ゲッサン0908

個人的な評価は


◎ アオイホノオ マコト 月の蛇 海堂
○ あずまんが リンドバーグ 信長 アサギロ
× よしとお エルパラ 長井 ポリスワン おとめ


No.1海堂
タッコク!!!』のような魔球漫画。
バカ+熱血+お色気をフレーバー気味に。勢いもあって完璧じゃない。
下手に媚びを売る必要はないと思います。色気は2〜3シーンに留めて、バカ+熱血でこのまま突っ切ってもらいたい。


(追記)書かなくてもいいかと思ったけどやっぱ書いておくか...
ごくごく些細な点ですが批判したい点が2つ。


プリティーフォームの初出コマが左上にあるのが惜しいです。
ここまでおいしいネタならページめくってすぐのコマに無理矢理でもすべき。
強調したいコマなので大きく描くのは当然ですが、それが故に右側読んでる段階で視界に入り易くなり、ネタバレする可能性が高くなります。
『No.1海堂』 #2 ゲッサン2009年8月号 p29 鳴海アミヤ

珍妙なポーズで意表を付いて笑いを取るパターンなので、上のような解説の絵もなるべく全体のポーズを想像しにくいような絵、
できればミスディレクションを誘うような角度からの絵にした方が良かったと思いますね。
左上と左下である程度予想が付いてしまいます。


ポーズはおいといて」も、天丼するならもう一度重ねた方が個人的には好みです。
「ちゃんとドリブルしてる!! ポーズはおいといて、物が乗ってる手応えが全くなかった!!」とか。
天丼はしつこくやってこそ(4回くらいが限界でしょうが)面白いんだと思うんですよ。


ハレルヤ オーバードライブ!
前回も同じ事を書きましたが、悪くはないんですよね悪くは。
ただ、良いか?って言われると...
これまた前回と同じですが、メリハリの部分に難点の一つがあるのかも。
どーも『はじあく』同様の、こじんまりと纏まってる印象を受けます。それだけ基本的な事は出来ているということでもあるのですが。
例えば起承転結はきつちりつけてたりとか、キャラの個性を出そうとする工夫だとか、メリハリも構図に限っては付いてるんですよね。


今回足りない点は、あの珍妙なギターを「初めて買ったギター」という情報だけで済ましてるところだと思います。
『賢者の贈り物(The Gift of the Magi)』というお話がありますが(嫁が黒髪を売って時計の鎖を、ダンナが時計を売って櫛を買う話)、
いかに黒髪や時計が大切なものか、という詳しい描写(プラス貧乏)があってこそあれが ( ;∀;)イイハナシダナー になるように、
もう少し掘り下げないと同じような経験がある人以外は共感してくれないと思うんですね。


例えば。
小雨が店のショーウィンドーで初めてあのギターと出会った時の感動、小遣いを貯めてようやく手に入れた時の喜び、
夢中になって練習して、少しづつ演奏できるようになった時の楽しさ
意を決して告白するもフラれ、ギター抱えて一晩中泣いた時の悲しみ...
こういった回想を入れて、いかにあの珍妙なギターが小雨にとって唯一無二の存在かをアピってこそ、
河原からギターを売る決意をするシーンに重みが増すんだと思います。
あのシーン自体は良かったと思いますが。
『ハレルヤ オーバードライブ!』 #2 ゲッサン2009年8月号 p102 高田康太郎

「ギター売ります」のコマも、片手にギター持って差し出すようにした方が良かったかなーとも思います。
ギターを手放すことを絵で表現できますし、格好いいセリフに珍妙なギターというのがギャップ萌えですよ!(違うか)
『ハレルヤ オーバードライブ!』 #2 p95

当然バランスを考慮すれば、ギターについての回想を入れたのならばメタりかに連れて来られてからの回想も
一コマでさらっと流す訳にはいかないでしょう。
訳も分からず部室に拉致されたこと、演奏が始まった時の衝撃、楽しそうにドラム叩くハルの笑顔。
メタりかが潰れた時の、ハルの悲しそうな顔を想像させるのもアリでしょう。
どちらも大切なものだという表現を丁寧にした後、ハルの顔を見て、ギターに「ごめんな」とか呟いた後に
「ギター売ります」と決意させれば、もう少しグッと来たかなぁと思うのですがいかがなもんでしょう。
 

メリハリと言うより、『神セカ』で言うところの「記号からキャラへ」の方が正しいのかもしれません。
神のみぞ知るセカイ』 1巻 p80 若木民喜

単なる情報(記号)ではなく、いかに想いを乗せるための工夫をするか、といったところでしょうか。


この批判が作品に活かせるような内容かどうかは分かりませんが、今後の活躍には期待したいところです。


あずまんが大王
なんか、1p目がよみに見えないんだけど...こんな顔長かったっけ?
それは置いといて、相変わらずの安定感。ただしちょっぴりへたり気味の印象も。
まぁお勤めご苦労様という感じでしょうか。


QあんどA
アオイホノオ』#13 島本和彦


月の蛇

昔のベイビーステップを「ぐっと構えてサッと引いてパーン」の「パーン」の部分しか描いてないから描写がワンパターン、
といったような事を書きましたが、こちらもその傾向が。とどめの前だけだもんな引いてるシーン。
懐に飛び込ませるシーンももう一工夫というか、説明が欲しかった。
「このまま間合いを取って戦うのも悪くないが、面倒だな… さて、どうやって奴の動きを止めようか」
とモノローグで書いてくれたらもうちょっと印象が良かったかもしれない。
とは言うものの、悪くは無い感じ。

前回このように書きましたが(正確には「スパーン」です)、今回修正されてますね。
『月の蛇』 #3 ゲッサン2009年8月号 p140 中道裕大

左上のように引いたコマがあるから、格闘に動きというかリズムが出てきたように思えるんですがどうでしょうか。
解説も今回丁寧になった印象を受けます。これがまた非常に良い感じ。なんで前からやらんかったんだろ?と思いますね。
『月の蛇』 #3 p159

こう言い放った後、素手で格闘とか漢気溢れまくりで格好よすぎです。
そしてお嬢様が止めを刺すシーンも素晴らしい。
ただ強い者と闘うことを欲するロマンチストの趙飛虎と、復讐を果たすためリアリストに徹するお嬢との対比を表現。
また、石造の叩き割り方で得物の違いを表現してるのも上手い。
少なくともこの3話目に関してはパーフェクト。
呉用が出てきたので、戦略面でも面白さを出してくれたらさらに良い感じになりそうです。


アオイホノオ
すげぇ。
島本先生の漫画で、コメディも熱血もほとんど無いのにも関わらず面白い! としか言いようがない!
しかし、初投稿で名刺貰ってるんならそこそこ評価受けたんじゃないの?
一概には言えないと思うけど、持込みスレとか見てたら割とそんな感じなんだけど...
まぁSA社の某ホーリーさんはネーム見る前に渡してるから、当時は名刺渡すのが普通だったのかもしれないですが。
その辺りフォローしてくれると個人的には有難いなぁ。


アサギロ
首ちょんぱ、よく通ったなw
でもって村上殿が格好良すぎだわ。
それはともかく、常識外れな行動を起こしてトラブルに巻き込まれるタイプの漫画ですが、
今でも常識になっている非常識ではなく、当時としては常識だった規律に抵触する内容で通してるあたりが好感持てます。
これなら読者が主人公に対して反感を持つこともないですしね。


×第三世界の長井
まだリハビリ中か...私は半ば諦めましたわw
かすかな期待だけは抱いてますが、何が足らないんだろう。
ファー様のジタバタ感のようなものなんだろうか。


信長協奏曲
意外とカラー上手くてびっくりしたよ。
アサギロ同様、常識外れな行動を起こしてトラブルに巻き込まれるタイプの漫画ですが、
こちらは今の常識を持ち込んだら当時としては非常識だったという違いはあります。
読者が主人公に対して反感を持たないのは同じですな。
うつけ者だという設定を今の常識昔の非常識とリンクさせるという設定を作った時点で勝ちです。(何に?)


×よしとおさま!
路線転換なんでしょうか、人情メインで来ました。おかげで前よりはマシになってはいるんですけど...
good!アフタヌーンで連載が始まった『モチモチ』が本来進むべき方向だったように思います。
設定だだ被りなだけに、比較するとどうしても、ね。


×おとめジェノサイド
GET THE SUN 新人賞準グランプリ作品ですが...
アオイホノオ』#14

「こんな作品でも受かるから、GET THE SUN新人賞は狙い目って感じがする」と思わせようとする編集部の策略か?
穿った見方をしてしまいますねw
絵はまぁアレはアレで味があるとして、ストーリー展開が全くアレなのでアレな感じです。
若さ故の伸びしろはあるでしょうから、誰かのアシしつつ地力を付けていってもらう方向でしょうか。


×ここが噂のエル・パラシオ
前回◎付けたこともあり、かなり期待してたのですが...悪い意味で裏切られました。
色気に関してはあまり増やせと言わないタイプの人間ですが、この作品に関しては増やした方がいいと思いますね。
試合始まればフツーに入るんでしょうけど。
前回並みとは言いませんが、アレの半分くらいは必要なんじゃないかなぁ。出し方自体は悪くないんですが。


問題は桜花のキャラ描写ですね。
エル・パラシオとスペイン語なので、恐らくルチャをやるからヒールは必要だろうという事でああいうキャラにしたんでしょうが、
『アサギロ』『信長』とは違い、今の非常識をそのまま描いてるだけに、読者から反感を買いそうです。
そういう演出ならアリですが、単に人気が下がる表現にしかなっとらんように思います。
肉屋は問題ないですが、喫茶店がねぇ。
ここが噂のエル・パラシオ』 #3 ゲッサン2009年8月号 p543 あおやぎ考夫

こりゃ強迫じゃなくて脅迫じゃないですか。単に犯罪者ですよ。
少年を助けるシーンも突っ込んだ後に1枚だけ買ってもらうという描写があれば...


「人に押し付けて、券さえ売れればそれでいいんですか?
 何のためにプロレスをやるんですか。客に楽しんでもらう為にやってるんじゃないですか!」
と叫びたくなりましたよ。
普通の人はもっと沸点高いのかもしれませんが、個人的には正直、不愉快です。


マコトの王者
これ、やっぱり素晴らしいわ。
ザッピング的手法を最初に採り入れたのは誰なのかは判りませんが、昔『ケインとアベル』という小説があってですね。

ケインとアベル (上) (新潮文庫)

ケインとアベル (上) (新潮文庫)

全く異なる境遇の人間二人がやがてライバルになっていくという過程を、各々の視点から描き、やがて交差していくという
恐らく画期的な小説だったんですが、主人公二人の境遇は違っても、ほぼキャラが被ってたという点で残念な小説でした。
この漫画は、キャラを正反対にすること、そこからさらに意識を入れ替えるというSFを入れることによって、
よりザッピング的手法を意味のあるものにしています。
意識が入れ替わる設定自体はさして目新しいものではないと思いますが、互いの長所で互いの短所を補うという演出の上手さは
「ホンマにこれ新人か?だれかゴーストで原案出してるんじゃね?」とさえ思います。
まぁ、面白ければ何でもいいんですが。
ここまで来れば本物ですな。たまにデッサン狂ってるのが相変わらず玉に瑕ですがね。


リンドバーグ
ジャンプして、飛ぶシーンにもう一工夫欲しかったように思います。
一旦自由落下に入ってないので、高い所から落ちる時の危機感が希薄です。
見開きも壁スレスレのギリギリ感があればもう少しスピード感も出たと思うのですが。
とは言え、相変わらず雰囲気がGood。今後の展開にも期待が持てます。