神のみぞ知るセカイ 5巻

神のみぞ知るセカイ 5 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 5 (少年サンデーコミックス)

へっきーも買ってるみたいですね。若木先生に誰か報告したのかしら。

神のみ買わないと!4-5巻とペース速くて嬉しいわ。
氷川へきるのブログ 2009年07月15日

それはともかく。
純編に関してはかなり批判的なことを書いているので、好きな人はその手前で読むの辞めることを薦めます。


#42 インターバル(LC日常)
定例報告会を使って、日常の解説をさせてる辺りはいい演出だと思いますね。
誰かに尾行させて解説入れつつ日常を描くってのはよくあるパターンではありますが。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p4 若木民喜

需要高そうなLCコスプレ姿の4段ブチ抜き。
この他にも可愛いLCてんこ盛りでLCファン大満足なんでしょうねきっと。


純編でも出てきますが、注目はちひろ達のバンド「2B PENCILS」の伏線を張ってることでしょう。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p104

mobキャラで昔攻略したキャラを出すのはファンサービス的にも嬉しいですな。
そしてみやこが攻略キャラになる日は来るのか?学園際で再登場するのは確定してるので楽しみです。


個人的に演出面ではこのシーンが好きです。というかツボです。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p113

桂馬との思い出をビジュアルとして表現。アルバムめくってってのはよくありますけれども。
まさに「妹の品質示すBMW」のMです。
神のみぞ知るセカイ』1巻 p80

この画像貼るの何回目だろ... まぁそれだけ重要だってことです。
キャラってのは最初はパーツやテンプレ的な性格を寄せ集めた記号ですが、こういった思い出が募ってキャラになるということですね。
詳しくは以前紹介した現代視覚文化研究のインタビュー参照
人間関係も会う回数が少ない人ならone of themですが、回数重ねるごとにonly oneに...って、そんな話はどうでもいいですね。


私が知ってる中では『ガチ☆ボーイ』に似たような演出があります。他の作品でもありそうではありますが。

ガチ☆ボーイ trailer

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『神セカ』は攻略が終わると攻略対象の記憶が消えますが、『ガチ☆ボーイ』も記憶が消える内容を扱ってます。
「自分の記憶に残らなくても みんなの記憶に刻んでやれよ」とか、みなみ編の決め台詞と微妙にシンクロしてます。
基本的には『神セカ』読むために必要なネタという訳ではないですが、面白い映画なんで観て損はないと思いますね。
超映画批評でも85点取ってますし。


#43-46 九条月夜
一般的には評価が低いというよりあまり話題に上らないといった感じですが、個人的には評価高いです。
キャラ萌えしてるからではないですよ。個人的な趣味で言えば月夜は全く刺さりませんし。
まぁ全般的にあまりインパクトがないのは否定しませんが、











神のみぞ知るセカイ』5巻 p117

よっきゅんだけはインパクトありすぎですなw
元ネタはいたる絵だと思いますが、まぁいたるの人は喜びそうですね。


月夜編、構成的には起承転結かっちりと決まってますし、
仲良くするためには手助けするしかないけど、手助けするとスキマを守るというジレンマも上手いです。
逆に言えば突っ込みどころがあまりないので、あまりコメントすることないんですが。
キャラ的にもだっこのデレっぷりや入浴シーンあたりでファンが付きそうではあります。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p148

月の描写も、アシスタントさん頑張ったなーと密かに感動します。
重箱の隅を突くなら、飛び降りるシーンで落ちる時間あんなに長くないだろ、ってとこくらいですが
まぁココに突っ込み入れるのは野暮でしょう。演出ではよくあることですし。
もう一点。
サイズが小さくなったと錯覚させてるシーンですが、桂馬とのサイズ比は変わらないわけで、ここに矛盾があります。
これはパニック状態なので気づかなかったという解釈でいいでしょう。
落ち着いたら気づくでしょうが、だからこそいずれバレるという言い方してるんでしょうし、
ひょっとしたら桂馬のサイズも魔法で大きくしてるのかもしれません。


何にせよ純編がgdgdだったので、この後どうなるんだろと連載時には本気で心配しましたが、このシリーズで心底安心したのを覚えてます。


ああ4コマの二つ目にみやことちひろでてるの見逃してました。


#37-#41 長瀬純
かなり批判的な内容が含まれてますので、そういうのが気に障る方は読まないことを薦めます。
長文読むのタリーな人もスルーするが吉です。
自ら進んで不機嫌になる必要なんてないですよ。








4巻掲載の#36が導入部で、その続き。
全6話構成は今までで最長ですが、その分中身が濃かったかと言われると微妙。個人的には一番評価の低いシリーズですね。
最大の要因は構成がgdgdなこと。
スレで賛否両論分かれてるという話だったので久々に目を通してみましたが、結構似たような感想持ってる人いるみたいですな。
1話1話見れば割としっかりしてるんですが、通すとどうしても微妙な印象が付き纏います。
どのくらい加筆修正されたのか分からないので、修正された分単行本で読むと1話1話はしっかりしてるのかもしれませんが。
この辺りの評価はもうさんの修正記事待ちですね。


導入から教師ルート脱出、互換的な攻略法と試行錯誤をしてる前編#36-38は平均的な出来だと思うんですよ。
あくまでこの漫画での平均ですけど。要するに面白いってことです。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p4

密かにここでもちひろとみやこが登場。連載時は詳しくチェックしてなかったので完璧に見落としてましたがねw
同級生以外でも再登場してくれてもいいのになぁ。
個人的には楠押しですが別に他のキャラでも構わないです。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p12

ゲームに例えての状況説明。絵だけでも伝わるようにしてる辺り上手いなーと思います。
セリフ抜きでも伝わるようにするのって、案外難しいと思うんですよね。
まぁ漫画描いた事ないからあくまで想像ですが。


神のみぞ知るセカイ』5巻 p34-35

この辺りは実に良いですなぁ。桂馬には怒りと寂しさ、純には驚きと悲しみが出てます。
理想を追い求めるという点で共通していると思ったのに裏切られた、ってことですかね。


ここまでは純の笑顔も好印象ですし、小ネタも良い感じで入れてます。
ちひろ編にも月夜編にも言えることですが、一度攻略方法を断念してるのも良いです。
逆にみなみ編は失敗がなかったので、多少ご都合主義な印象を受けました。


問題はステップでの攻略に変更してからの#39-41。
#39は二階堂先生をステップにしようとする過程と、純が熱血すぎて生徒に引かれるシーンを同時に描写。
個人的に二階堂先生がツボだというのを除外しても、これ自体は悪くないと思います。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p41

前に言った通り、先生 生徒の上下関係は強固だ。短期間で対等になるのは難しい。
そこで、この学校の先輩だった二階堂と関係を作って、その力で対等になる!!

問題は、いかに純との立場を対等にするかを目的にしてるのに、いつの間にかそれが反故にされてること。
反故すること自体は構わないんですけど、説明が無いのがね。
上のページも理論を絵で分かり易く表現してるの点では好印象です。
二階堂先生が桂馬に踏まれて怒ってる方が面白いかも、とは思いますが。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p42

まず、このセリフが引っかかります。
目的は対等な関係だったのに、いつのまにか情報収集に置き換わっています。
「攻略じゃなく」というのは二階堂先生が攻略目標ではないという事でしょうが、紛らわしい表現だと思いますね。
前のページを受けるなら、こうした方がいいと思います。
「ここの目的はこいつの攻略ではなく、ステップを作ることだ」
ただ、これだと
神のみぞ知るセカイ』5巻 p46

このセリフや、後の展開とかみ合わなくなります。スムーズな情報取得は削らない方がいいでしょうね。
「ここの目的はこいつの攻略ではなく、ステップを作ることと、スムーズな情報収集だ」
まぁ、情報を得るのに越したことはないですし。


結局二階堂先生をステップにして純と対等な関係になるという攻略方法を明示しながら使わなかったのにも関わらず、
それに触れていないのも問題です。
その前の教師ルート回避、互換性フラグはちゃんと失敗したと明示してますし、ステップだけ明示してない理由が分かりません。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p51

一応、「ステップどころかパシリにされてしまった」とは書いてるのですが、「もっとすんなり話せよ」の替わりに
「せめて何か攻略の糸口になる情報を出せよ」とでも入れた方が良かったんじゃないかなぁと思います。
これだと、バスケ部の休部という情報を得たので、ステップを利用しなくても攻略できる方法が見つかった、となるんですが...
かなり読み込まないと、こういう解釈に辿りつけないように思えます。


神のみぞ知るセカイ』5巻 p56

こちらはあまり突っ込まれてないような気がしますが、バスケ部が全国大会優勝ってのもちょっと引っかかりますね...
まぁ重箱の隅なのかもしれませんけど。
第39回って書いてるということは、ウィンターカップを念頭に置いてるんですかね。
全国優勝できるレベルのクラブが休部になったらOBやら教師やらが黙ってないと思いますよw
不祥事なら話は別ですが、普通に考えればそこまで追い込まれるまでに先生が主将の純を解任するでしょう。
県大会優勝レベルならまだ可能性は0ではないかもしれませんが。
そもそも、これほど学校に負の遺産をのこした生徒なら、このことが学校で話題にならない事自体がおかしいですし
話題になるが故に教育実習生としての受け入れを学校が拒否しますって。


神のみぞ知るセカイ』5巻 p53

ただ、このセリフはいいですね。
二階堂先生からあっさり情報を得てもシナリオとしてあまり面白くないのでここまで引っ張ったんだと思いますが、
なかなか情報が出なかった理由になりつつ、桂馬の慧眼を表現しつつ、どういう話があるのか想像する余地があります。


#40はプロレス観戦デートと舞島マラソン強制で教室から飛び出すところまで。
扉絵で今まで出てきたキャラ総出演なのは良いですね。しかも連載時はカラー。
楠がチャイナドレスなのも何気にいいですわ。


上手いことダブルブッキングする様は少しご都合主義な感じがありますが、LCが何か色々頑張ったらしいので許容範囲でしょう。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p44

ただ、#39で純が持ってるクリアファイルの中にチケット描いてたら伏線になったのに...惜しい、と思わなくもないですが。
桂馬が注視してるのが表現されているので、チケットの番号まで読めてても不思議じゃないですし。


何より惜しいのがこのデート。
学外で会いつつ、同じプロレスの観客として対等の立場で会うといった、攻略開始時から望んでいたイベントなのにも関わらず
その点に触れられてないことですね。これは言われなきゃ中々気づかないでしょう。
イベントの中身自体は問題ないと思いますが、ここで「明日みんなで楽しめる催し物を発表しようと思ってる」旨を喋ってれば
純が舞島マラソン参加を強制して生徒にドン引きされ、教室を出て行くということを予測しても不思議じゃないと思えるのですけどね。
次の日何言うか分からないのにも関わらず、どうなるか予知できてるのはご都合主義に映るんですがどうでしょうか。


そしてエンディングの#41。
ここまで長々と考察してきましたが、純編での評価が分かれる一番の理由は告白という名の説教タイムでしょうね。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p87

空気を読めずに周りとの温度差が発生してトラブルを起こしてるにも関わらず、「もっと押し付けろ」っていうのはちょっとなぁ(苦笑)
桂馬自信は攻略の為とは言え、先生の理想の押し付けから逃げていたのに、このセリフはないですわ。
嫌な例え方するなら、風俗嬢相手に一戦交えた後「自分自身の事を考えるなら風俗嬢を辞めるべき」と説教するようなもんですよ。


確かに、教師というのは多かれ少なかれ生徒に何らかを押し付けることから逃れられない職業です。
小難しい表現するなら、パターナリズム(paternalism, 父性主義)となります。
教えるという行動自体がパターナリズムなのですが、これが行き過ぎると自主性が育まれなかったり、押しつぶされて無気力になるという弊害もあります。


ジャンボ鶴馬はパターナリスティックではないでしょう。彼はファンに闘うよう強制はしません。
ただ彼の生き様という理想を掲げているだけです。ファンにはその姿に憧れるわけで、自主性が保持されます。
パターナリズムで上手くいかない場合は、理想を掲げて熱意を伝え、生徒が自主的に理想へ向かうよう仕向けるべきじゃないかと私は思います。
この後の演出でも最後にもう一度理想を生徒に押し付けて解決ではなく、生徒が自主的に謝りに来て解決してますし。


言い方を替えれば「やる気パルスの伝達」です。
逆境ナイン』(復刻版)4巻 p86 島本和彦

逆境ナイン (4) (サンデーGXコミックス)

逆境ナイン (4) (サンデーGXコミックス)

セリフを替えるならば


「理想を押し付けてダメならば 理想を掲げて導けばいい!」


くらいが妥当じゃないかと思いますけどね。
次のコマの「他人を気にするな!!」をちょっと替えれば後は問題ないですし、
次のページの「お前は理想を見せなければいけない!!」なんてこのセリフの方がマッチしてます。
押し付けて上手くいかなからって、やり方を変えるのは熱血じゃないと思われる方もいるかもしれませんが、んな事ないです。
逆境ナイン』(復刻版)5巻 p148-150



曲がらなければならない時ってのは、純編に置き換えれば理想を押し付けて上手くいかない時のことでしょう。
押し付けるのを諦めるのではなく、あえて押し付けないことを選びつつ、理想を掲ればいい結果が出る!
これこそが熱血です。日和(ひよ)ってる訳じゃありませんよええ。


ただ問題は、「理想を押し付けてダメならば 理想を掲げて導けばいい!」で若木先生が納得するかどうかなんですよねーw
普段からごり押しパターナリズムな人ですし、この純編でやりたいことは金八先生が念頭にあるような感じです。
ゴリ押さない金八先生ってのも...ドラマ観たことないので分からないですが恐らくないんじゃないかなぁ。
上のセリフならそれなりにクサいセリフ感は残ってると思うんですけどね。

ただ、途中どういう展開になっても、最終話は中学生日記みたいな、往年のクサい学校ドラマみたいなことをやりたいな、と思ってたんです。やっぱりボクも金八で育ったキッズなんで、教師もので相対論的終わり方はナシだな〜みたいなことは思っていて。
::HoneyDipped::2/24:FLAG41「いつも心に太陽を」

この漫画、毎回「告白シーンが説教臭い」と批判されるのもパターナリズムなのが問題ですね。
「男は真剣になると説教する」とオタキングも言ってますが、それだけ真剣なのは確かです。


とまぁ、かように(?)批判的な意見が出ているなか、逆にこのシリーズを評価する声も聞かれるます。
この理由は純の心のスキマが共感できるものだからでしょう。
誰しも自分と周りの温度差に気づいてがっかりする時はあると思います。中には台風起こしちゃった人もいるでしょう。
(参考:『かってに改蔵』11巻「秋の嵐」)
月夜の評価がそれほど高くないのも、スキマが共感しにくいものだからってのもあると思います。
理屈で読んでるとアラが見えるので男性には評価が悪く、スキマが共感できるから女性には評価が高いというジェンダー(社会的性差)
が現れているんかもしれません。
こればっかりは想像の域を出ることはありませんが、ブログを参照したら大人からの反響が多かったみたいですね。
男女比が気になります。

余談ですが、今回の話、いつになくメールを色々もらいました。長瀬へのシンパシーを感じたという人から。しかも、少年誌なのに、大人からばっかりですよ!どうもありがとうございます。またこのマンガはたして少年が読んでるのか心配になってきた。
::HoneyDipped::2/24:FLAG41「いつも心に太陽を」


色々と批判的なこと多目で書いてきた純編ですが、ことエンディングの手順に関しては今までの中で最高の演出でしょう。
先にも述べたように、純が教室出て行くのを予測してたって辺りご都合主義な感じもしますが、この演出のクオリティなら目を瞑れます。
神のみぞ知るセカイ』5巻 p91-92

桂馬の策略、LCの扇動があったとは言え、生徒が自主的に行動して和解する。
歩美とちひろの再登場させ、なおかつ彼女らを言いくるめておくのではなく、
予め会話をしておいて庇ってもらうように仕向けるといった演出は文句なしですね。
LCが律儀に500も指折り数えてるのも、キャラの誠実さが伺える素晴らしい表現だと思います。
LCの特殊能力(?)、人間界に溶け込むを使ってるあたりもいいです。


あくまで個人的な評価ですが、純編は修正箇所こそ多いもののベクトル自体はわずかなもので
かなり良い、ひょっとしたらベストなシリーズになっただけに、残念という他ないですね。