ベイビーステップ #75

素晴らしい


何が凄いって、まず6-0と完膚なきまでに敗れたのにも関わらず、面白くかつ悲壮感が全く無いというのが。
ジャンプの三大テーマ『友情・努力・勝利』ってのがありますが、単なる勝利の連発では厨二病感漂いますし、努力の必然性が無くなります。
かといってあんまり負けが込むと悲壮感が漂い、達成感が得られないので短気な読者には敬遠される恐れがあります。
なので、普通の漫画では敗戦と勝利の塩梅に気をつける必要が出てくると考えられます。

その敗戦を、自分のテニス向上のヒントと捉えるポジティブさ。
これがあるからこそ、たとえ負けても読者に我慢を強いることもなく、敗戦をきっちり描けるからこそ勝利での達成感が増す、と。
こういう演出をする漫画が全く無い訳でもないですが、確実にこの漫画の強みだと思いますね。
まぁこの点は以前から備わっているんですが。


これも以前から備わってる長所ですが、試行錯誤してるのが非常に良いですねぇ。
物凄く頑張ったという単純な『努力』だけではないですし、結論にも説得力が増します。
そして、必ずではないですが試行錯誤の過程での失敗を笑いにもっていくところも。
今回はサーブ&ボレーでの失敗でしたが、以前もサーブ打つ前に動いて大失敗ってのがありましたね。


「上のレベルになるとウイニングショットが」云々のくだりがあったので、その傾向は出てくるのかなと思ってましたが、
「ボールの重さ」と来ましたか。これって荒谷のパワーとどう違うのかイマイチ分かりませんが。
まぁいずれ種明かししてくれると思うので楽しみにしてますね。


逆に、以前この漫画の欠点として挙げたのが、試合のシーンでの動きの単調さ。
まるで「ボールの軌道は全て描かなければならない」という縛りでもあるのかと思うほど。
おかげでどういう配球だったのかは伝わりやすいんですが、その代わりにポーズが「グッと構えてサッと引いてパーン」のうちの、
「パーン」がほとんど。ポーズが単調になってしまう欠点がありました。
相変わらず1〜6巻が帰ってきてないので比較しにくいですが、印象としてさらにボールの軌道を描くシーンが減り、
ポーズの単調さがより薄まった気がします。

例えば今回のこのラリー。以前ならもっと軌道を描いていたでしょう。
ベイビーステップ』7巻p15-16

このシーンまだサーブの構え、リターンの動作のみのカットがあるだけまだマシですが、昔はもっと極端だったような。


まだ多少改善の余地はあるのかもしれませんが
(身体のひねりの表現、コマ送り分身的なシーンを入れる、とか? まだはっきり分かりませんが)
この欠点はほぼ解消されたと見ていいのかもしれません。
個人的な趣向丸出しでさらに要求するなら、あんまりテニスの試合見ないので実際どうなのか覚えてませんが、
サーブの前とかで選手の癖とかが結構出てたような気がします。そういう演出を見せて欲しいですね。
性格が現れてるようならさらにGood。
やたら髪の毛触ったり、ラケットくるくる回したり、サーブ前にラケットの上でボールを跳ねさせたり、とか。
今まであった描写はせいぜい難波江がポイント落とした後に軽くへこみ、その後深呼吸する、とか、
宮川が休憩中にこぶ茶&梅干とかくらいだったと思います。荒谷イライラ大作戦の際のガット調整もあったか。
そういうのも魅力の一つだと思うのですが、どうでしょう。
あんまりアンケートに響く気もしませんがね(苦笑)