ゲッサンmini 4 (ゲッサン201311別冊付録)

ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p1

今回は門司雪先生の表紙。結構イケてます。


からかい上手の高木さん
twitter山本崇一朗

構造はかっちり決まってるので、ネタさえ続けばいくらでも続けられるようになってると思います。
それが故に、この構造の中でどう変化をつけるのか、塩梅が逆に難しそう。
あまりにも変化が無いとワンパターンに陥りますし、
変化し過ぎると「いつもの」を期待してる人から不満が出そうで。

前回の記事でこう書きました。
からかい上手の高木さんゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p4 山本崇一朗

そして今回は導入で変化球。しかも何回見ても笑えるタイプのネタで来ました。
この前にあるであろう会話をあえてカットする事で面白味を出せていると思います。
常に意外性を出していくと作者的にもしんどくなりそうですが、
たまにやると効果的ですなぁ。




山本崇一朗 @dyna_red ありがとうございます!!仕草や表情は気を使って描いているとこなのでそう言ってもらえて嬉しいです!! link
『キョーコ』にも言えることですけど、 『高木さん』でも一番重要なのは、読者がヒロインに萌えられるかって所です。 からかい上手の高木さんゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p17 山本崇一朗 萌えで大切なのはキャラと仕草とシチュエーションだと常々書いてますが、 (表情は仕草のうちに入れてるつもりです) 作者が意識してるだけあって、あまり萌えに興味がない私でさえも萌えさせる描写です。 からかい上手の高木さんゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p17 山本崇一朗 で、最後のオチ。

考えてみれば、『オニデレ』はサヤがラブコメ担当変顔控えめ、ミヅチが変顔ギャグ担当と
うまく役割が与えられていたのが功を奏していたのかもしれません。

The Structure of "She is the Pop'n Princess" #3の記事でこう書きましたが、
ギャグ漫画家なら高木さんに変顔をさせるんでしょうけど、
それをやっちゃうと、キャラ萌えから遠ざけてしまうんですよね。
なので、高木さんの変顔をカットするのは正解なのですが、
冒頭がカットされているシーンから入ってるので、より効果的になってる気がしなくも...?
まぁこの辺りは共感して貰える自信はありませんが。


正直、『ふだつきのキョーコちゃん』より面白いのですが、これ、単行本になるんですかね?
一応連載作品ですし、そろそろタイトルロゴくらい作ってもバチが当たらないような。
どうせ単行本になるなら、いずれ作る必要はありますし。
ぜひとも『ふだつきのキョーコちゃん』と並べる事を前提にしたデザインにして欲しいです。


日陰のオレンジ 門司雪
★★★★★
twitterチャりん/門司雪
一見地味ですが、実によく出来てると思います。
『日陰のオレンジ』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p34 門司雪

まずはキャラ。主人公とヒロインの対比は基本に忠実。
主人公は喋りが苦手、仲間を必要としている体育系のキャラで、
ヒロインはよく喋り、仲間は必要ないと言い張る文化系のキャラ。
そして構成。ちょっとしたシーンもほとんどが伏線になってます。
例えば上のシーンだと、
『日陰のオレンジ』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p54 門司雪

このシーンの伏線に。パスを通じてコミュニケーションが出来る描写になってます。
裸のシーンは天丼ですし (まぁコメディとして面白かったかどうかは別として)
歌いながら絵を描いてるシーンは主人公の決意に、ヒロインの回想シーンは最後のオチに、
絵を取るシーンはダンクのシーンへと関連付けられてたりしています。 (他にもまだあります)


ストーリー自体はベタで、意外性もほとんどないのが地味な原因でしょうけど、
読み返してみると無駄なコマのない、緻密に練り上げられた作品だなと感心しました。
元々絵の見栄えもしますし、発表されてる3作品ともにレベルが高いので、
そろそろ短期連載で読みたいですね。イキナリ連載となると少し怖いですが。


妹観察日記 ゆずチリ
★★★★★
twitterゆずチリ
ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p62

第72回新人コミック大賞入選作『雨男晴れ女』はクラサンで読めます。
普通、新コミ入選となると絵のレベルが高いか、荒削りだけど味があるのどちらかですが、
この作品は正直佳作でも怪しいレベル。
それでも入選を勝ち取ったのは、ストーリーが素晴らしいからこそなんでしょう。


『妹観察日記』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p73 ゆずチリ

絵の見栄えはまだまだまだまだですが、見栄えの無さの割には可愛らしく描けてると思います。
この手のタイプは、経験さえ積めば見栄えも良くなっていくはずです。
ダイチは『神のみ』の桂馬で、趣味がゲームから妹観察へ、
ノートを取る辺りは『ベイビーステップ』のエーチャンかなぁ。でもちょっと『湯神』っぽくもあるか。
んで妹は『よつばと!』のよつばっぽいなーと、売れてる作品のキャラが思い当たるくらい
キャラの個性はしっかりしてるんじゃないかと。
私の狭い漫画の知識で当てはめるのもアレですけども。


コメディ部分は割とベタなのですが、それが故にちょくちょく出てくる意外性が効果的です。
構成が素晴らしくて、ダイチが妹しか関心が向かないことを枷に使ってますが、
妹が友達と付き合う事で枷を外すだけならまだしも
『妹観察日記』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p92 ゆずチリ

観察日記をダイチと主人公のアイカとの絆へと発展させてます。
「アイカちゃんは顔が赤くなると攻撃する習性」も、このシーンの前後で対応が違うことによって
ダイチの「オンナゴコロ」が分かってない様を面白く描写できてると思います。
それがちゃんと読者に伝わるのは、主人公のモノローグが丁寧に描写されているから。


絵の見栄えからして連載取るレベルになるは最低2年以上は掛かりそうですが、
まだ学生ですし、某エリートな大学に通ってるっぽいので、この作家さんも期待が持てるんじゃないかと。


前髪 小山愛子
★★★★☆
ゲッサンmini2号に掲載された『ブレザーと眼鏡』の後の話でしょうか。
こちらは仕草や心遣いといった辺りが『ちろり』に通じるものがあるように思えます。
こうやって4p漫画を量産することで、自分が一番やりたい事を探ってたのでしょうか?
『前髪』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p97 小山愛子

まぁ個人的にはそんな事より可愛い系ではなく綺麗系のメガネ女子がとても綺麗ってだけでメシウマ。


カフェ 小山愛子
★★★☆☆
『カフェ』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p97 小山愛子

こちらはあるあるネタ...なんですかね?
見事に「やおい」ですなぁ。個人的には小山先生の4p漫画で一番微妙。


タロウとオフィーリア きゅっきゅぽん
★★★☆☆
twitterぽんきゅ (非公開)
『タロウとオフィーリア』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p134 きゅっきゅぽん

相変わらずよく分からないきゅっきゅぽん先生の作品。
他の作品は謎の面白さがあるんですが、これはさすがに微妙かなぁ...
面白い作品のどこが良かったが謎なので、なぜ微妙だったのかも謎です。


闘え! ギリギリ甲子園 かんばまゆこ
★★☆☆☆
1月号に掲載された『びっくり!ビリビリ先生』の焼き直し。
ギャグ漫画なので、投打のフォームが滅茶苦茶なのはまぁ目を瞑るとして。
『闘え! ギリギリ甲子園』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p150 かんばまゆこ

『びっくり!ビリビリ先生』同様、服が脱げることと仕草で色気が出てるのはいいです。
その上ギャグにも繋がってますし。
ただまー天丼はやって3回が限界だと思ってます。オチもイマイチでしたしね...
これだけ同じこと続けていれば、読者も「またか」と思うので、
それを逆手に取って意外性を出すことを心掛ければ、少しはマシになるのでは。


Hello, Little Girl マツセダイチ
★★★★☆
twitterマツセダイチ
期待を込めて厳し目で。
まぁ基本的にマツセ先生に対しては「はよ連載用のネーム描け」しか言う事無いんですけども。
オムニバス形式の連載やった事が仇になったのかなぁ?
『Hello, Little Girl』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p163 マツセダイチ

まぁ個人的にはそんな事より可愛い系ではなく綺麗系のメガネ女子がとても綺麗ってだけでメシウマ。


マツセ先生の特長である爽やかさ、読後感は相変わらずです。
構造的には主人公の 金子→白石 金子⇔妹 のベクトルで
「素直に打ち明けられない」枷が掛かっていて、
『Hello, Little Girl』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p163 マツセダイチ

それを妹が先に枷を外したことで、主人公が感化されていく...
言わば相似形を使ったシナリオになってます。
今月のゲッサン本誌『鉄楽レトラ』も同じ構造ですね。


意外性が無いのが個人的には物足りないです。
『鉄楽レトラ』 ゲッサン2013年11月号 p342 佐原ミズ

ストーリーで意外性を出せないのなら、セリフで何とか出来るはずです。
意外性のあるセリフ、気の利いたセリフ、比喩等。
言ってる内容は普通でも、印象に残るようなセリフさえ考えられれば、
意外性に似た効果は出ると思います。
ただ、

もちろん意外性のない黄金パターンというのも面白さのひとつではあるのですが、
それには達成感が必要だと思うんですよね。

『六角少女関係』でこう書きましたが、今回達成感はちゃんとあるので、
それほど問題は無いかと。好みの範疇だと考えています。


あと、これは重箱の隅ですが、折角心の距離を題材にした漫画なんですから、
『Hello, Little Girl』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p167 マツセダイチ

それをセリフだけではなく、間接的にも表現して欲しかったです。
具体的に言うと、パーソナルスペースが縮まった事で兄妹の距離が縮まった事を表現する。
電車で少し離れて座ってる辺りで、そういう描写が後で出てくるのかなと期待したんですが、
『Hello, Little Girl』 ゲッサンmini 4 (ゲッサン2013年11月号別冊付録) p194 マツセダイチ

手を繋ぐ前の2pではその距離感は分からず。この辺りはちょっと勿体無いかなと。