マナゴコロ 1巻 その1

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経歴に関しては自身がブログで書いてるのでそちらを参照。
DEATH NOTE』のパクリと言われた『LOST+BRAIN』の原作が代表作と言っていいでしょうか。
薮野ではなく藪野なのでご注意を。



いつものように批判的に書いてますので、正直言って藪野先生は読まない方が精神衛生上いいと思います。


LOST+BRAIN』で原作担当になったことも分かるように、最大の課題は絵でしょう。
「TONYみたいな絵を描きたい」ともつぶやいてましたし、本人もそれは自覚してると思います。
ただ、それが実行されてるかと言うと...単行本の前後を比べてもほとんど絵柄に変化ないですし。
(主人公の仁は多少変わってますが。)
クリスタルな洋介先生のように(あの人も決して上手いとは思いませんが)変化し続けていけば良くなっていくかも、
という期待は持てるのですけれども。
実際クリス先生は、連載当初から比べたらかなり上手くなってますし。


正直、絵に関してはあまり語れないのですが、
個人的には絵柄が上手いか否かではなく、絵柄が「旧い」ことがネックになってるのだと思います。
例えば、決して絵が上手いとは評価されてないクリス先生にも、それなりに萌えファンが付いてます。
「いかに絵を上手く描くか?」というアプローチよりも、「いかにトレンドを吸収するか」というアプローチの方が
絵柄が評価される近道になるのではないかと。
具体的にどう変えていくかまではさすがに難しいですが、とりあえず瞳の描き方ですかねぇ...
『マナゴコロ』 1巻 p110 藪野続久

連載持って単行本出すのは初めてとは言え、さすがに10年以上やってるプロ。やれない訳ではないんですよね。
少なくとも私みたいな素人はこれで誤魔化せるんじゃないかと。
試しに目だけアイコラしてみましたが、それだけでがらりと印象変わりました。
少女マンガチックにしろ、と言ってる訳ではないですよw
他にも、帯にも描いてる「単位をください」と叫んでるコマも印象違いますしね。
個人的には、ここを変えないと2巻で終わるかなぁと思ってます。
いくら内容が良くても、その内容が革新的でない限り、絵柄の段階で読まれませんから。


絵柄以外の問題はあまり売上と絡むとは思えませんが、考慮する余地はあると思います。
問題点を指摘するだけだと「この漫画面白くないの?」と思われそうなので、まずは良かった点を。


まず、「ラブコメと心理学とを絡める」というコンセプト。これは素晴らしいです。
個人的に門前書(入門書よりさらに初心者向け)的な漫画は、それだけで評価するのですが、
その内容がアカデミックであればより高い評価をしたいです。
フラッパー編集部的には『数学ガール』が当たったので二匹目のどじょうを...ということなんでしょうか。


内容的にも非常に面白いです。例えば#1のこのシーン。
『マナゴコロ』1巻 p33

ここで一瞬期待を持たせて、次の見開きページでかなりインパクトのあるセリフをヒロインのマナが喋ってます。
マナのキャラクターもいいですね。(性格的な意味で)
スイッチが入ったりテンパったりした時に理論的なことをまくしたてるって辺りが。特別珍しいキャラって訳でもないですけれども。
今後出てくるのかもしれませんが、マナが心理学を志したのは鈍感なことが原因とかならより良いかもしれません。
個人的には、単純に鈍感なキャラではなく、他人の心理に敏感すぎて自意識過剰気味になり、
それを抑制しようとする心理が働いて逆に対応としては鈍感になってる、って方が好みですけれども。
ふとした動作を見て私のことが好きかもと思ってしまい、いやこれは心理学的に言えば云々...といった感じで。


#4はtwitterでもつぶやきましたが、
『マナゴコロ』 1巻 p112

心理学の理論がテンポ良く出てきて面白かったです。
タッコク!!!』で言うと神回の#25っぽい演出でしょうか。
タッコク!!!』 4巻 p111 福地翼

ただ、こういう演出は毎回やらない方がいいと思います。たまにやる分にはいいですが。
実際『タッコク!!!』もそうなってます。で、逆にいえばここが問題だと思います。
ということでdisります。


#4は亜夢の発言をことごとくマナがdisるという構成だったのでテンポが良くなるという効果が出ましたが、
その他の回は心理学の論理をつまみ食いしてるような印象を受けます。
論文なら引用をこまめに挟む方がいいのかもしれませんが、漫画だとフォーカスが当たらないというか。
あくまで個人的な見方ですが、門前書にするなら一話(もしくはシリーズ)につき一つの理論を中心に据える、
といった構成の方が良いと思います。
さよなら絶望先生週刊少年マガジン2011年4・5月合併号 p378 久米田康治

例えば『さよなら絶望先生』なら一つのテーマで一話使ったりしてます。(後半違う内容になったりもしますけど)
まぁデート回とか合宿回とかいう風にテーマ自体はあるんですがね。


最近の門前書と言える作品で、大ヒットした『もしドラ』を例に挙げた方がいいのかもしれません。

もう一年も前に立ち読みだけで済ませたので記憶が曖昧ですけど、その辺りはご容赦を。
この小説の素晴らしい点はいくつかあります。
女子高生が硬い『マネジメント』という本を参考にするというギャップがまずありますが、まぁそこは置いといて。
内容的にはPDCAサイクルがぐるぐる回ってる点ですね。
ひとつひとつ問題を解決する経緯は非常に科学的ですし、解決した段階で達成感も得られます。
『マナゴコロ』は心理学という科学を扱った作品なのにも関わらず、こういった面がほとんど見られないんですよね。
#1では「ボディランゲージ解読実験」として一応出てますけれども。


ではどうすればいいのか?っていうアイデアはありますが、次の記事で。
本来は『銀塩少年』の後藤先生に次回作はこういう作品描いて欲しいなーというものだったんですけれども。