The Structure of "M・S DOLLS"



M・S DOLLS

M・S DOLLS - DOLLS』 第7想

菅原健二
(C)Kenji Sugawara /Shogakukan 2009

M・S・Tもいよいよ準決勝!! 相手となる僧&女学生コンビの実力は、果たして…!?

posted with EmbedSunday on 2009-10-20

M・S DOLLS 1 (少年サンデーコミックス)

M・S DOLLS 1 (少年サンデーコミックス)

#7について書こうかと思ってたんですが、話が構造的になってきたのでこのタイトルで。
タッコク!!!』に並んで本誌連載してもおかしくないレベルの漫画だと思います。
個人的に推してるのは『銀塩少年』ですが、あちらはまだポテンシャルを高める時期だと思うので...
こちらの作品は連載に耐えうる漫画の構造をしてると考えるからです。


1)メタ構造
正直メタ構造という言葉を使うと「お前メタ構造と言いたいだけとちゃうんか」と言われそうなのであまり書きたくないんですが、
これ抜きには語れないのでさらっと。
自分の妄想をフル稼働してオリジナルキャラを生み出すという設定は、作者がキャラを作る構造と全く同じです。
「あるSF設定を使って小説を書きたい」→「ハルヒの考えたことが現実になる」
「こういうギャルゲーのキャラがいたらこう攻略したい」→「桂馬がギャルゲーの知識を生かして駆け魂を出す」
設定がメタ構造になってる作品は、作者が考えてることをストレートに生かせる分、非常にお話を作りやすいと思われます。
メタ構造を内包していれば必ずしも良い作品になるとは限りませんが。
第三世界の長井』は、内容の是非はともかくメタ構造を生かせてない点では失敗でしょう。


2)初期の微妙な設定
#2だったと思いますが、「バトルに大した意味はない」「負けるとドールは消える」という設定があったと思います。
メリットとデメリットが全くかみ合わない設定に「こりゃダメかな」と思ってましたが、話が進むにつれて解消されました。
その解決方法とは...



そんな設定は無かったことにしてスルー。



そんなんアリかw
まぁ面白ければ何でもいいんですけどね...


追記:やはりうろ覚えだったために正確性に欠けてました。
『M・S DOLLS』 1巻 p50 菅原健二

バトルに何の意味の無かったのは間違ってないんですが(ただし、この時点では)
『M・S DOLLS』 1巻 p52-53

「負けると消える」ではなく「負けると消える可能性がある」でしたか。
まぁ何にせよリスクとリターンが釣り合ってないことに関しては同じですな。


3)バトルの構造
バトルの構造にも問題がありました。
以前このように書きました

いかにキャラ萌えでファンを引き寄せるかというベクトルに持っていくべきなのに、
逆にキャラ萌えを拒むようなファイトになっているように思います。
B級アイドルキャラに萌える人もいるかもしれないのに、口撃して貶めちゃってるから敵キャラのファンもつきにくくなるし、
B級アイドルファンを敵に回すしなw
どうせファイトするなら、例えば何かのシチュエーションを設定して、そこで小芝居やってどっちのキャラのほうがより萌えるか、
というファイトの方が敵も作らないしキャラにもファンが付きそうな気がするんだけれども。
まぁ貶める方向にしても、AではなくBだ!という方向に持ってかないと。

MSファイトでの批判がネガティブなのが問題なんですよね。
#7ではこの点が改善されてます。
『M・S DOLLS』 #7 p14

何故我々はMSF(モーソーファイト)をするのか…
それは相手に
「こいつのドール萌ッ」
と認めさせるのが
目的のハズ。

私が主張していた事と全く同じです。さらに
『M・S DOLLS』 #7 p16-17

小芝居までやってくれてます。
あまりにも自分の主張していた事が取り入れられているので(このブログを参考にしたとは思えませんが)客観的には評価し辛いですけども、
個人的にはこのバトルを基本的なフォーマットとすれば良いんじゃないかな?と思います。


ただ、自分がまだ甘かったなーと。
『M・S DOLLS』 #7 p28

批判というのはボケに対するツッコミに近いので、オチを付けるにはどうしても批判的なセリフが必要になる場合があります。
今回の属性は「幼なじみ」でしたが、ツッコミが属性批判ではなく、属性を貫ききれてないキャラへの批判になっているんですね。
これだと「幼なじみ」属性に萌える人に対するネガティブな批判にならないばかりか、むしろ共感を持ってもらえるツッコミになります。


「まぁ貶める方向にしても、AではなくBだ!という方向に持ってかないと。」と書いたのは結果的にこの方向性に近いのですが、
今読み返すと何のことやらさっぱり分かりませんなw
こちらの意図としては、例えるなら
「パンチラ要求するのはMSファイター失格だ!なぜなら、絶対領域の向こうにあるパンツを妄想してこそMSファイターだからだ!」
といった感じ...やっぱり伝わらないかw
属性ファンに対するネガティブな批判ではなく、より高い理想を示したポジティブな批判をすべきだ、という様な事が言いたかったのですけども。


『M・S DOLLS』 #7 p26-27

毎回このパターンを踏襲する訳にはいかないでしょうが、この誘導尋問は上手いですな。
相手のキャラの詰めが甘いところを小芝居で探る、という展開は使えると思います。というかその方向でお願いします。


4)本誌連載に向けて
もし仮に本誌へと移籍した場合には、大会のフォーマットをもう少し考えて欲しいなと思いますね。
というか大会で優勝した時の賞品が何か忘れてしまいましたが
追記:そのマスターのドール属性が来年の流行萌えに決定する、らしいです。
いっそのことこれもメタ構造にしてしまって、
初めの大会→クラブサンデーでドールが主人公の漫画が連載
次の大会→本誌連載
最後の大会→アニメ化
とかすりゃいいんじゃねーかなぁと思います。
展開も『神セカ』のように起承転結の4話構成を基本としたプロットにするとか。
まぁどうでもいい話ですけども。