MAGI #11-12

絵には定評あると思いますが、この見開きは素晴らしいですね。
『マギ』 #11 週刊少年サンデー2009年37号 p1112-113 大高忍

アシスタントさん大変そうだなぁ。
ダンジョンの入り口でもそれなりに凄い感がでてたんですが、これは本当によく頑張ったと思います。
このクオリティを各ダンジョンで出すつもりなんでしょうか...いやはや本当に大変そうだ。
ファンタジーですから、ある程度雰囲気が重要ですし、これくらいの描写は必要でしょう。
アシスタント雇う余裕があまりない『ジオ』は、これと同列に扱うのは酷ですけれども。


一応前回書いた予想、「リドルがフェイクで、あえてトラップに当たるのが正解」は当たりでしたね。珍しく
『マギ』 #11 p105-106

まぁある程度読者に予測がつく塩梅で伏線張ってるからこそ予想が当たった訳で、伏線張った作者が偉いだけの話ですが。
簡単すぎると意外性がなく、難しくしようとすると読者や作者の理解できる範疇を超えたり、あまりにも読者の意表を突こうとして
後だしジャンケン気味の設定でミスディレクションを誘おうとすると面白くなくなるので、こういう謎ってのは難しいんですけれども。


『マギ』 #12 週刊少年サンデー2009年38号 p148

と誉めた後に貶すんですがねw
「実は王族でした」という設定自体には異論を唱えません。
あまり父親が偉いから息子も偉いといった血統主義的表現は好きじゃないのですが、実際庶民は喰うだけで精一杯なわけで。
「極めて高度な教育を受けた」と、あくまで教育されたからという表現なのは好印象。
アラジンが今後高スペックである必要も出てくるでしょうから、この設定は必要不可欠でしょう。
ただねぇ。あまりにも唐突に設定が出てきた感が。語学堪能だという描写だけですもんねぇ。
「俺も昔は〜」と喋ろうとして言い淀むとか、何かしら伏線になるような描写があれば唐突な印象を受けずに済んだかもしれません。
過去分保存してないので、ひょっとしたらそういった描写があったけど見落としてた、なのかも知れませんが。


剣術のシーンが出てきて、残念ながら細かいところでのミスが目立ちます。
格闘漫画を描いてただけあって迫力はあるのですが、この辺りの知識はまだ無さそうですから担当さんが頑張る必要あるでしょうね。
『マギ』 #12 p142

このコマだけアラジンもジャミルも左手に刀を持ってます。まぁこれは単純なミスですが。


『マギ』 #12 p140

ジャミルは問題ありです。
中東設定なのに突き主体のフェンシングを習ってるって辺りがまずおかしいです。
どのように武器が発達していくかは、どのような防具が発達していったかによります。
西洋では、刃物はプレートメールやチェインメイル着ている相手には効果が薄いので、
その隙間を狙えるような武器(エストック)、もしくは打撃に頼る武器(メイス・ウォーハンマー)が発展したという経緯があります。
中東ではチェインメイルや金属鎧はあまり進化しなかったので、切るのに適したシミターやシャムシールのように湾曲した刀が主流でした。
鎧があまり重要視されなかった原因は分かりませんが、恐らく気候でしょうね...


フェンシングは鎧の重装化が進んで突く技術が要求された後、銃の時代になって軽装備の時代になり、
決闘などの騎士道精神の象徴とレイピアが生まれ、それに伴う技術として発展していったものです。
一応サーベル系は突くことはできますが、基本的には斬る武器です。
突き主体になると湾曲が穏やかになるので、そういう意味ではあまり湾曲してないタルワールを持ってるのは理に叶ってますけど。


タルワール自体もおかしいです。ガードが下になるように持つのは合ってますが、この場合上へ湾曲しつつ刃は下に付いてないとおかしいです。
これはファンタジーだからと言って誤魔化せる問題ではありません。
振り下ろす時と下から振り上げる時、どちらがより力が入るかを考えれば、どちらに刃が付いてるのが正しいのか?という問題ですから。


とまぁ細かいことに突っ込みましたが、全体的に見ればかなり面白いと思います。
何にせよ、領主様を鬼畜から小物へという描写の変化はカタルシスが得られる良い展開。
『マギ』 #12 p146

相変わらず色気のある描写ができるだけに、ほんの少し、5%程度でいいですからお色気描写出してほしいですね。
『すももも』初期のようなお色気全快には絶対して欲しくないですがw
モルジアナが仲間になれば、そういったシーンも多少出てくるのでしょうかね。