FLAG.119

女神攻略編のイントロという感じの回でした。
まずは、一番凄いと思った点から。というか最近更新頑張ってたのはこれを書くためでした。
神のみぞ知るセカイ週刊少年サンデー2010年48号 p68 若木民喜

これに気付いたbさん(@hentai_b)は本当に凄いなぁと。もちろんこういう演出をする若木先生もですが。
今回から、桂馬がゲームをしてないんですよ。
寝る時以外ほぼゲームしていたあの桂馬がですよ。
ひとの命が掛かってるからそれだけ真剣にやってるという描写なんでしょう。
それを一切説明してない辺りもいいですね。気付いた人に対するご褒美です。


さらに書くなら、普段の桂馬と違うことをさらりと描写するように工夫されてる点も素晴らしいです。
ここがFLAG.118の記事で少し触れた点。

こういうパートナー入れ替えの第一の良さは、同じことをしていても相手の反応が変わるので鮮度があるということがありますが、ハクアだとエルシィよりも知性アップするので、これから先続く、桂馬の膨大な説明を受け止めてくれるという作者的に嬉しい要素があります。エルシィは全部受け入れるので、逆に力点がわからないんですが、ディアナやハクアだと、どこが重要な地点か粒だててくれます。しかも、また説明がゲスいから、説明する時のハクアの反応で二度美味しいという。ハクアさん、これからもがんばってください。
::HoneyDipped:: 11/1:FLAG119「Look Back in Anger」

この文章の「同じことをしていても相手の反応が変わる」という点がミソだと書きました。
逆に言うと、「違うことしていても相手の反応が変わらない」。
LCがパートナーだと桂馬の普段とは違う行動に気付きそうですが、ハクアだとその違いが分かりません
間違いなくそこまで考えて描いてるでしょう。本当によく練られてるシナリオだと思います。


神のみぞ知るセカイ』 p69

そしてこちらは反応が変わる例。LCと違うというよりは、初期のLCと同じ反応というべきでしょうか。
LCはもう「こんなことばっかり言うヤツ」だというのは分かってますから。


理由もいいですね。似たようなことが『HUNTER×HUNTER』でもありました。
漫画の演出上、強い必殺技にはそれなりのリスクが伴わないと強すぎて無双になるので、そのリスクをどうやって作るか?
というので頭を捻る必要があります。例えば
タッコク!!!』 4巻 p118-119 福地翼

タッコク!!!』だと、カコの必殺技「ビッグバンクラッシャー」には
ゆるい返球のみ打てる、打った後しばらく動けなくなる、といったリスクをがあります。
このリスクを納得のいくような形で考える必要があります。
その構造自体を『HUNTER×HUNTER』では必殺技を作る為のルールにしてします。この発想は素晴らしいと思います。


同じように、普通の漫画なら、こういった演出についてどうやって理由を付けるか?と考える必要があります。
その理由を、漫画と同じ構造である「ゲーム(の演出)で前例は沢山ある」と説明。
この漫画でも理由付けは別に考えられてはいるのですが、情報が少ない状況での桂馬の推理として使うにはベストな推理だと思います。
この漫画がメタ構造だからやれる事でもありますね。


神のみぞ知るセカイ』 p70

何のことだかさっぱり分からない伏線。
ストレートに考えるなら置きみやげ=女神レーダー、って事になるんでしょうか。
少し突っ込んで考えるなら、「正統悪魔社」の悪魔が女神レーダーを持ってきてるということは
この付近に女神が潜伏している可能性があったから(複数の可能性が高い)と推測してるのか。
方陣はアポロが出したとディアナが説明してるので、その線ではないでしょうし...


神のみぞ知るセカイ』 p73

このセリフは素晴らしい。前回の記事でも少し触れましたが、
「かのんが衆人環視の中で告白した後に刺されて、それをどう記憶操作に頼らず誤魔化すか」
というのが話題になってました。
刺されたことはLCを影武者に、衆人環視は誤魔化さずに行く。なるほどねー。
桂馬が「自分が他人からどう思われようとも気にしないことにする」性格だからこそやれる展開ではあります。


話を作る立場からいくと逆なんでしょうきっと。
ハクアと組ませるために、かのんが刺される展開にしてLCを影武者にする。
攻略済キャラを嫉妬させて女神がいるかの判別材料にするために、衆人環視で告白する展開にする。
神のみぞ知るセカイ』 8巻 p53

嫉妬させるという手段を取ってるのも素晴らしいですね。
1周目とは違う攻略法になりますし、攻略済キャラをツンモードにすることもできる。
ハーレム展開では嫉妬は重要な感情ですし。(既に天理とハクアが絡む時にはハクアがそうなってます)


しかしこの漫画、伏線がひっそり配置されてるからいくらでも深読みできる余地がありますなぁ。
この六角形も封印に加担した女神と何か関係あるのか?とかさw
暴食がスミレで浮気がちひろ、怠惰がLCで(!)とかいう風に、女神はこの要素のうちの一つは持ってる、とか。
まぁ関係ないでしょうけど。


神のみぞ知るセカイ』 p74

このシーンもいいですな。
下からのアングル、ちひろの表情もさることながら、暗に記憶が戻ってることを示唆してる辺りが素晴らしい。


と言っても、ちひろが嫉妬してるからってだけじゃないですよ。私もbさんに指摘されるまで気付きませんでしたが。
神のみぞ知るセカイ』 4巻 p79

ユータくん攻略と全く同じシチュエーションなんですよね。
ちひろが「私はあのときのことを覚えてるよ」と桂馬に対して暗に言ってるのかどうかまでは分かりませんけれども、
可能性はあると思います。


で、桂馬がかのんに告白されたって辺りが。
神のみぞ知るセカイ』 4巻

「私がやる気になったからって、かのんちゃんにみたいなアイドルになれると思う!?」
というセリフに対して「それはちひろ次第だ」と答え、
その後に「ちひろが望めができるよ」「不安になった時は、いつでもボクが助けてやる!!」と励ましたのに
そのかのんに告白されたって状況は、他の誰が桂馬に告白したよりもちひろにとって辛い状況でしょう。
やっぱりかのんがいいんじゃんかYO!!、と。


神のみぞ知るセカイ』 p78

@hakua_botの中のひとはこのコマが今週のbest of hakuaだと言ってました。
上のHoneyDippedで引用した「ハクアのゲスい説明」のシーンに当たりますね。


神のみぞ知るセカイ』 p81

このコマもいいシーン。
歩美とちひろの態度を探るというのは既にFLAG.107-108を含め結構描写されてますが、
なぜその時には気付かずに今になって気付くのかという説明になってます。
理由が単にこのコマだけで描写されてるのではなく、「攻略モード以外では朴念仁」「嫉妬心で変化が判り易くなってる」
という状況の違いもちゃんとあるのがミソです。


神のみぞ知るセカイ』 p82

今回どんだけ画像貼るんだと自分でも突っ込みたくなりますが、この次で最後。
桂馬視点なので、灯もちゃんと入ってるあたりがいいです。
また、美生が楠が消えてるのもいいですね。
神のみぞ知るセカイ』 10巻 p11-12


美生だと、このシーンを見れば必ずしも美生は候補から外せるとは思えませんが、桂馬はこの表情を見てない訳ですしね。
今回有力候補になった歩美やちひろもちょっと前には候補から外れてる風にミスリードさせてましたので、
上のコマもミスリードじゃないかなーと考えてしまいます。
あと、由梨(二階堂先生)がいいですね。どう考えても桂馬から見えてるw


ああそうそう。FLAG.115-116の記事で「2周目と3周目の境」だと書きましたが、まだ2周目っぽいですな。
記憶のあるなしで判定してますし。