ゲッサン201507 #2

枕はコチラに。



○ 恋情デスペラード
1話目よりは良かったかなぁと。
私のアントンシク先生への期待に比べれば、まだ物足りないのも確かですけど、
設定やら何やらから多少開放された分のやりやすさはあったのかも。


『恋情デスペラードゲッサン2015年7月号 p56 アントンシク

壁ドンの萌えシチュ+後への伏線という、一つのシーンに2つの意味を持たせていたり、
トラブルで目的達成となったのでご都合主義な印象を受けなかったり、
一話目よりも描き込みが大分スッキリして見やすくなっていたり。
さらには殺陣の格好良さも前回以上。

以前アントンシク先生は『Amazon Blues』という『ドラゴンズクラウン』アマゾンの同人誌を
出したことがあるのですが、
アマゾンの空中戦スキル・デッドリードライブを見てるかのようなこのシーンは素晴らしい。
『恋情デスペラードゲッサン2015年7月号 p62 アントンシク

私はアントンシク先生に触発されて、アマゾンで無限の天廊150Fくらいまで行ったんですが、
このシーン見たらまたやりたくなってきたな...

ドラゴンズクラウン - PS Vita

ドラゴンズクラウン - PS Vita

構造的な問題は1話目にも書きましたが、

共感しにくく、かつ憧れも抱きにくい主人公キャラ
キャラ人気の受け皿が主人公だけ
一話完結で新規の門戸を開いている代わりに縦軸がない

まぁこの辺りが問題になるでしょうね。これの手当となると

共感できるキャラか憧れを抱くようなサブキャラを同行させる
縦軸はサブキャラが別の目的を持って何とか

この辺りになるでしょう。
ひょっとしたら1話目からキャラ複数いればそれだけ準備が必要なので、
あえて最初は主人公だけにした、という事なのかもしれませんが、
最初からキャラの受け皿をある程度取っておかないと厳しいんじゃないかなぁと。
まぁ、受け皿広くし過ぎると『トキワ来たれり!!』のように収集つかなくなる恐れはありますが。
個人的に目指して欲しい方向性は、この作品のSF抜きという感じではあります。


放課後さいころ倶楽部
アヤ回でした。
ハナは登場したものの、ゲームはせず、エミーとの顔合わせもなし。

中道   :エミー出すことは結構前から決まっていまして、実は。
ドイツ人の留学生が学校に来ると。ただまぁ、どんな娘にしようみたいなんで凄い悩んでまして。
今まで出した主人公の3人と、あとお姉ちゃんとマキちゃん入れて5人娘。
あと、副会長。アレをツンデレポジションとするなら、もうほぼキャラが無いなぁみたいな。
どれ出してもどれかと被っちゃうみたいになった時に、これは困ったなぁみたいになりまして。
円卓P  :(笑)そうですね。
中道   :だから今のところ、お気づきの方も多いと思うんですけど、一番被ってるのってハナなんです。エミー。
アル隊長:確かに。
中道   :で、エミーとハナが出てきた時が超ヤバいっていう。
ボードゲーム数寄語り。第51回「放課後さいころ倶楽部第4巻・その4」 14:50〜15:28

アヤと父親との関係をクローズアップする回だったというのもあるでしょうが、
恐らくこういう事情も関係しているんでしょう。
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年7月号 p113 中道裕大

とは言え、この親にしてこの子ありという感じを出しつつ、
男女の考え方の違いも出せてる訳で、きちんと違いを際立たせる事は出来るでしょうから、
やれない事はないと思うんですよね。


今回のゲームは『ブロックス

ブロックス BJV44

ブロックス BJV44

作者はBernard Tavitian.
派生として2人用の『ブロックス・デュオ』ブロックが三角形の『ブロックス・トライゴン』
立体になった(作者は別)『ブロックス3D』があります。
一応2〜4人用となってますが、3人だと一人が圧倒的に不利になりますし、
2人だと2人専用の『デュオ』持ってればそれしとけってなるので、実質4人専用ゲームです。


私は『ころクラ』4巻のカフェミープルのイベントで初めてプレイしたのですが、
プレイする事自体は簡単なので初心者でも誘えますし、
やってるうちに「なるほどこういう事か」と分かってくる、それなりに奥深さもある良いゲームです。
梅田のキディランドで売ってたりと、かなり手に入りやすい部類じゃないでしょうか。


放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年7月号 p115 中道裕大

このゲーム、他人の侵入を阻止できたエリアがあっても、自分のピースは半分程度しか置けません。
自分のピース同士は辺で接することは出来ませんからね。
もちろん許容するかどうかは時と場合によりけりですが、
2人で邪魔し合うと他の二人が漁夫の利を得る場合が多いように思います。
私はこのゲーム10回近くやってますけど、一度も全部置いた事ないですね...w


それはともかく、「お互いを許し合うことで、どちらも幸せになれる」というテーマも素晴らしいんですが、
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年7月号 p116 中道裕大

その後の店長もまた素晴らしい。ガチでやり合えば理解できる。
構造的に言えばキャラの再描写という事になるんでしょうが、
店長のセリフを見て、私は『カタン』回を想起しました。
放課後さいころ倶楽部』 2巻 p106 中道裕大

実際店長はジョージとゲームでガチにやり合ったから分かり合えた訳で。
こういう演出ってのは、漫画に奥行きを与えてくれるのではないでしょうか。



◎ VANILLA FICTON
特攻は男のロマン
指輪を継承することで、ってのはなるほどなぁと。


× ガンプラ戦記 ジャブローズスカイ
やー、酷いw
褒められる点は何だろうと結構考えたんですが、絵は割とスッキリしてるくらいで...
読みやすくはありますけど、絵の見栄えはしないですしねぇ。
原作も作画も問題山積。楽しめそうな所と言えば、
これだけ酷い漫画がゲッサンでどれだけマシになっていくか、くらいじゃないですかねw


原作は主人公がコスプレ型と着せ替え型の折衷なのはいいんですが、
共通するのがきっちりしてる所くらいしかないので、お金持ってない原作者が、
例えお金持ったとしてもガンプラが一番なんだーと酸っぱい葡萄的な遠吠えをしてるようにしか思えません。
俺設定のストーリーも、何の取っ掛かりも無いので微妙な妄想にしか思えません。
例えば、公式はこれこれこういう設定があるけど、ここの部分が空白なので、
そこをどう埋めていくかとかあれば、まだ1st世代なら取っ掛かりがあるのですけども。


原作以上に酷いのが作画。基本キャラ棒立ち、MSも棒立ちってのがまず酷い。
独りで黙々と作業してるという意味では『吾部屋』と同じですが、
あちらは仕草や表情に相当気を配ってるのに対し、
ガンプラ戦記 ジャブローズスカイ』 ゲッサン2015年7月号 p182 原作:ゆきもり 作画:ロドリゲス井之介

こちらはほぼ同じ姿勢でヤスリ入れてるだけ。しかもマスクで顔の表情まで消すという。
マスクする事自体は実際そうするんでしょうし、選択肢としてアリナシかと言われるとアリですが、
だったらマスクした状態でどうやって表情を出せるか?という所を追求しないと。


その上、作業の説明もほぼ文章だけで終わらせてしまっている。
個人的には、読者にガンプラの楽しみをどう伝えるか?という熱意が全く感じられません。
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年7月号 p104 中道裕大

今回の『ころクラ』と比べてみれば、その差は歴然。
文章をどうやって絵で表現するか?という事だけ考えればいい作画担当者が、
この辺を疎かにするのは正直どうかと思います。
これがまだ新人作家なら理解はするんですが、既に同じタッグで連載一本やった事実が信じられません
以前ゆきもり先生とタッグを組んでたのはソラキスズ先生のようです。


ふだつきのキョーコちゃん

ただ、1話目でも感じた事ですが、どうも32p前後は長いような...
今回くらいの内容だと、もう一つくらい伏線入れても良いような気はします。
意外性も足りない気がしますしねぇ。
少しキャラ増やせば、それも解消されるのでしょうか。
3人のやりとりだけでは間が持たないという風にも取れますし。
16p×2話構成にする手もあるでしょうけど、16pはminiの方で連載してますから、
こちらは32pに慣れる方向で努力すべきでしょう。
ゲッサン201310

2話目の記事でこう書いたことがありました。
これは私の想像ですが、今回の話は担当の高長さんから
「札(リボン)を洗う回にしよう」というオーダーがあって、
それだと36p持たなかったので2本立てにした、という感じなんでしょう。
で、16pなら2人の遣り取りに絞っても間が持つのでそのようにした、と。
32pで慣れる方向で努力すべきと書きましたが、これはあくまで努力目標で、
16p×2の構成をやってはいけないとは書いてませんし、選択肢の一つとしてはアリだと思います。
多くても1巻に1回くらいで抑えて欲しいですけども。
ただまー、やはり山本先生は16pが一番しっくり来るなぁと改めて思ったのは事実で。
ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年7月号 p218 山本崇一朗

この表情はいいですねぇ。

今でもかなりいい感じなのですが、例えば内心怒りながら笑顔を取り繕ってるとか、
2つの感情を入れた表情なんかを描写できればもっと良くなると思います。
湯神くんには友達がいない

以前『湯神』1巻の批評でこう書きましたが、
こういう怒りながら照れてる表情のように、2つの感情を入れた表情って
『キョーコ』では一回くらい(4巻p64)しか無いんですよね。
表情はあくまで選択肢なので毎回こうは行かないでしょうが、
喜怒哀楽だけではない、より幅広い選択肢ってのは必要だと思います。


○ 錦田警部はどろぼうがお好き
猫がそんなに描き慣れてないためか、そこそこ可愛い感じではありますが、
読者に先を期待させて、その通りになる面白さはちゃんと出せてたんじゃないでしょうか。
最後に警部が変装するのも読める人間には期待通りに、
読めない人間は意外性として機能する感じになってますし。
一発ギャグで頑張ろうとしてた頃よりは大分面白いです。


アオイホノオ
アオイホノオゲッサン2015年7月号 p282 島本和彦

本人目の前にして言うならもっと言い方あるんじゃないかと思わなくもないですが、
セクハラ・パワハラ当たり前な当時としてはこの程度のことは全然問題無かったんでしょうなぁ。
あと、この頃から女の子が可愛いかどうかを重視してたというのは個人的に貴重な情報。


アイドルマスター ミリオンライブ
番外編という事で、なるべくキャラを出そう回。
なのでまーオチも何も無いのは致し方なし。というか必要なしw
俺の推しキャラ出てないとお嘆きのPのための番外編ですし。


◎ ひとりぼっちの地球侵略
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年7月号 p307-308 小川麻衣子


こういう、本当にどうでもいいシーンに1ページ費やす勇気。
俺もバネで遊んでたなぁ。小学生ではなく中学生でですが。


実際には無駄なシーンという訳ではなくて、
例えばキャラが憂鬱な時に「憂鬱だなぁ」と呟かせたりモノローグで書けば、
読者へと確実に伝わるのは確かですが、そこには漫画としての面白味は何もありません。
それを間接的に、仕草を絡めて表現する。
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年7月号 p310 小川麻衣子

で、ストレスが溜まっていることをこういう風にコメディを絡めて表現する訳ですよ。
タスクが要求される(一話完結、毎回バトルを入れる等)漫画では中々やれる余裕は無いでしょうけど、
常にこういう表現を差し込めないかと意識する必要はあると思うんですよね。
こういう表現はどうしても読者の読解力に委ねることになってしまうんですが、
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年7月号 p327 小川麻衣子

その辺りは後できっちりフォロー。前に何度か書きましたが、
こういう構造があると読み直した時に新たな発見がある漫画になるんですよね。


◎ だって小山くんが艶い。
今回はリズムもネタも良かったです。今まででは一番じゃないでしょうか。
デビューして間もない作家さんがこのクオリティで描けるもんなんですね...


◎ LES MISERABLES


○ 忍者シノブさんの純情
印こそ変わらずですが、内容的には今までで一番マシ。
元々『ももくり会長副会長』で対比を上手く漫画の面白さに絡めてましたが、今回は割とその路線。
先月の『キョーコ』は「同じことをしても人によって受け取り方が変わる」でしたが、
これは「同じことをしてもやる人が違うと受け取り方が変わる」パターンでした。


◎ 四弦のエレジー
今回は起承転結の結だったので、それほどストーリーが盛り上がるという訳ではありませんでした。
というか、ブーレーズ兄弟が仲間になる展開全く読めてなかったよ...


若干不満なのが、エンリコが
「あの地は私から息子達までも奪おうとするのか。」ってセリフ。
密かにエンリコもアリョーシャの才能にも気づいてる、もしくは愛してると後で分かるのならいいんですが、
現状だと「息子達」ではなく「息子」の方がアリョーシャを見捨てた感が出ると思います。
『四弦のエレジーゲッサン2015年7月号 p446 梅内創太

かつては一番のネックだった絵の見栄えも、今では売りと言えるレベルに。
キャラが記号化されている訳でも無いので、キャラにすぐ飛びつく人はあまりいないでしょうが、
何らかの形で人気に火が付くポテンシャルはあると思います。


◎ 味噌汁にカンパイ!

さらに7月号からは密かに推してる笹乃さい先生の短期連載。
味噌汁グルメ漫画というテーマはニッチで興味深いのですが、
最近のサンデーだと『おいしい神しゃま』という正直微妙な作品があるので、
あの二の舞いにはなって欲しくないなとw
『カプセル・ツアー』の時のようなワクワク感が出せればワンチャンあるのでは。
ゲッサン201504

短期連載が発表された4月号でこう書きましたが、いやはや期待以上の作品が出てきました。
まぁワクワク感とはちょっと違いますけど。


味噌汁という題材はニッチではありますが、
日本人で飲んだ事が無い人はほぼいないので共感・理解は得られやすいですし、
景気が良くなる時には自国/自国文化アゲな流行りが出てくるので、時流にも合ってます。
そこまで拡散する事は無いでしょうが、日本文化に興味がある外国人にもウケる素地はあります。
そして、味噌汁には具材がそれこそ星の数ほどある訳で。
これが朝ごはんだと若干テーマがぼやけますし。
正直、短期連載で終わらせるには勿体無い設定だとは思います。
『味噌汁にカンパイ!』 ゲッサン2015年7月号 p491 笹乃さい

さらには「今更聞けない」ような内容を丁寧に説明していて、初心者にも親切。
どっかのガンプラ漫画の作者に爪の垢を味噌汁のダシにして飲ませたいくらいです。


内容的にはかなりベタですが、伏線というか前振りを丁寧にしてるので、
読んでてとても気持ちがいいですし、
『味噌汁にカンパイ!』 ゲッサン2015年7月号 p497 笹乃さい

このテーマも素晴らしいです。それに加えての
『味噌汁にカンパイ!』 ゲッサン2015年7月号 p501 笹乃さい

このシーン。
記号だけで書くと幼馴染のJKが朝ご飯作ってるという萌えシチュですが、
テーマがあることによって、この漫画の世界観みたいなものが出てきてると思うんですよね。


気になったシーンの画像引用するとページの半分くらいやりかねないのでこのくらいで止めますが、
実に丁寧な漫画になっていると思います。
初回のインパクトこそ『ちろり』には劣りますが、こちらはラブコメに寄せていますし、
少なくとも『ちろり』よりは人気出るんじゃないかなぁ。


ハレルヤオーバードライブ
メタ的にやるのがこの漫画の強み。
ハレルヤオーバードライブ!』 ゲッサン2015年7月号 p548 高田康太郎

キャラ間の別れが、読者とこの漫画との別れとシンクロして、
この漫画のファンとしては寂しさ抜きで読まずにはいられません。


○ ぼくらのカプトン
3本ともまーまー。個人的には内輪ネタが一番笑いましたが。


○ 嘘つきは殿様のはじまり
ラストのシーンへと持っていく為の展開がちょっと強引な気はしますけど、
やはり熱血やるとそこそこ面白くはなりますねぇ。


◎ 吾輩の部屋である。
2本目は若干落ちますけど、やはりいい味出してます。
そして人気でそうな気配はさっぱりないw


月曜は2限から。
今回2本ともオチは良かったんですが、その為にそれまでの4コマが犠牲になった感。


第13保健室
まぁ求められるタスクはちゃんとこなしてるんじゃないでしょうか。


○ ちろり
『ちろり』 ゲッサン2015年7月号 p736 小山愛子

セリフがほぼここから始まる構成もいいですし、
時計の針と心の焦りをシンクロさせてるのもいいです。
その後の「池田君、縮んだ?」「お前がでかくなったんだろーが。」のやりとりも
主観的なことを示唆してて良い演出なのですが...


関君からみて池田君が相対的に小さく見えたように、
焦っていると時計の針も相対的に遅く感じる筈なんですよね。
そこに気付かなかった人ならいい話だと素直に受け止められるのでしょうけど。
「勝手にどんどん進まれると納得いかない」と繋げたかったのは分かるんですが、
足を引っ張られる方向なら何とか繋がったんじゃないでしょうか。


◎ アサギロ
前からそうですが、厄介な人間描かせたらホント面白いですわ。


聖船のラー
今回はクスリとも来ず。まぁ考えて意外性出してはいるんでしょうけど...


終末風紀委員会
ここに来て顔が逆三角形に。
『終末風紀委員会』 ゲッサン2015年7月号 p818 熊谷祐樹

相変わらず見栄えはするのですが、首が長くなったり顔が細くなったりと、
どーも安定しませんなぁ。
内容的には設定の処理に汲々としてる感じですけど、まぁ仕方ないんでしょうねぇ。
最後はその設定で意外性を出せたので、何とかなった感じはします。


信長協奏曲
序盤の会議は正直要るのかなぁと思うのですが、
後半の入れ替わりは何かが起きそうな予感を抱かせていいですね。


◎ ツール・ド・本屋さん
深川らしさはちゃんと出てましたし(行った事ないけど)
知恵の輪と謎を絡めるなんて、柄でもないことですがきっちりハマってたと思います。
...で、結局新井先生のサイン会とかマチ★アソビとかはやらんのですなw
以前一応やるつもりだとは言ってたんですが。