ハレルヤ オーバードライブ! #30

前の記事は#21ですが、ちょっとだいぶ飛ばして#30を。



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キャラの魅力を引き出すには、『ハヤテ』でよくやるパターンが一番手っ取り早いとは思うんですよ。ただ、導入するなら何かしら新しいアイデアは考えて欲しいとも。『ハレルヤ』も導入してから良くなりましたが、最近オリジナルな要素が出てきた。かなり邪道に近いんですけども。
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こうつぶやいた手前、忘れないうちに書いておこうかと。 「邪道に近い」ってシーンはここのことです。 『ハレルヤ オーバードライブ!』 #30 ゲッサン2011年11月号 p67,69 高田康太郎 今までにこういったシーンが無かった訳ではありません。 『ハレルヤ オーバードライブ!』 #18 ゲッサン2010年12月号 p16 高田康太郎 『ハレルヤ オーバードライブ!』#11 ゲッサン2010年5月号 p282 高田康太郎 この辺りもそうですかね。 何が邪道かと言いますと、「どんなキャラかを説明すること」です。 これは本来やっちゃダメな表現とされています。 なぜなら、どんなキャラか?というのは読者が感じ取るものであって、 それを説明してしまうのは、作家にキャラを表現する能力が無いからだ、という解釈です。 この考えは私も正しいと思います。 確かラノベでキャラの説明しまくってる文章があって、どっかで叩かれてた記憶がありますが... 最初からこういう表現をやっていた訳ではありません。 『ハレルヤ オーバードライブ!』 2巻 p36-37 高田康太郎 私の想像ですが、元々はどういう音楽かを説明してたのを、キャラに対しても説明するようになってきた ということなんでしょう。 音楽のシーンに関しては致し方ない面はあると思います。絵からは音は出ませんしねw もちろん絵で表現できることはこのようにやる必要はありますが、絵だけで伝えられない部分は どうしても説明する必要は出てきます。 で、なぜ「邪道」とは書かずに「邪道に近い」「オリジナルな要素」と書いたのか。 まぁオリジナルと言っても真のオリジナルという訳ではなく、畑先生が邪道を使ってないだけですが。 そういう意味ではちょっと言いすぎたのかもしれません。 先も述べたように、どんなキャラかを説明するのは邪道です。 ただ、高田先生の場合は、どんなキャラかを説明するだけではないんですね。 具体的にいきましょう。 『ハレルヤ オーバードライブ!』 #18 ゲッサン2010年12月号 p16 高田康太郎 この描写に関しては#18の記事で既に書いてるのでそちらを参照して下さい。 『ハレルヤ オーバードライブ!』 #30 ゲッサン2011年11月号 p69 高田康太郎 今回のこの描写ですが、鷹木は 「仕事に厳しいんだよ、アイツ。」 「そして単純に…口が悪い。」 「心開いた奴には口調がやさしい。」 とキャラの説明をします。 #18のような、ある特定のキャラがどう見てるのか?という表現は アウトかギリギリセーフか意見が分かれるところですが、ここでは客観的に説明しちゃってるので、 これだけだとやっちゃいけない邪道な表現です。 問題はその後の3,4,5コマ目です。これが素晴らしい。 「キャラの説明したらダメ」とか書いておきながら、説明をしないと理解されないので説明しちゃいますが、 (基本的には『ハレルヤ』の記事は説明しちゃダメなところを分からなかった人の為に説明するって感じです) 好きな人にはどういう態度を取るかってところは説明しないんですよね。 つまり、全体としては、 鷹木は日向のことをよく知ってるが、自分に対してどう思ってるのかは知らない。 鷹木は朴念仁である、及び日向が好きな人に対してどういう態度を取るのかという キャラの表現になっとる訳ですよ。 蛇足な説明かもしれませんが、5,6コマ目にタンポポが日向は鷹木をどう見てるのか気づいていると 描写してるのもまた素晴らしい。色恋沙汰には敏感だというキャラですし。 『ハレルヤ オーバードライブ!』ゲッサン2011年12月号 p21 高田康太郎 さらに言うなら、このくらいの表現では読み取れない人に配慮してるのかどうかは分かりませんが、 #32ではこの辺りが誰にでも分かるような表現になってます。 分からなかった人にとっては読み返して始めて分かる伏線になってる訳ですね。 日向の登場のさせ方とキャラもいいですね。 『ハレルヤ オーバードライブ!』 #30 ゲッサン2011年11月号 p68 高田康太郎 同じシチュエーションで同じ対応/違った対応 を取るってのは 『ハヤテ』と『ハレルヤ』に共通するキャラ描写のテクニックですが、今回もそれを使ってます。 麗は生徒会なので当然ながら日向のことは知ってる訳ですが、裏の顔は知らないことによって 麗のモノローグを使って麗視点で描写しつつ、意外性を損なわないことに成功してます。 これも以前述べた、やはり『ハヤテ』『ハレルヤ』に共通する「(キャラの)情報に差を付ける」です。 キャラがいいってのは...今のところ単純に自分の好みに近いってだけですがw ツンデレですがタンポポとは微妙に色分けができてはいますね。 他にも語りたい事はありますが、収集がつかなくなるのでこの辺で。