ラスト・フレンド



ラスト・フレンド

ラスト・フレンド

川中康嗣
(C)Yasushi Kawanaka/shogakukan 2010

事故で両足の自由を失った少女と、その親友が挑む死のゲーム。彼女達は見事、このゲームからの生還を果たせるのか!? 期待の新鋭が送るミステリーホラーアクション登場!!

posted with EmbedSunday on 2010-10-22

★★★★★
川中康嗣先生のtwitterはコチラ http://twitter.com/sadistichime
サンデー本誌で『神のみぞ知るセカイ』連載中 若木先生の現アシスタント。
その辺りのいきさつを少し聞いたような気はしますが、書いていいのか分からないので伏せときます。
ぶっちゃけ一言コメントに書いてる「ツイッター等で応援してくれた方々」の中に私は入ってるんでしょうが、
そういうしがらみ抜きで★5つ付けられる作品が出てきて心底ホッとしました。


でも批判する所はするけどな!
ということでこのブログの常套句。川中先生は読まないように







と書いてもどうせ読まれると思うので、いつものようにコレ貼っておきますのでせめて非難訓練を終えてからにしてください。


まぁ批判というより個人的に合わない箇所と言った方がいいかもしれません。


まず突っ込みたいのは、どうもストーリーが甘っちょろい印象を受けるんですよね。
ばななさんも似たようなことつぶやいてましたが。
主人公二人がやたらとピュアなので、ひねくれ者の私が読むと若干引いてしまいます。
主人公だけならまだいいんですが、悪魔もピュアなんですよねぇ...
『ラスト・フレンド』 p39 川中康嗣

わざわざ治さなくていいのも治すってのがねぇ。悪魔なのに。
まぁ確かに『神セカ』も悪魔が悪魔らしからぬ反応したり行動したりしますがねw
治るにしても、例えば「脱出できたら、死んだ身体も完全な形で元に戻る」的な設定を前フリに入れて、
精神世界を経由した副作用とかなら許容できるのですが。
ツンデレ的要素は「だからあえてハンデのある娘を選んだんですか?」とでも突っ込ませれば出ますし。
まぁ主人公も悪魔も全員ピュアなのが好きな読者もいるでしょうから、この辺りは好みの範疇ですね。


このシーンも好み分かれるでしょう。
『ラスト・フレンド』 p38

まー「クララが立った」をやりたかったのがたぶんこの漫画描く動機でしょうから目は瞑りますけれども。
個人的には折角いい話だと思ってたのに、このシーンで興醒めしましたねw
既に1回セリフ込みでやっちゃってる点もマイナスです。
『ラスト・フレンド』 p9

こういうネタは天丼には向きませんしね。


さらに突っ込みたいのはこのシーン。これは完璧に個人的な好み。
『ラスト・フレンド』 p6

「クラサン読切ダメお約束」のうちの一つ、交通事故が出てる時点で萎えます。(もう一つは卓球)
第一回クラサン新人王でこういうシーンをさんざん読まされたトラウマがあるからなんでしょうが。
まぁ交通事故があっても構わないんですが、交通事故である必然性を感じないんですよね。
呼び止めたのが原因で事故にあったんですし。まぁ上に引用したオチで絡んでるんですけども。
鎌で切って魂が抜ける、くらいで良かった気はします。
『ラスト・フレンド』 p37

もし、どうしても「MAEKEN」を出したかったからこの演出、だとしたら撤回しますけれどもw
個人的には小ネタ大好きなんでね。
ちなみに「MAEKEN」とは広島カープの投手マエケンこと前田健太のことです。
川中先生が大好きな選手ですね。


完璧に重箱の隅なのがこのシーン。
『ラスト・フレンド』 p17

テトリス』にこんな形のブロックは無いw
まぁ『テトリス』っぽいゲームだと逃げられますけれども。


後は、菅野先生同様地獄が出てくる漫画なんですが、若木先生のアシスタントはそういう縛りでもあるんでしょうか?w
梧桐先生の読切も地獄の設定こそ無かったですが割りとそんな感じのキャラクターでしたし。


とまぁ、割とどーでもいい点しか批判してない漫画は高い評価をしてるってのがこのブログの常ですが、この漫画も然り。


まず、絵がかなり進化しましたね。単純に綺麗になりましたし、動きの描写もアングルもかなり上手くなってるように思います。
まんカレ受賞作は今でも読めるので、比べてみるのもいいかもしれません。



サド姫のバスケ

サド姫のバスケ - 読切

川中康嗣
(C)Yasushi Kawanaka/Shogakukan 2009

編集部賛否両論の問題作! まんカレ佳作入賞!!

posted with EmbedSunday on 2010-10-22


内容的には、映画『Cube』をオマージュしつつ(?)よくある「吊り天井」のトラップをテトリスに置き換えるというオリジナリティが素晴らしい。
『ラスト・フレンド』 p10

こういう発想は実に羨ましいです。
電車乗ってて窓の外のビルの上を忍者やマリオが跳ぶといった発想は、神谷さん同様にありましたけれどもw


『ラスト・フレンド』 p33

二人の役割を分担しつつ伏線の回収。さらに二人の絆にも絡める。この演出も素晴らしいですね。
この二箇所だけで★5つ付ける価値ありますわ。
惜しいのはこのシーンが説得力に欠けること。
くららがコーチングするのはいいんですが、座標指定してそれの通りに動くってのはバスケでやってるとはとても思えないので。


主人公二人の感情はきちんと描かれていて、共感を呼びやすいようになってると思います。
「MAEKEN」「天舞宝輪」と一体誰をターゲットにしてるか意味不明な小ネタが個人的には好みです。
牛は晩餐館的なナニカなんですかね?


この作品でクラサン新人王を獲れるか?と考えると、今期は比較的豊作なので厳しいかと思いますが、
客観的に見てもエントリーはほぼ確実、今後の作品次第ですが上位ランクインの可能性あるでしょう。
これが受賞後初めての作品ですし、確か25歳くらいでしょうから、まだ伸びしろありそうです。
若木先生のアシスタントさんだとか、いつもtwitter等でお世話になってることを抜きにしても、今後の活躍が大いに期待できそうで楽しみですね。