Fransesco



Francesco

Francesco - 読切

梧桐柾木
(C)Masaki Gotou/Shogakukan 2009

人以外の存在と会話する”通訳者”サイラス。彼が初めて通訳に成功した相手は…? 5月期まんカレ受賞作!

posted with EmbedSunday on 2009-08-08

若木民善先生のところでアシスタントをしている作家さん。
2005年8月期ジャンプ十二傑新人漫画賞最終候補、2005年6月期同賞作画担当で最終候補、まんカレ2007年12・1月号努力賞。
レンカのキャラが師匠とよく似てる感じですね。
『Francesco』p10 梧桐柾木

通訳者というより交渉人といった趣ですが、『絶チル』の紫穂の能力を人以外に限定した能力という感じですかね。
道具とシンクロするのはむしろ『ゼロの使い魔』の平賀才人かもしれませんが。


欠点は若木先生がブログで書いてるので、それを引用しときます。

マンガもそれと同じで、テクニックの比重が大きくなるほど、誰にでもかける部分、本筋と関係ない「段取り」のコマとかが増えてくる。「オッスオラ悟空!」で始めたらいいマンガを、意味深なアバンタイトルを入れたりしてしまう。1コマで済むところを「流れがよくなる」と3コマ使ってしまう。ラストのインパクトを重視しすぎて、前半がどうでもいい伏線で埋められてしまう。確かにその方が体裁は整うんだけど、その分、その人しか描けないという部分が減ってしまう。形式的にはレベルは高くなってるのに、個性がなくなってくる。これがジレンマなんだ。
::HoneyDipped:: 8/5:頭と身体のズレ

前半どうでもいい伏線というのはありませんが、1コマで済むところを3コマ使うという辺りはその通りですね。
個性とテクニックという流れとはちょいとはずれますけど。
『Francesco』p23 梧桐柾木

私の感覚でいくと、「通訳者訓練時代から〜だから甘いって言ってるのよ」は削れます。
そりゃページに余裕があれば別ですが、自分が思い描いたシチュエーションを全部描いてるような印象を受けます。
「こういうシーンを入れたいんだけど」という気持ちをぐっと抑えて、もう少しエピソードを削ってく必要があると思いますね。
漫画ではなく映画ですが、この「どのシーンも削りがたい」気持ちを優先した最悪の映画が

俺は、君のためにこそ死ににいく [DVD]

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コレです。
困ったことに監督が母親の同級生だったりしますがねw
右翼的、左翼的かどうか以前に、感動的なエピソードを全部入れたためにムダに時間が長い上に本筋がぼやけるという難儀な映画でした。


要素を詰め込む必要があるから、バトルシーンと比べても分かるようにコマ割りが単調になりがちです。
一般的な評価はどうか分かりませんが、サンデーにおいては椎名高志先生がコマ割りに関して圧倒的に優れていると思うので、
その作品を参考にしつつもう少し考える必要があるのかもしれません。
まぁ、コマ割りはよっぽど下手でなければあまり人気には反映しませんが...


ただ、内容は非常に素晴らしいと思います。
アンケートに「コレが佳作なら入選する作品なんて本誌掲載レベルじゃないですか?」的なことを書いたくらい高評価です。
さすがに「電脳やジオは努力賞レベルですか?」とまでは書かなかったけどさw
人物の個性・表情も出せてますし、その背景も回想シーンで描けてる上にメリハリも利いてます。
いかにも優男なのに意外と闘えるというのもミスディレクションを誘ういい構成です。
さらにバトル、ギャグ、恋愛もきっちり描ける辺りは素晴らしい。
個人的には『鍵人』といい勝負...本誌掲載でも遜色ない出来ではないかと。