FLAG.162

前回の記事がFLAG.130なので、半年以上振りの更新です。
まー色々忙しかったので...6月までは。そっからは惰性ですね。
定例のskypeをやらなくなったってのも大きいです。アレでかなり纏められましたからねぇ...


なので以前のように毎週記事を書くというのは無理不可能ですが、
今後もポイントとなる回があれば書くかもしれません。


いやー今回は本当に素晴らしかったです。
この漫画の一番素晴らしい点は「似たような事を繰り返しながらも新鮮さを出す」構成・演出にあるんじゃないか?
と最近考えてますが、今回は正にそれ。
どの辺りに現れてるかは最後に書くとして...
神のみぞ知るセカイ週刊少年サンデー2011年47号 p72 若木民喜

まずは歩美がミスコンに。もうさんは歓喜してるんだろうなw
学園モノの利点は、舞台の説明が全く必要ない点と、ほとんどの人が共感できる点、
イベントがあるので話を作り易いという点でしょう。
当然ながら『神セカ』でも学園祭というイベントは消化、どうせやるならミスコンって事にはなるでしょう。
つか、男は誰が出るんですかね? 結も男性側で出るの?w


学園祭では当然出てくるであろう技術部と栞を前フリとして出したあとの、このシーンがいいですね。
神のみぞ知るセカイ』 p78 若木民喜

一つ目はミスコンにちゃっかり楠が出てること。
神のみぞ知るセカイ』 3巻 p79 若木民喜

かわいい武闘家道家を目指すんだから当然ですよねw
他のキャラも出るのかどうか気になります。てか結出るんならどっちに出るんだろ...


二つ目はもちろん、ちひろの行動。
あれだけイケメンに目がなかったちひろこの素っ気なさ
こういう描写をさらっとする辺りは本当によく考えられてるなーと思います。
もちろん桂馬にアタック中だからっていう事ですが、この後にオタな桂馬の描写を入れて
ギャップを作ってる辺りもまた素晴らしい。


神のみぞ知るセカイ』 p85 若木民喜

ここは受けるのかw ちょっと意外でした。
神のみぞ知るセカイ』 2巻 p35 若木民喜

昔こういうセリフもありましたからね。
まぁそれぞれに理由が書いてありますし、少し前に「フラグを制圧するんだ!」と書いてあるので
納得はできます。(まぁこのセリフはむしろこの後のシーンに掛かってくるんですが)
どちらが誘うかという点では予定外ですが、桂馬が思い描いてるルートに乗ってるって事ですし。


でもって何よりも素晴らしいのはココでしょう。いやもうリアルで叫びましたよ。
神のみぞ知るセカイ』 p88 若木民喜

ちひろの攻略を歩美が手伝う」
いやー正直こう来るとは全く思っていませんでした。実によく練られていると思います。
裏の裏は表じゃないんですね!
...とだけ書いても全く伝わらないでしょうから解説を。


この手法は以前にも登場しました。ちひろです。
つまり、今回のシリーズはちひろ編の応用です。
で、実はそのちひろ編も歩美編の応用なのです。


まずは歩美編。舞台設定やキャラの説明等もあり、攻略自体は非常にシンプルな構成でした。
攻略法はこの2つ。
神のみぞ知るセカイ』 1巻 p41 若木民喜

神のみぞ知るセカイ』 1巻 p42 若木民喜

最近私が使ってる言葉で言い換えると、宮台真司氏が言うところの「関係の履歴」です。
ちなみに、出会いを増やすこと=読者が見る機会が増える となるので、メタ的でもあります。
(出番が増えるとファンも増える)


ちひろ編でもこの方法を使ってきました。
ちひろ編はここで述べる事以外にも素晴らしい点があるのですが、
それはおいおい書くかもしれないと言うことにして。(twitterではつぶやきましたが)
神のみぞ知るセカイ』 4巻 p79 若木民喜

攻略法自体は全く同じです。
ただ、前半は立場が全く違います。逆転してる、裏の攻略法と言ってもいいでしょう。
神のみぞ知るセカイ』 4巻 p74 若木民喜

ちひろがユータくんに対して花に水を遣る。
この発想だけでも素晴らしいのですが、この後がまた凄い。
神のみぞ知るセカイ』 4巻 p81 若木民喜

ユータ君攻略のためにちひろと打ち合わせをする桂馬。
この行為自体が、桂馬がちひろに水を遣ってるんですよ。
さらに言えば、「悪印象は好印象に変換可能」なシーンもその前に出てきてます。
ということで、攻略法が後半には裏の裏、表の攻略法になる訳です。


で、今回の学園祭編。
ちひろ編の立場から、ユータ君=ちひろちひろ=桂馬、桂馬=歩美へとシャッフルしてきました。
言わばちひろ編前半の裏です。
ただ単に、歩美編とちひろ編でこの攻略法を使ったから学園祭編でもう一度、という意図ではないでしょう。


まず一つ目の意図は、心理学で言うところの「クロージング効果」(『マナゴコロ』の受け売り)
神のみぞ知るセカイ』 2巻 p130 若木民喜

『神セカ』で言うならこのシーンでしょう。
単純に親密度を上げる効果もありますが、
p74にあるように、歩美とちひろが親友なので、この2人の見えないフラグに振り回されないようにする。
つまり、桂馬が知らないところで話をしないように...
フラグを制圧する手段がコレです。


二つ目は、親友の歩美とちひろを同時攻略するという意図。
どちらに女神が入ってるか確定してない状況ですから。
ちひろ編では、ユータ君とちひろのフラグが立ちつつ、ちひろと桂馬のフラグが立ってました。
ちひろは結局桂馬になびく訳ですが、ちひろ編でのちひろの役割を桂馬が担ってるので、
彼が主体的に動けてるならば歩美とちひろ両方に水を遣ることが可能になる訳です。
言わばちひろ編の両面です。


攻略法は同じでも、立場や状況をちょっと変えるだけでこれだけ新鮮味を出し、新しい意図を持たせる。
FLAG.162は『神のみぞ知るセカイ』の真骨頂と言える回だと、私は思います。