットする作用があるのは確かでしょう。
そして、ギャグバトルであまり人気が出ず、テコ入れでラブコメ要素を増やした段階でこの漫画は詰みました。
イサナの設定が完全に足枷になってるんですよね。
テコ入れでバトル展開ってのはよくある話ですが、その逆ってのも珍しいですけども...w
完全に構造上の問題ですな。


見た目は巨神兵だけど実は美人という設定をヴィジュアルでも表現する...
例えば依代のイサナさんは実体の若いころで、可愛いけど実体のイサナさんも美人で綺麗という
天地無用!』の砂沙美のようなキャラだと早めに読者に伝えてれば、ここまで低迷することも
無かったのかもしれません。
設定があるとセリフ等で説明するだけでは意味がありません。
ヴィジュアルで萎えてる訳ですから、名誉挽回もヴィジュアルでしないと。
まぁそれでも巨神兵はハードル高いのかもしれませんけども、
「眼鏡を取ったら美人」がアリなんですから、これをやれたら起死回生になったかもしれません。


GAN☆KON週刊少年サンデー 2012年36・37合併号 p458 菅原健二

遅きに逸したとは言え、そういうチャンスにこういう事やってるようでは無理な話かもしれませんけどw
さすがにこの展開はミスリードだと思いますが、こういう意外性もファンを萎えさせる演出ですしね。
ギャグ漫画でもありますから意外性を追求するのは当然のことですが、このシーンは
「いかにしてキャラにファンを付けるか?」という理論を理解してない証拠になってるんじゃないかと。
なぜこういう演出に意外性があるのか。
それはほとんどやる人がいないからで(『H×H』のビスケとかではやってますけど)
何故やる人がいないかというと、やってはいけないからなんですよね。
そこにあえて踏み込む勇気も時には必要ですが、それはどうフォローできるか理論的に解答が出せた時に限ります。
意外性を追求しすぎて一般読者には理解不能になるというのはギャグ漫画においてはありがちなパターンですが、
それに似た感じのことをキャラでやってしまったという事になるんではないかと。


バトルやギャグにも多少問題があったのかも分かりませんが(個人的には無いです)
少年誌はキャラが命というのを図らずも証明した作品になってしまったのかもしれません。


思い返してみれば、『M・S DOLLS』でもこういう批判してましたね...

いかにキャラ萌えでファンを引き寄せるかというベクトルに持っていくべきなのに、
逆にキャラ萌えを拒むようなファイトになっているように思います。
B級アイドルキャラに萌える人もいるかもしれないのに、口撃して貶めちゃってるから敵キャラのファンもつきにくくなるし、
B級アイドルファンを敵に回すしなw
どうせファイトするなら、例えば何かのシチュエーションを設定して、そこで小芝居やってどっちのキャラのほうがより萌えるか、
というファイトの方が敵も作らないしキャラにもファンが付きそうな気がするんだけれども。

GAN☆KON』のバトル自体は萌えでファンを引き寄せるベクトルではありますが、
イサナのキャラ設定が全く同じ構造的な欠陥があったにも関わらず、
ギャグとバトルの面白さに目を奪われてこの問題を2ヶ月前になってようやく気づいた私にも
問題がありますわなぁ。