The Structure of "She is the Pop'n Princess" #1

ひめはじけ 1 (少年サンデーコミックス)

ひめはじけ 1 (少年サンデーコミックス)

『動物がお医者さん!?』の記事が完結してない段階で別の作品の記事書くのはちょっとどうかと思いましたが、
まぁこういう企画があるので。
ひめはじけ』帯

[ひめはじけ]第(1)巻発売記念、特別がっかり企画!


がっかり直筆サイン色紙 5名プレゼント!!!


[応募方法]ブログ・ツイッター・その他SNSなどで『ひめはじけ』第(1)巻の感想を
お書きの上、感想をお書きになったブログ・ツイッター・その他SNSなどが読めるページ
のURL・閲覧方法と住所を記載して、WEBサンデー(websunday.net)・まんが家バックステー
ジ内にあるクリスタルな洋介先生のページの「励ましメール」にてご応募下さい。先生が感想を読み、
励まされたり落ち込んだりした上で、当選者の方にがっかり直筆サイン色紙を送らせていただきます。
[締切]2012年7月末日[当選発表]2012年9月末日までに、発送をもって代えさせていただきます。
※ブログなどのタイトルだけでは閲覧できない場合、ご感想をお書き頂いた日時もご記載ください。

応募フォームはこちら


前作『オニデレ』が完結した際に記事を書こうと思ったまま結局書けずにいましたし、
せめて『ひめはじけ』1巻が発売されたら記事を書こうと思っていたのですが、
この企画のおかげで個人的にはかえってやりにくくなったというか...w

1)元々「作者は読まないで!」と訴えてるブログなのに、この企画に応募するのはどうなのよ?
2)折角の企画なのに、サンデーの漫画に関するブログを書いてる人間が応募しなくてどうする?
3)クリス先生がtwitterの右も左も分からない時に何かの間違いで相互フォローになっちゃったのに、
企画無視するのはどうよ?

この辺りでグルグル考えてましたが、このテの企画が続いた方が面白いと思ったので、
枯れ木も山の賑わい的な観点から応募してみようかと。
ということで本題に入る前に、折角なので#1では『オニデレ』についても書いてみます。


※ 9/14追記 当選しましたw (本名書いてある部分は削除してます)

結局何人応募したんですかね... c-wwwの深沢さんが応募してたのは見たんですが。


1) オニデレ

オニデレ 11 (少年サンデーコミックス)

オニデレ 11 (少年サンデーコミックス)

今になって書きますが、正直、クリス先生にフォローされて困ってたんですよね。
なぜなら、面白くないからと3話で切って読んでませんでしたから
当時は数少ないサンデー本誌の作家さんだったのでフォローしたという感じでした。
(今では基本的に漫画が面白いと思った人に限ってますが)
困りながらも、フォローされたんだし今週からは一応目は通すかという感じで
サンデー本誌を読んだんですが...


これが面白かったんですよ。
私はギャグ漫画は結構好きで、たとえば昔は『3年奇面組』とか大好きだったんですが、
おっさんになるにつれギャグに耐性が付いていき、
ちょっとしたギャグじゃ笑えない体質になってるんですよね。
耐性というより、笑える範囲が狭くなったというか。
おっかしいなぁ、確か個人的には全く刺さらない作品だったのになぁと、
試しに単行本1巻買ってみたんですよ。


これがまるで面白くないw
7巻まで買い揃えた段階で分かったんですが、
個人的には合宿編の6巻までと、7巻以降では面白いかどうかがハッキリと分かれました。


担当が茂木さんから小倉さんに替わった影響もあるのかもしれませんが、
個人的にはコレが一番大きいと思います。
オニデレ』 7巻 p48 クリスタルな洋介

実際には7巻掲載分から面白くなってるのでアンジーが原因という訳ではないのですが、
彼女に代表される小芝居の要素と、誤解を軸にした話の展開
(このブログでは「キャラへのミスリード」という表現を使ってます)
この2つの要素が上手く回り出したのが原因ではないかと思います。
まぁ誤解の要素は全く無かった訳ではないんですけどね。


で、なぜこの要素を使い出したかですが...
※ ここからが妄想と決め打ちですので、眉に唾を付けてお読みください。



クリスタルな洋介
@botekote 増刊掲載、おめでとうございます!一足先に祝福!M・S DOLLS面白イッス!あの劇場になる瞬間がたまらんッス!
link


クリスタルな洋介
サンデー超のM・S DOLLSを何度も見てしまう・・・。突然始まるシチュエーション劇が面白すぎる!・・・しかしコレホントに一人で描いてるんですか・・・・凄すぎる・・・
link
『M・S DOLLS』の影響があるんじゃないかと思うんですよね。 で、その『MS』の小芝居ですが、自分のアイデアが採用された可能性があるんですよね。 (まー違うと信じたいですがw) 詳しくは以前書いた The Structure of "M・S DOLLS"3)バトルの構造 を参照。 私の記事から『MS』へ、『MS』から『オニデレ』へと影響が伝わったかどうかは 実際のところ判りませんが、自分で考えた改善案が小芝居でしたから、 『MS』の小芝居は当然私好みな内容になり、少なくとも『MS』と『オニデレ』のアンジーには 小芝居という共通項があるのは間違いないですから、 7巻以降の『オニデレ』が面白いと感じるのは当然なんですよね。 客観的に両作品における小芝居の評価がどうだったのかは分かりませんが。 ちなみに『MS』の罵倒合戦を否定的に述べ、「いかに萌えるか」の小芝居導入すべきとの批判記事を 書いたのが2009年6月。 『MS』で小芝居導入したのが2009年10月。 『オニデレ』でアンジーが登場したのが2009年末頃。 時系列的には合ってるんですよね... まぁ仮に私の記事が参考になって、面白くなったとしたら喜ばしい事なんですが。 ただ、『オニデレ』が面白くなったのはアンジーに代表される2要素だけではありません。 この漫画の根幹であるべきギャグも切れてきました。 個人的には特にこのキャラのギャグですね。 オニデレ』 9巻 p4-5 クリスタルな洋介 一人目は私も大好き作者も大好きみんな大好きミヅキ。 大好きすぎてミヅキをブラッシュアップして『ひめはじけ』の主人公・ロヴァリエにしたのは周知の事実。 ちなみに、#2で画像引用しますが、これが『ひめはじけ』1巻のトンタタの元ネタになってます。 オニデレ』 10巻 p22 クリスタルな洋介 もう一人は主人公・正の母ひばりさん。 人の話を聞かずにボケまくるんで個人的に大好きだったんですが、 恐ろしいのはクリス先生の母親がモデルという所... 人の話を聞かないという点を考えると、『ひめはじけ』のうさきが継承してるのかもしれません。 とまぁ7巻以降はかなり面白かった『オニデレ』でしたが、問題が無かった訳ではありません。 要するに作画なんですけども。 作画の問題点は、客観的にみると a)見栄えがあまりしない b)絵柄が安定しない c)ムチムチしすぎ の3点だったと思います。 a)b)は関連があって、より良い絵を模索してるために絵柄が安定しない、という事だったんじゃないかと。 まねこい』 1巻 p185 モリタイシ 昔はあまり上手くない割には可愛く描けてるという感じだったと思うのですが、 個人的には試行錯誤してるだけでも評価しますし、実際絵はどんどん見栄え良くなっていったと思います。 ただ、中々連載続けながらだとドラスティックに変更できないだけに、難しい面はあったと思います。 問題は c) なんですよねぇ... いやムチムチしてるキャラがいるのはいいんですよ。 まねこい』 1巻 p184 モリタイシ 主人公は時に漫画のジャンルによってはキャラ的に制約を受けますが、 せめてヒロインくらいは作者の好みを全面的に押し出してもいいと思うんですよね。 藤木先生もこのアドバイスに耳を傾けたからか、『はじあく』では貧乳がヒロインでした。 ただ、『はじあく』も女性キャラ全てが貧乳という訳ではありませんでした。 ファンの好みが多様化された今、やはりキャラクターにもバラエティを出すべきだと、 これは客観的にみて思います。 あともう一つ。 ムチムチしたキャラクターだけだとポジティブフィードバックになり易いんじゃないかと。 どういう事かというと、ムチっとしたキャラを描く→慣れる→もっとムチっとさせたくなる という風に循環していって、奇形化というか、一般的な読者が見ると引くレベルになりがちなんですよね。 オニデレ』 3巻 p118 クリスタルな洋介 最初はムチムチ属性が与えられてたのはサキだけだったんですが、いつの間にかサヤにも与えられてましたしね... て言うかユナもムチムチですしw ただでさえギャグ漫画はカテゴリーとして狭いのに、それ以上読者を選ぶような方向へと進化するのは危ういです。 なので、ギャップでムチムチを強調するような感じ... つまり、細いキャラと対比させることによってムチムチさを表現するのが妥当じゃないかと。 細いキャラがムチムチに憧れる、もしくは好きな人がムチムチ好きな(またはそう誤解してる)キャラだと より作者の意図を反映する形にはなると思います。 この辺りはtwitter経由でクリス先生に何度も言ってるんですけどね...w ここは譲れない所なんでしょうか。 もちろん作者がやりたいようにやればいいって話ではあるんですが、 読者のウケを考えると構造的に不安が残ります。 2) ノア姫様のつがいさがし 以前記事にしましたが、『ひめはじけ』のプロトタイプとまでは言いませんけど、 多少共通点があるので改めて。 『ノア姫のつがいさがし』は『オニデレ』8感に収録されています。 『ノア姫様のつがいさがし』p4 (『オニデレ』 8巻 p180) クリスタルな洋介 記号的には姫、王冠、突拍子もない事もする点が同じって所でしょうか。 私はこの作品を酷評したんですが(クラサン掲載時に★2でした)、

この漫画の目的は「他人の思考のスキ」を突くこと(まぁギャグの基本でしょうが)だと思いますが、
主人公が宇宙人なので変なこと考えても普通だと思ってしまいました。
フォーク投げると分かっててフォークが来る感じでしょうか。
スリードを起こさせるような常識となる起点がないんですよね。
タイムスリップは無理でもレプリカ製造や女性化は出来るという設定も、読者から見ればどこまでが出来るかなんてわかりませんし。

これもムチムチのポジティブフィードバックと同じで、ギャグまんが家が陥りがちな罠だと思うのですが、
意外性のあるギャグを出す→慣れる→もっと意外性のあるギャグを!
という風に循環して、一般的な読者が付いていけなくなるパターンじゃないかと。
クリス先生にしてみれば、この作品でも目一杯までは弾けてないのかもしれません。
アンケートの結果などは判りませんが、たぶん微妙だったんじゃないかな...


今から考えると、あえてやり過ぎてみてやっぱりここまで行くとダメだと分かったという点で、
意味のある失敗作だったんじゃないかなと個人的には思います。

The Structure of "She is the Pop'n Princess" #2に続きます。