ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録)

ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p1

田岡りき先生の表紙でした。
個人的にはコントローラーの持ち方とコードがピンと張ってる所に違和感を覚えますが、
絵に課題があった作家さんだとは思えない程度には見栄えも改善されたのではないでしょうか。
どのくらい課題があったかは、掲載されてる作品読めば分かるという親切設計(?)


からかい上手の高木さん
相変わらず他愛のない話。
ベタネタの魅力はベタネタ好きな人を惹きつけられることと、共感し易いことですが、
反面意外性に欠けるという短所が。
からかい上手の高木さんゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p16 山本崇一朗

その意外性を、からかうこと... 西片くんを通じ読者と駆け引きをすることで補強できる。
ショッキングな出来事で意外性を出す訳でもないので、安心して読める。
からかう事自体が萌えシチュエーションにもなっている。


この構造がある限り、この漫画は盤石でしょうなぁ。


学校に怪談を 田岡りき
★★★☆☆

かなり寡作な作家さんですが、せめて次は32pで読んでみたいですね。
できれば主人公視点だけではない作品を。
ゲッサンmini 9 (ゲッサン201409別冊付録)

前作『確かめにいこう』が掲載された時にこう書きました。
ゲッサンラジオ第1回で田岡先生の連載が決まったという話があったので、
その前にストック放出しておこうという事なんでしょう。


絵柄からして、『確かめにいこう』より前に描かれた作品なのは確実でしょう。
そして、この作品『確かめにいこう』より前に掲載されていれば
「まずは主人公視点だけの作品を」と批判したんじゃないかなぁw


個人的には、ストーリーの骨子だけみると★4くらいのデキはあると考えます。
ただ、演出が微妙過ぎて...


この話、割と似た構造なのが『神のみぞ知るセカイちひろ編ではないでしょうか。
ちひろ編に関しては以前 FLAG.162などで書いたので詳しくは省略しますが、

神のみぞ知るセカイ 4 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 4 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ』 4巻 p84 若木民喜

単純に言うと初めは別の目的で会っていたのが、会うこと自体が目的になる。
この変化が展開をドラマチックにしていました。


『学校に怪談を』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p37 田岡りき

ところがこの作品だと、せっかく序破急の急に使える変化を
直接的に、かつ読者に対して意外性を出せるような演出にはなっていない。
岡本さんを好きだというのは隠せてますけども。


そしてもう一つ問題点が。
『学校に怪談を』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p28 田岡りき

町田くんが説明できないような事を岡本さん独りで出来るなら、手伝う意味無くね?と。
『学校に怪談を』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p49 田岡りき

もちろん、岡本さんの町田くんの興味を引きたいという目的には適っていますけども。


ではどうするのか。
例えば、町田くんに性格を一つ加えます。「人が悲しむようなことをしたくない(見たくない)」
そして、岡本さんが協力してと提案するのではなく、
「キミにも説明できないような不思議な事が起こるかもよ?」という形に留めておく。
町田くんが岡本さんともっと喋りたかった、気になるという話は最後の会話まで取っておく。
岡本さんが町田くんの関心を引こうといたずらをエスカレートしていき、
ついには「人が悲しむようなこと」をしてしまい、町田くんの逆鱗に触れてしまう。


岡本さんと会わなくなって、町田くんはもっと喋りたいと気づいた事を匂わせつつ、
岡本さんは町田くんを怒らせ・悲しませたことを反省し、町田くんの意見に賛同する。
岡田さんは町田くんを屋上へ呼び出し、
過激に走ったのは「町田くんの気を引きたかったから」と告げて謝る。
『学校に怪談を』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p49 田岡りき

そこで町田くんは岡本さんを許し、
「俺は人が悲しむような事はしたくないんだよ」
「ボクが手伝わないとキミが悲しむなら、キミのことを手伝うよ」
「大体、独りで不思議な事が出来るのなら、俺が手伝う必要が無いだろ?」
「あと、キミと会うきっかけが出来るし……」
てなことを、最後の言葉を照れながら話していれば、
ドラマチックにもなりますし、萌えにも繋がりますし、おまけに喜怒哀楽も出せたんじゃないでしょうか?
このくらいのストーリー展開なら、絵の見栄えを差し引いても★5以上付けたと思います。
(まぁ個人的な趣味丸出しなので当然ですがw)


何にせよ、この段階だと連載には程遠いよなーという事が分かったので、
そういう意味では個人的に参考になった蔵出し読切でした。


青春Re:verse 笹乃さい
★★★★☆
かなり厳しめ。テンポ重視で16pに収めたのかもしれませんが、
『青春Re:verse』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p52 笹乃さい

こういうSF(すこしふしぎ)設定なら32pで読んでみたかったです。
『青春Re:verse』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p55 笹乃さい

重箱の隅になりますが、主人公の宙が1Gの力で空へ落ちてるとするなら、
その宙を背負っても空へと落ちずに済んでる由宇は宙より体重があるってことに...
ま、まぁ1G以下の力で空へと落ちてるって事なんでしょうw


それはともかく、折角Reverseな視点を出せる漫画なのにも関わらず、
そういう描写はココとp59の手すり持って脚をバタつかせているシーンのみ。
漫画家さんは原稿を回して描くでしょうから、逆さの背景は見慣れているのかもしれませんが、
読者で漫画を逆さまにして読む人はほぼ皆無だと思うので、
もう少し宙視点があれば、絵的に新鮮味を出せたのにと思うとかなり勿体無い気はします。
言い方を変えれば、もうちょっと上下逆さまの世界観を楽しみたかったと。
例えば、
ふだつきのキョーコちゃん』 1巻 p44 山本崇一朗

『キョーコ』でこういうシーンがありました。この下駄箱を宙視点で描くと
ふだつきのキョーコちゃん』 1巻 p44 山本崇一朗

こうなります。コレだけでも「すこしふしぎ」な感じがしませんか?
さらに、普通なら上靴を取り出して下に落とせばすぐ履けますが、
宙視点だと落とせば上履きは手の届かない地面へと落ちてしまいます。
「天井を土足で歩くな!」ってな風に先生から叱られたりしたら面白いんじゃないかなぁ。


教室の高さは概ね2.7〜3.0メートルですから、
ほんのすこし見上げればそこに顔があるというシチュエーションも作れますし。
...実際描いてみたらちょっと怖かったので避けたのかもしれませんけどねw
試験を受けるシーンでも、鉛筆や消しゴムを落としたら...


あと、折角天井を歩けるんですから、そのメリットも表現して欲しかったかも。
天井や窓の上の方を磨くのに苦労がほとんど無いですし、
(モップのブラシが垂れ下がったりするでしょうけど)
「折角だから蛍光灯替えといて」と便利使いされるシーンがあっても良かったのでは。


と、ついついSFな部分に反応してしまいましたが、
視点一つ変わるだけでこれだけ妄想できるポテンシャルが、
この単純な設定にもあったと考えます。だから勿体無いなと。


ブコメ部分はベタですが悪くはなかったと思います。
『青春Re:verse』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p65 笹乃さい

今回ボーイッシュな先輩が出てきましたが、ヒロインキャラは割と今まで出てきたパターンでした。
キャラが可愛いのは笹乃先生の魅力の一つですから、
もう少しバラエティを増やして、たくさんキャラを出せるようにしない手は無いでしょう。
(単純に一番好みのキャラを出してるだけかも知れませんけど)
何にせよ、ゲッサン初お目見えの『カプセル・ツアー』では絶賛しましたが、
その後の2作品がもひとつだっただけに、復活の兆しが見えたのではないでしょうか。
実は単純に現状はラブコメが合ってるって事だったりするのかなぁ...


蛇足ですが、グルグルの「グル」は
丁合ミス (紙を束ねて本にする時に起こるミス) の一つ、
上下逆さまにページを綴じてしまうミスから取っています。
もう一つの「グル」はサンスクリット語で「尊師」の意味で、「グルグル」は
尊師とは対極にいる最底辺の人間が偉そうな事を言っている、というニュアンスで付けました。
魔法陣的なもとのは一切関係ありません。たぶん。きっと。恐らく。


満天夜走 瀬戸ミクモ
★★★☆☆
内容的には厳しめで★2にしたいくらいですけど、相変わらず見栄えは良いからなぁ...


このブログで書いた内容とほぼ同じ事を某スレで見かけたりしてたんですが、
更新頻度が遅れがちになると、逆にこのブログで書きたい事を某スレで先に見かけるという。
そんな、誰しもそう思うよねーという感想がこの漫画にもありました。
「ヤマなし、オチなし、意味なし」
『満天夜走』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p74 瀬戸ミクモ

特に女性の対応はともかく、反応がほぼ一緒というの辺りがねぇ...
女流作家さんがこの手の作品を出しがちなのは、逆に言えばそれだけ需要があるって事でしょう。
最近は「ストーリー軽視、シチュエーション・キャラの羅列」の風潮があるので、
思い切って「やおい道」を突き進むのも一つの選択肢ではあるとは考えます。
...個人的には賛成しかねますがw
ただまー突き進むなら何か一工夫欲しいんですよね。
結局のところ、シチュエーションとキャラの引き出しをもの凄く増やすって事になりそうではあります。
長距離トラックの日常を扱うと、どうしてもシチュエーションのバラエティに難がありますけど、
そこが何とかなれば、ストーリーらしきものが出てきたと曲解されるかもしれません。


あと、コレは誰も気づかないだろうから修正の必要無いと言い切れるくらい
重箱の隅のまた隅なのですが、気づいちゃったので記事の最後に一応書いておきます。


ほんとのきもち 小山愛子
★★★★☆

ブログでさんざん好き勝手に書いてる人間が言うのも何ですが、
リアルでは中々こうは言えませんなぁ。
だからこそブログで好き勝手に書いてて、のびのび書けるようにアクセス数を増やしたくないんですが。


姉上様の言うとおり 藤井ゆづる
★★★☆☆

あまり残念な感じが伝わらないのは画力の問題なのか漫画ならアリな感じに留まっているからなのか。
とは言えキャラの見栄えは若干上がっているような気もしますし、
オチも悪くはなかったかなと。


バロメーター 泉尾アキ
★★★★★
ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p163

第68回新人コミック大賞 『えんむす部』 佳作 (陵名紅名義)
第49回 GET THE SUN新人賞 『北風小僧の寒太郎』 選外佳作
現・新井隆広アシスタント

『えんむす部』の絵柄が今とは全然違っているので、ひょっとしたら第68回ってのは間違いで、
第70回の受賞者じゃないのか? とか3時間くらいあれこれ検索してたんですが、
色々あってほぼ『えんむす部』だと確信できました。
新コミ受賞作はリンク先から今でも読めるので、その変わりようは是非一度見てください。
新コミ時点での出身地が京都府となっているところから想像できる人もいるかも知れませんが、
京都精華大学出身者のようです。ゲッサンに何人いるんよw


間違いといえば、以前ゲッサン201406 #1の記事で、
思いっきり泉尾アキ先生をoutリストに入れてましたが、

画像を再確認したら右上部分、田岡りき先生の左にいるじゃないの...
ということで訂正しました。すいません。


アンケートは『青春Re:verse』に入れちゃいましたが、
バロメーター』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p141 泉尾アキ

キャラ同士が共感できる描写を出すことで面白さを出しつつ、微妙な違いを主人公の枷にしたり、
バロメーター』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p145 泉尾アキ

こういう空気感を醸し出せたり。
殴った後のセリフも決まってますし、正直構成は批判するような箇所が見当たりません。
絵の見栄えはキャラに関して若干落ちますが、絵自体は違和感ある描写はナシ。
もう一本くらい読切描いたら、その出来次第では短期連載を目指しても良さそうです。
キャラの魅力を記号に頼れるようなタイプでは無さそうなので、
その辺りどういう作戦を練られるかが鍵になるのではと考えます。


ゆるいのといっしょ 村松まつり
★★★☆☆
ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p164

第47回 GET THE SUN 新人賞 『タピオカ!!』 佳作

受賞歴が書かれてないのは謎ですが、一応あります。
村松先生に罪は無いのかもしれませんが、またこのパターンかよと毒づきたくなりますw
『ゆるいのといっしょ』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p167 村松まつり

なので、作者のそのままが出ているのかなぁと心配になります。


似たようなパターンなので、批評する側も同じパターンになってしまいます。
『ゆるいのといっしょ』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p167 村松まつり

萌えと萎えの境界線ではありませんが、可愛いとキモいの境界線。
ゲッサン mini 9 の『山岳村おこし白書』もそうでした。
ぬいぐるみ部分はそこそこ可愛いとは言え、
単に首から下が裸なだけでキモさが全然伝わってこない辺り、切ないです。
後半のいい話も取ってつけた感ありますし。
個人的にはこの作品はノーカウント。次の作品でどう出てくるかだと思っています。



で、『満天夜走』の重箱の隅の隅。
『満天夜走』 ゲッサンmini プラス3 (ゲッサン201503別冊付録) p95 瀬戸ミクモ

箱について。


基本的にトラックへ荷物を積み込むときには、
左上のコマのように荷物をパレットに載せ、それをフォークリフトでトラックへ積み込みます。
そして、このブログで何度か書いていますが「モノには寸法がある
例外はありますが、パレットの寸法は縦横共に1,100ミリメートルが標準サイズです。
どちらが先に決まったかは分かりませんが、トラックはパレットを2枚積める横幅になっています。


問題は箱です。実はダンボールの箱は中に何を入れるかによって寸法が違っています。
例外はあるかもしれませんが、キャベツ用の箱は寸法が縦600、横350〜400、高さ190ミリメートルです。
これを井型の8本バイ (左上コマのように、片方を縦、もう片方を横にして1段に8個積む) にすると、
最小でも(600+350+350-1100)/2=150, 計算上パレットから150ミリづつはみ出ることになります。
これを横に2枚置くと、150*4=600ミリメートル。
パレットの大きさより60センチもはみ出ています。
実際試した訳ではありませんが、これだけはみ出ているとまずトラックへ積めないでしょう。

なので、キャベツの場合にはこの図の左のように5本バイで積みます。
これだと片方は600+600=1,200ミリメートルで少しはみ出ますが、
もう片方は最小で950ミリメートル、最大でも1,000ミリメートルなのではみ出ません。
このはみ出ていない方を横にして並べれば、問題なくトラックに2枚横へ積むことができます。
もう片方はトラックの縦の部分になりますが、そちらは多少はみ出ても余裕がある設計になっています。
...うん、本当にどうでもいいなw