閂誠の魔法使い指南書



閂誠の魔法使い指南書

閂誠の魔法使い指南書

梧桐柾木
(C)Masaki Gotou/Shogakukan 2009

名声を欲しいままにする最強の家庭教師・閂誠。彼が突然連れてこられたのは、何と魔法世界。おちこぼれ少女が、成績を上げるために召喚したのだった! 閂誠は、異世界でも最高の教師たりえるのか…!? 大型新人が描く、あったか学問コメディー!!

posted with EmbedSunday on 2009-12-20

★★★★★
ノミネートされたら本命となるのはこの作品。『神のみぞ知るセカイ若木先生のアシ。
前作『Francesco』のレビューはこちら
前作は全般的にごちゃついた点がマイナスでしたが、内容(特に構成)が素晴らしく、点数付けたら間違いなく星5つでした。


絵柄に加え、キャラも主人公が桂馬、ヒロインがLCを彷彿とさせるように若木先生の影響を多分に受けてる気がします。
試験のシーンも若木先生アシ、小嶋武史先生の『ドラゴンジョッキー』に若干似てるかなぁ、という気もしなくはないです。
まぁ、パクリというレベルではないので問題はないんですが。


最大の魅力はカタルシスが得られることでしょう。
『閂誠の魔法使い指南書』 p36-37 梧桐柾木

ライバルキャラの罵り方が良いので対抗意識が沸いてきますし、それが故に感情移入もし易くなってます。
起承転結の付け方も完璧。


『閂誠の魔法使い指南書』 p31

このコマを切り取っただけでも伝わるような熱血も描けてますし、ギャグも最後のオチを含めキレてます。


『閂誠の魔法使い指南書』 p15

さらには落ちこぼれを立ち直らせることができる理由に説得力があります。何て私好み。


若干残念なのは、最後のは分かり易さを優先したのかもしれませんが、今よりもう少し詩的、もしくは格言的な表現にすれば
もっとファンタジーっぽさが出たように思います。
『閂誠の魔法使い指南書』 p37

また、前作でも見受けられたことですが、コマがごちゃついた感じがまだ残ってるんですよね。だいぶ緩和されましたけれども。
まぁこの辺りを残したい気持ちも分かりますし、構成考えるとこのくらいの小さいコマにならざるを得ないというのも分かるのですが。
その点を含めて、コマ割りとアングルはまだ発展途上でしょう。
さらに、主人公、ヒロインが桂馬とLCなので描きやすかったという面もあるかもしれません。


それらの面を考慮しても、ここ最近の読切のなかでは『さはらや』と並んでトップレベルでしょう。
連載獲得は時間の問題だと個人的には思います。