2011-11

予告通り、新連載3つ揃ったので書いてみます。
他の漫画は基本的に書く事同じになるので、読切1本と新連載3本のみをピックアップ。


ガンダムAGE
個人的には岡崎ガンダムをはじめとする黒歴史となったガンダムが大好きなので、
このコマだけで印付けますね。大爆笑でした。
機動戦士ガンダムAGE』 後編 p29-30

まぁ黒歴史的に面白いので、フツーに見ればダメって事になる訳ですけれども。
私もこのコマが無ければ×付けてると思います。


一応評価すると、MSはしっかり描けてると思います。ココに文句言う人はいないでしょう。
掴みでいきなり戦闘シーン入れたり、キャラクターや舞台を説明しつつと難しい点は多々あったとは思います。
ただ、前後編で無理矢理まとめる難しさ以上に元のガンダムAGEの設定がどうなのよ?って所があるのでね...
中西先生に関しては作画面では及第点、基本も出来てるって評価にはなりますが、
じゃぁこれ以外の作品で連載が成功するかって考えると...


少なくとも『ガンダムAGE』はサンデー超で連載するみたいですけど、まぁ爆死でしょうね。
サンデーはこういう企画モノって上手くいかないですなぁ。
せめて私だけも楽しめるような黒歴史漫画になってくれれば。


GAN☆KON

『M・S DOLLS』の安定感はとても新人作家とは思えないほどだったので、
コメディとしてのクオリティは心配する必要は無いと思います。読切も良かったですしね。
(中略)
懸念材料はさんざん書いてますがマンネリ。
読切だと陣地争い的なバトルになるっぽいので、設定でいかにマンネリを回避するか、でしょうか。
戦略的要素を出す、バトルのルールを変える、神道のロジカルな説明を出す等で
目先を変えることができれば10巻持つ力はあると思います。

連載前にこう書きました。やはりコメディのクオリティは高いです。
問題は設定ですが、かなり練られてる印象を受けます。
というか基本は『MS』+『ぽぷこん(ポップコーンアバター)』ですけどねw
『MS』をプロトタイプにしてる分、当分は心配する必要は無さそうです。


多賀守、イサナ、三峰とキャラの名前からしてある程度伏線張ってるなという印象を受けますし、
イサナの設定も恐らく記紀をアレンジしたモノになってると思われます。
バトルの設定も、『MS』で苦労したと思われる点を改良してきてます。
GAN☆KON週刊少年サンデー2011年46号 p50 菅原健二

例えば、「人間1人を選別して願いを叶えた後、『神の代行者』として闘わせる」という非常にユルい縛りの設定。
ここは恐らく変えないと思いますが、バトルのルールを変える余地はできてます。
既に稲荷組という名称が出てきてる辺り、団体戦を視野に入れてると思いますし、
神道内の闘いから他宗教との闘いへとステージが変わる余地もあります。
少なくとも設定面ではかなりマンネリへの耐性は付いてます。


他の構造的な話をすると、バトルの要素をどれだけの割合にするかが難しいところです。
ブコメ強化しるという声が強くなりそうですが、個人的にはあくまでバトルがメインの方が良いとは思います。
少なくとも『MS』でもこうでしたから、本人はラブコメに寄せるつもりは無さそうですけども。

●ただの萌えまんがにはしない!!●
前回お話ししたように、今の連載作品は戦略的にオタク向け傾向の作品にしています。しかし、だからと言って、ただの「萌え」だけのまんがにならないように非常に気を遣っています。
つまり、女の子がたくさん出てくる作品であることには違いはないんですけど、そこにあまり重心が傾かないようにしているんです。
オタクっぽいネタを使ってはいるけれど、自分の中にはバトルまんがであるという意識があって、そのバトルの中で面白い空気を出そうとしてます。
「女の子がいるから面白い」のではなく、女の子の性質だとか、内面をもっといじった上での物語構成で面白いと感じてもらいたいと思って描いているんで、単なる「萌え」まんがにはなっていないと思うのですがいかがでしょうか。
ツンデレ」だったら、ただツンデレ…で終わりじゃなくて、「ツンデレだったらどういうのがいいのかな」、「こういうのがいいのかな」という読者への提案も入っています。
どうしたらそのツンデレを、自分の思っているツンデレと重ねられるのかということを、主人公自体がアプローチしているんです。
つまり、単なる「ツンデレ」をその振る舞いだけで見せるのではなく、マスターとの関連性で見せるという工夫をしているんです。
プロが語るまんが秘伝 part188●菅原健二先生 PART4

ただし、いかにバトルの回数を減らすかってのも鍵になるかもしれません。
バトルの連続だったダークマター編はかなりダレてましたしね...
『神セカ』のように、とりあえず3〜4話の起承転結もしくは序破急な感じで1回バトる、ってな感じの方が
安定性が増し、マンネリとみなす人が減るとは思います。
スタートはあまりマンネリ気にしなくてもいいですし、スタートダッシュ大切ですから、
バトルの連続でも問題ないとは思います。


構造的に不安な点は、キャラ使い捨てになってる点ですね。
この辺りは設定いじれば何とでもなりますし、いずれやるでしょうけど、『神セカ』が女神攻略編をやってるように、
昔のキャラ再登場させるという展開は必要になるでしょうね。
今のままだと、ライバルは登場させにくいですし。
先にも書きましたが、まずは派閥団体戦へ移行、次に他宗教、ですかねぇ。
出来ればあんまり反響が無かったキャラや使いにくいはオミットするなど、
キャラにも競争の原理は働かせた方がいいとは思います。
魁!男塾』なんてそうやって生き延びてましたし。


とまぁ、構造的にはやれる感じではありますが、4話目微妙だったのが若干不安です。
GAN☆KON週刊少年サンデー2011年49号 p153 菅原健二

意外性出したかったのかもしれませんが、風が吹いてってのがベタすぎてどうかと。
ここでもうちょっとギャグをねじ込めるとも思いますし。
さらに言うなら実はイケメンってオチ自体が微妙。
神のみぞ知るセカイ』の桂馬や、『オニデレ』の正を「うまいことやってる」のはそれなりにも根拠があると思うんですよね。
オニデレ』 11巻 p59 クリスタルな洋介

以前The Structure of "The World God Only Knows" #1で書いたように、
主人公には読者が感情移入し易いプレーンなキャラクターである「着せ替え型」と
憧れの対象になりうる「コスプレ型」の2パターンがあります。
佐野は主人公ではありませんが、「着せ替え型」だと思ってたのに実は「コスプレ型」だったってのは
せっかくキャラに感情移入していた読者を裏切る形になるんじゃないかな、と。
この話は少々ややこしくて、女性の読者にとってはこのキャラに感情移入する可能性が少ないので「アリ」なんです。
逆に、男性の読者にとっては
「女の子がメガネ取ったら実は美人だった」ってのが陳腐なパターンとしてあるように「アリ」。
さらに言うなら、「コスプレ型」が実は「着せ替え型」だったというのは、感情移入を促進するので「アリ」
となります。


「着せ替え型」から「コスプレ型」へのチェンジは慎重を要しますが、
この場合だと、例えば「私のタイプ(もしくは好み)」って感じなら少しはマシにはなるかなぁと。
外見で判断ってのは同じですし。
あと、これは『オニデレ』にも言える事ですが、男キャラをイケメンに描く際には、少女漫画チックな背景にすべきだと思いますね。
女性にアピールできますし、ギャグにもなりますから。


アナグルモール
なして略称が『ア○ル』になりそうなタイトルにしますかねw
当ブログでは『グルモル』推奨。名前近いしw


連載前にこう書きました

タッコク!!!』は魔球漫画としては屈指の出来だったと思ってるので、あの経験を活かせれば。
説得力と納得力の絶妙なバランスが出てくるとこの人の良さが出るんではないかと。
ブコメではなくアクションコメディなのもいいんじゃないかと。
ブコメ謳うほどはラブラブしませんからねぇw
ただ、個人的には『うえきの法則』は序盤以外はそれほどだったので、そういう意味では若干不安が残ります。
また、『タッコク!!!』もプロトタイプは微妙、連載4話になってからエンジン掛かった感があるので、
スタートダッシュが出来るかどうかという点も注目でしょうか。

GAN☆KON』同様、前作がプロトタイプになってますね。まさに経験が活かせる設定。これなら大丈夫っぽいです。
さらに共通点を書くなら、縛りが少ないって所ですね。



井上和郎
@fukuchi_tsubasa アナグルモール読みました。面白かったです!キャラも設定もすごく弾けてて勢いがあって、気持ち良いくらいグイグイ読まされました。これからの展開が楽しみです!
link


福地翼
@inouekazurou ありがとうございます!今回は少し間口を広げようと思うんですが(いつもここを狭める癖があるので…)でもその反面、変な物も描きたいので、その辺の折り合いをどうつけるかで試行錯誤してます〜
link
前作『タッコク!!!』の最終回にこう書きました

『蟲』とは違って最後までやっちゃったので本誌移籍の可能性は低いとは思いますが、
別にそのままやっても良くね?とは思います。
まぁ卓球に拘る必要もないので、構造はそのままに、別のスポーツでやるってのもアリですが。

全体としての間口を広げてれば窮屈になりませんからね。
ただ、各シナリオで間口を狭める話をするってのはアリだと思います。
もちろんそれが漫画の面白さに繋がるならば、の話ですけども。


別のスポーツをする漫画になるのか、家庭のコミュニティを描く漫画にするのかはまだ分かりません。
アナグルモール週刊少年サンデー2011年47号 p56 福地翼

タッコク!!!』は結局タイマン勝負だったので、コミュニティを描ける団体競技で、って線もアリだとは思うんですが、
「ホームステイ・アクション」らしいので、家庭のコミュニティなんでしょうかね。
人間が圧倒的に強いと勘違いしているルチルが、人間の強さの秘密は個々の戦闘力ではなく、
コミュニティを通じて発揮されることに気づいていく...
ってな作りになってる辺りはちゃんと先を見据えていて好感が持てます。
まぁこの辺りは「引きこもりコミュニタリスト」を自称してる私だからかもしれませんけれども。


で、そのコミュニティ描写が素晴らしかったですね。
アナグルモール週刊少年サンデー2011年48号 p158 福地翼

このブログでさんざん述べてますが、「ロールプレイ」と「カップリング」のコンボでした。
キャラの紹介をしつつ、キャラ同士の関係性を描きつつ、二面性を出す。
それを実にテンポよくギャグに仕立てて。
やってる事同じって話も無くはないですが、こういうのをさらっとやれるのはセンスだなぁと。


まずは順調な滑り出しをしたと思うのですが、懸念材料もあります。
先の引用の後にこう書きました。この辺りは予想通りでした。

個人的に魔球漫画としては最高峰だった思っているのですが、ネックがあるとすればやはりラブコメの演出でしょうか。
このくらいでも十分ラブコメと言い張れると思いますが、触れたらNGという設定がラブコメ的演出においては
単に阻害設定にしかなってなかったんですよね。
ブコメの設定には障害が付き物ですが、その障害をどう演出として工夫するかを掘り下げて欲しかったです。

『グルモル』も今のところ同じなんですよね。いかに触れるかというアイデアで勝負する気が無いというか。
縛りを面白さに繋げる工夫ではなく、あえてラブコメにしない為の措置に見えるんですよね。
アナグルモール週刊少年サンデー2011年49号 p259 福地翼

GAN☆KON』同様、ラブコメよりはバトル寄りの方が作者の能力を発揮できるとは思いますが、
あえて要素をオミットする必要は無いと思うんですよね。
お風呂シーンを入れるってのはアリだとは思いますけど、個人的には
「いかに千羽の体には触れないようにしながら髪の毛を掻き上げるか」で頑張って欲しかったですね。
まぁそうなると『マジナグラム』とやらを使う状況になるのか分かりませんけども。


電波教師
うん。微妙。
連載前にこう書きました。

超弩級少女4946』では鬱展開やらせると上手かったんですが、どうもカタルシスがねぇ。
設定自体にインパクトがあった前作に比べれば内容勝負な設定で来てるので、
その辺りをどう解消できるか、でしょうか。

これに関しては予想を外しましたね。
キャラ立ってますし、設定も割りと詰めてる感じはします。カタルシスも出てます。
2chやニコに媚びてるようなセリフは好き嫌い分かれるでしょうが、まぁいいんじゃないでしょうか。
個人的には作者でさえもネットやら何やらが生活の一部になってるにも関わらず、
漫画ではそういった事柄がほとんど描かれる事が無いのはどうなんだろ?てな風に常々思ってましたし。
ケータイでさえ漫画の中に出るの、結構遅れてましたしねぇ。


元々絵は見栄えする人ですし、伏線もきっちり回収してる辺りは評価できるのですが、
どーも好きになれないのはご都合主義な感じが満載な点ですね。
これは『4946』でも散見されてたのですが。
客観的には○付けるかどうか悩むってところですが、この点が解消されない限り私は面白いとは思わないでしょうなぁ。
1話はすんなり話を進める為にあえてそうしてる、とかならいいんですけれども。