週刊少年サンデースーパー増刊号201104

週刊少年サンデースーパー増刊2011年4月号 p494

先月更新分

あと、巻末の予告には書いてませんが、森園フミコ先生の読切も載るようです。
ソース http://morizouki.blog.shinobi.jp/
この人は昔から(と言っても2年くらい前ですが)期待してるので、何とか連載取って欲しいもんです。
同じく期待していた作家さんを挙げると、


猫砂一平先生(『末代まで!』で角川学園小説大賞
田島七枝先生(サンデー超で『Instinct』連載開始)
中西真智子先生(サンデー超で『紅蓮のタクティクス』連載終了)
田口ケンジ先生(クラブサンデーで『DCD』連載中)
空詠大智先生(クラブサンデーで『揉み払い師』連載中)


と、軒並み連載経験してるだけに。
まぁ梧桐柾木先生、森田滋先生、夏川結真先生辺りはまだ連載してないんですが。
梧桐柾木先生はクラサン新人王選手権で優勝したので権利持ってるのですが。ていうか連載まだですか!!1)

こう書いたら森田先生が連載開始ですよw
何故か明記されてませんが、タイトルは『新選組秘闘 ウルフ×ウルブズ』です。
むしろ『Instinct』の方が『ウルフ×ウルブズ』っぽい気がしますがw


夏川先生もクラサンで連載開始しましたし、森園先生も続いて欲しいですね。
こちらの連載もいずれ記事にします。



永遠の!

永遠の!

夏川結真
(C)Yuma Natsukawa/Shogakukan 2011

江村永花は、道場の跡取り娘でめっぽう強い。今日も、(勝ったら永花とつきあえるというエサにつられてやってきた)挑戦者を撃退したところ。そんな永花の前に、一風変わった少年が現れる。エンと名乗るその少年は、永花に「俺を殺してくれ」とお願いしてきたから、さあ大変!もちろん、お断りする永花だが、エンは全然引き下がらない。なぜなら…サンデーのコメディープリンセスが贈る壮大なスケールの新連載開幕!

posted with EmbedSunday on 2011-03-27


動物がお医者さん!?
「アニマルセラピーもの」ということで正直全く期待してませんでしたが、割と予想通りでした。
×付けようかどうか悩みましたね。
客観的に見れば漫画のレベルが低いという訳ではないので自重しましたけども。


絵に関してはやはり全く問題なさそうです。キャラの個性も描けてます。
展開的にはベタですが、逆に言えばそつなくこなしてる印象。
ただ、個人的にカチンとくる描写が多すぎですわw


まずは交通事故。
一時期クラサンで交通事故がやたらと増えてましたんでどうも嫌いなんですよ。
突発的な事故のなかでも表現し易いので採用したくなるのも分からないでもないですが、
クラサン含めた媒体全体でこのパターンが多いと萎えるという私の感情も理解してください。
ただ、事故後の演出は(クッション云々)必然性が感じられるので、まだ許容できる範囲ではあります。


次に、音が聞こえるという主人公の能力。
ワイルドライフ』の主人公、岩城の能力とほぼ同じじゃないですか...
確かに使いやすい設定ではありますが、あまりにも安直かなぁと。


最後にリアリティ。
『動物がお医者さん!?』 週刊少年サンデースーパー増刊2011年4月号 p58-59 富士昴

さすがにこれはちょっとなぁ...
「イルカが人を助ける」という話は割とよくあるのでその点はいいんですが、
(個人的には「たまたま助けてるように見える」パターンの方が多いように思えますけども)
胸ビレで人間抱えるとかいくらなんでも有り得ないなぁと。そういう体の構造になってませんし。
有り得るとすれば頭で押し上げるという感じだと思います。
子供のイルカ相手にそういう行動取ることあるっぽいですし。


元々甘っちょろいストーリーになりそうなので個人的には苦手な漫画になりそうですが、
(そういうニーズもあるので、これ自体は客観的に問題はありません)
完成度で見れば○くらいは付けてもいいレベルにはあるので、後はどれだけ説得力を出せるか、でしょうか。
上の画像はともかく、論理的な話もそれなりに調べてはいるみたいですし、キャラ描写は割といい線行ってます。
構造的には『神のみぞ知るセカイ』と同様、心のスキマを埋める漫画になるでしょうから、
その辺りをセラピーの論理に則って描けば面白い漫画になる可能性は十分あると思います。
まぁ『ワイルドライフ』が好きだった人には受けるんじゃないでしょうか。


◎ Instinct
伏線張ってましたが、いきなり内部抗争。
主人公の甘い性格と信念、それを許さない周囲の状況にギャップがあり、それでも信念を貫くといった辺りに
熱血を描ける構造がしっかり構築されてるのが分かります。
課題を挙げるとするなら、ハードボイルドな演出をより際立たせるためのギャップとなるギャグでしょうか。
個人的にはサンデーにありがちな萌え要素詰め込むよりも、『BLACK LAGOON』的なシニカルな類が合うとは
思いますけれども、果たしてそういうセンスが伸ばせるかどうか。
まずは得意な熱血描写を伸ばしてから、その後の話ですけれども。


超弩級少女4946
ありきたりではありますが、やはり特攻は男のロマンですなぁ。


◎ CRIMSONS
素晴らしいです。
上の引用や#1の記事でも書いたように、個人的には菅野先生にそれほど期待してなかったんですが、
現状は田島先生よりも上かもしれません。


先月と同じ説明の繰り返しになりますがご容赦を。
『CRIMSONS』 週刊少年サンデースーパー増刊2011年4月号 p138 菅野孝典

いつものごとくミジンコが哲学的に弱肉強食のことを語った後で喰われます。
この時点で知能の低いミジンコが哲学という高尚なことを考えるという点でギャップがあるのですが。
ちなみにミジンコ、遺伝子の数が人間よりはるかに多いらしいです。


暫く紅鮭の描写が続いた後、教授と留学生の解説+恋愛モード。
『CRIMSONS』 p144

この辺りはワンパターンですがいいですね。
基本的にワンパターンやマンネリが問題になるのは、話がダレるから問題になるのであって、
この漫画のように毎回1〜2pの短さだとその心配はありません。むしろ黄金パターンになります。
NHKダーウィンが来た生きもの新伝説』の「ひげじい」が質問しつつ駄洒落を言うコーナーっぽいというか。
この2つのパターンでみじんこのファニー、哲学的なセリフを含んだギャグ、教授の科学的説明、留学生の恋愛と
4つの要素を出せますので、それだけ読者の多様なニーズに対応できてるという事になります。


『動物がお医者さん!?』では問題になったリアリティの問題も構造的に解消できるようになってます。
『CRIMSONS』 p146

ワイルドライフ』でもありましたが、こういうデフォルメされた、人間っぽい描写は
感情移入を促進する効果はあるものの、リアリティを損なう恐れがあります。
先に画像引用したイルカが胸ビレで主人公を助けるシーンがそれです。
『CRIMSONS』では非リアルな描写は常にデフォルメで描く、というのが徹底してます。
さすがにデフォルメされてるものに対してリアリティに欠ける、という突っ込みは私でもしませんw


『CRIMSONS』 p153

デフォルメだけでも漫画は成立するのですが、科学的な説明を出してるのでリアルな描写があるに越した事はないです。
デフォルメとリアルのギャップも出せますし。
どこをデフォルメ、どこをリアルな描写でいくかという取捨選択に関しては#1からちゃんとできてます。
問題はリアルな描写がちゃんとリアリティ出せてるか...#1の記事で批判した点です。


実際に鳥は魚を捕らえたらたいていは丸呑みするんですが、獲った後でも魚が暴れてる場合には
画像のように石に頭を打ち付けて脳震盪を起こさせてから食べるという行動をします。
この「石に頭を打ち付け」る描写自体がショッキングになりますし、タケシがそれだけ凶暴だという
キャラの描写にも繋がってます。
内容が良いと批判ではなく作品の解説になってしまうというのがこのブログの癖ですが、
そのくらい今回のリアル描写は素晴らしかったと思います。
自分の中ではこの作品、『タッコク!!!』並の高評価です。


はるまげ
前回も書きましたが、良くも悪くも『ものものじま』っぽいですなぁ。
今回のように多少ラブコメ混ぜればなんとか持つでしょう。


阿鬼羅
どんどん入れ替えを行ってるサンデー超ですが、一つくらい軸になる作品があってもいいとは思うんですよね。
まぁ私はフツーかなーと思いながら読んでるのですが。
連載終わらせて本誌に戻せるか?と考えると微妙なところですし、終わらせるには少々勿体ない作品でもあります。


◎ G
実際頭振ってどれだけの効果があるのか分かりませんが、これだけ上手い事考えたのなら妙に納得してしまいます。
所謂「納得力」のある表現というか。
チコのペースが落ちてるといった所で、実際どれだけの効果があるのか曖昧にしてる辺りも上手いです。
伏線の張り方、論理の説明も非常に上手いです。素晴らしい。
出来ることなら、この人はこの作品で本誌に昇格して欲しいですね。2〜3巻出してからの話ですけれども。


◎ MS・DOLLS
『MS・DOLLS週刊少年サンデースーパー増刊2011年4月号 p268-269 菅原健二


一言で言うと「アオイ総受け」
「全ての萌えに感謝を」とか言い出すと『トリコ』っぽいですが、まぁ共通する部分もある訳でして。
メタ的でもありますしね。
何にせよ、完全にマンネリだったのでこの辺り(もしくはもうちょっと前)が引き際だったと思います。
福地翼先生や後藤隼平先生もそうですが、是非本誌で読みたい作家さんですね。
というか本誌でやらんかったら編集部の判断を疑いますw


今際の国のアリス
死が迫ってこそ生を感じる。
『4946』も割とそんな感じでしたが、こういうシーンがあってこそ「げぇむ」を続けることに意味がある訳で。
あと、中村イネのネタは笑ってしまった。卑怯だわw


サムライハイスクール
個人的に男女入れ替え的な漫画は苦手で基本スルーしてたから何とも言えないところですが、
苦手であっても読ませるような何かがあった訳ではないのは確か。
『いろは!』同様、手堅いんだけどインパクトに欠けるといった印象でした。


魔法行商人ロマ
衝撃でも何でもない最終話でしたが、綺麗に纏めた感はあります。
確かにずっとマンネリではありましたが、そういう漫画ですのでそこには文句はありません。
個人的には週刊より月刊向きかなぁと。
週刊でやるならマンネリじゃない漫画が描けるかといった点がネックになるとは思います。


× アップセット15
熱血はそれなりに描けてるんですが、相変わらずキャラの個性を生かしてませんなぁ。
これではキャラにファンが付きにくいですし、感情移入もし辛いです。
アイシールド21』や『GIANT KILLING』の爪の垢を煎じて飲んで欲しいところ。


カクシゴトは充実 片桐了
『忍者ハットリ君』『さすがの猿飛』系の作品。
最近だと例えば『よしとおさまっ!』『モチモチ』『ねじまきカギュー』になりますか。
手堅くはありますがそれだけというか。肉でもなく魚でもない。
こういうよくある設定なら、何かひとつぶっ飛んだ所というかオリジナリティがどこかに欲しいですね。
例えばまんカレ2010年8月期入選の『ロボ彼女』のような。


◎ バディ!!! 森園フミコ
日本のプログレッシブ・ロックにおいて伝説的な存在、四人囃子のVo&G,森園勝敏という
無駄に凄いけど漫画とは全く関係のない偉大な父親をもつ作家さん。


『サムハイ』のところでも書いたように個人的には男女入れ替え的な作品は苦手なんですよ。
らんま1/2』もそうですが。
その上やはり苦手な露骨な裸も出てます。


『バディ!!!』 週刊少年サンデースーパー増刊2011年4月号 p467 森園フミコ

それでも◎評価なのはキャラの個性が出すのが上手く、さらに熱血が確実に出せるんですよね。
感情移入のさせ方というかモノローグも丁寧で好感が持てます。


サンデーの新人さんの中で私が期待してる先生方のうち、山地ひでのり先生はもう少し時間掛かりそうですが、
森園フミコ先生と黒田高祥先生はなるべく早い段階で超かクラサンで連載を持って欲しいです。
この二人はそれだけクオリティの高い作品を、しかも続けざまに出してますし。
個人的には森園先生はスポーツに拘ることはないと思いますが(『炎劇』もそうですけど)
なるべくキャラが多く、キャラ間のロールプレイが出しやすい作品で挑戦して欲しいです。