ハレルヤ オーバードライブ! #21

今回は「対比」という切り口でサクっと書いてみます。
漫画にとってキャラクターをどう表現するかってのはかなり重要な要素ですが、
いかに対比させるかってのは最も基本的な手法でしょう。
「どこが同じ」で「どこが違うか」を明確にするということです。


#21は冬夜の兄、浅緋メインの回でした。
当然ながら冬夜との対比って事になります。
『ハレルヤ オーバードライブ!』 4巻 p128 高田康太郎

音楽の才能がない人間には冷たいという点では冬夜と浅緋は全く同じです。
ただ、対応が違う。
冬夜は単に無視したり冷淡な対応をするだけですが、
浅緋は切り捨てたり叩き潰すといった対応を取るみたいですね。
兄弟姉妹で全く性格が違う漫画をたまに見かけますが、個人的には面白くないなと感じますね。


以前も書きましたが、そういう意味で一番素晴らしかったのが『じゃじゃ馬グルーミンUP!』でした。
『じゃじゃ馬グルーミンup!』 4巻 p63 ゆうきまさみ

4姉妹とも「ああ、この親の子どもだ」と納得できるんですよね。
両親の性格を受け継ぎつつ、それぞれがバラエティのある性格になっていました。
種付けの際に「いかに親の良い能力を受け継がせるか」を考える生産牧場が舞台の漫画だからってのもありますが、
この辺りは非常にリアリティを感じました。
冬夜と浅緋も兄弟だなと思わせつつ、違う人間だと分かるキャラクターになってると思います。


もう一つの対比は、浅緋がどう見られてるかの対比。
シーンとしてはこの2つになります。
『ハレルヤ オーバードライブ!』 4巻p110,114 高田康太郎


「天使の声」と呼ばれた浅緋の才能と、「化け物の声にしか聞こえない」という性格の悪さからくる印象。
もちろん小雨の歌とも対比させてます。
キャラの評価を別のキャラにさせることによって、あるキャラの二面性を表現しつつあるキャラからの視点を出す、
という手法を頻繁に行ってる漫画ですが、これもそのうちの一つでしょう。
何にせよ、浅緋のキャラはヒールとしてかなり立ってると思いますね。