『宇宙の記号』『ナツメノコイ』(後藤隼平読切)

ということで東京に行った目的の一つ、後藤隼平先生の昔の読切をサルベージしよう企画。
他にも畑先生や高田先生、某先生(諸事情により伏せます)の読切もレビューしようと思ってましたが、
これまた諸事情により断念。
何だよ諸事情って、って話ですが、後者の諸事情は単純に持ち合わせがありませんでしたw
一応高田先生の読切は読んできたんですけどね。
てなわけで。


『宇宙の記号』


『宇宙の記号』 週刊少年サンデー超2006年11月25日号 p104 後藤隼平

後藤先生のデビュー作。28p。
後藤先生は『ハヤテのごとく!』13話(単行本2巻4話)「Quest of the Avatar」の扉のハヤテが座ってる椅子が
アシスタントとして最初の仕事だったと語っていて(銀塩少年LIVE 6streamより)
その後『お坊サンバ!!』のアシスタントをやってましたが、それの開始が2007年中頃なので、恐らくハヤテアシ時代の
作品だと思われます。


内容的には好きな人に告白する、というだけのシンプルなストーリーですが、これが実に爽やか。
イメージ的には『銀塩少年』のshot3-4辺りの雰囲気だと思ってもらえれば。
ピュアなラブストーリーで引っ張りつつ、「宇宙の記号」という伏線で少しヒネる。
ただ単に雰囲気の良さだけではないのがいいですね。お世辞抜きで面白かったです。
今のクラサン基準だと間違いなく★5つ付けて、個人的には新人王に推すレベルですね。
そして残念ながら届かないとかそんな感じ。


絵の方も、顔なんかは『銀塩少年』のスタート時よりは好みですね。
『宇宙の記号』 p115

さすがに体の描き方はちょっと微妙に見えたりしますし、今の絵と比べればさすがに今の絵の方が好きですけれど。


『ナツメノコイ』


『ナツメノコイ』 週刊少年サンデー超2008年5月24日号 p324 後藤隼平

後藤先生の2作目。40p。恐らく『お坊サンバ!!』アシ時代。
内容的には好きな人に告白して、付き合って、障害が立ちはだかって、最後なんとかなる、といったストーリー。
『宇宙の記号』同様、爽やかなのがウリですね。
クラサン基準ではやはり★5つ付けるような感じですが、個人的には『宇宙の記号』よりは若干落ちますね。


『ナツメノコイ』 p327

まずは絵。顔の輪郭がこの作品では前作に比べて縦長になってます。これがちょっと...ね。
銀塩少年』の連載開始時も割とこんな感じで、今は巻を追うごとに丸くなっていってます。
この辺りは好みなんでしょうけど、個人的にはこの作品が一番好みから外れてます。


次に内容ですが、上に書いた通りほぼ一本調子のストーリー展開です。伏線も何もなし。
さらに問題なのが障害で、何とかなりそうな障害を何とかしてみました、という程度。
正直なところ、読んでて「あれ?これが処女作だっけ?」と一瞬目を疑ってしまいました。
確かに、前作と比べて上達してる部分もありはするんですが。


とは言え、読んでて恥ずかしくなるようなストーリーをストレートに表現する作風は変わらず。
細かい点で不満はありますが、やはりこの作品も面白かったです。


ちなみに、この「サンデー超2008年5月24日号」(GOLDENWEEK号)のラインナップがかなり凄くて、
ゲッサンに連載中の高田康太郎小川麻衣子四位晴果先生、連載終了した鳴海アミヤ先生、
サンデー超に連載中の菅原健二、奥英樹の読切と、次代のサンデーを担う人材の読切がてんこ盛り。
本誌で読切掲載された佐藤五月先生や、クラサンでいつもいい所までいく小野ハルカ先生も描いてますし。
マジでこの号欲しいです。