マナゴロコ #9-10

1巻発売後にさんざんdisった記事書きましたが(面白くないとは言ってませんけども)
ここ2回のクオリティは素晴らしいです。
前回の記事はこちら その1 その2


最大のネックが絵であることは変わりないのですが、twitterやpixivで積極的にカットをupしてることから分かるように
かなり試行錯誤してるようです。
特に#10は今までより表情に重点を置いてる様も見受けられます。
こういった試みは決して無駄にならないと思うので、この姿勢をぜひ続けて欲しいものです。
まー絵に関してはあまり語れないので...

あくまで個人的な見方ですが、門前書にするなら一話(もしくはシリーズ)につき一つの理論を中心に据える、
といった構成の方が良いと思います。

そもそも、門前書や入門書には「いかに好奇心を刺激するか」が非常に重要となります。
その一つの解が、問いを出すことです。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は内容もさることながら、上手いタイトルが原因でベストセラーになりました。
問いを出し、考える間があるからこそ好奇心が沸き、伏線にもなり、ミステリーにもなるんではないかと。
そして、それが解決した時に達成感も生まれる。

以前こう批判しましたが、その辺りは変わってます。
#9のテーマはこれ。
『マナゴコロ』 月刊コミックフラッパー2011年3月号 p408 藪野続久

「一つの理論で」という訳ではないのでこのブログを参考にしたかどうかは分かりませんが、
少なくとも自分が批判した線で変更されているため、当然ながら自分の好みのストーリー展開になってます。
好みすぎて客観的に見ても面白いかどうかは言いかねますがw


#10のテーマはこれ。
『マナゴコロ』 月刊コミックフラッパー2011年4月号 p442

同じく一貫したテーマでストーリーが進展していきます。
私は逆GHQパターンを提案してみましたが、#2のGHQパターンを踏襲しつつそれを発展という感じでしょうか。
#9,#10共にまず目標を設定し、その達成の為に心理学のロジックを使い、最後に結論が出て達成感も出せる。
(#10は作戦失敗してますけど、それもまた科学にはよくあることなのでさらに評価したいです。)
何にせよストーリーに一本芯が入って構造的に見て中々良くなってます。


とは言え、構造だけ良くなっても肝心の中身が良くなってなければ何にもなりません。
『マナゴコロ』 月刊コミックフラッパー2011年3月号 p418

ふとした動作を見て私のことが好きかもと思ってしまい、いやこれは心理学的に言えば云々...といった感じで

さすがにこの文章を参考にしたとは思いませんが、#9は杏の心の振れが非常にテンポよく描写されていて
かなり面白かったです。
これを持続できるかどうか密かに注目してましたが
『マナゴコロ』 月刊コミックフラッパー2011年4月号 p451

#9ではポジティブとネガティブを交互に混ぜてましたが、#10では前半にポジティブ、後半ネガティブと分けて
最後のヒキへと繋げてます。
目標を設定したことに加えて、このようにストーリー展開を意識しつつ心理学理論の引用をすることによって
以前のような心理学理論をつまみ食いしてる感が全く出なくなりました。


『マナゴコロ』 月刊コミックフラッパー2011年4月号 p466

そしてマナ争奪に三田村参戦ですよ。まぁミスリードの可能性もありますが。
どちらにせよこのブログでさんざん述べてる「ロールプレイ」「カップリング」「ミスリード」の要素
が出てきたのかもしれません。
今回は全面的に褒めましたが、内容的にはまだまだ向上させる余地はいくらでもあるのでいずれその事を書ければ。
ひとまず引き続き絵の向上と、#9-10の好調を持続できるかに注目して読んでみます。