銀塩少年 #1

久米田先生の弟子のレーシック火田先生の弟子に当たるという意味でも無視できない作家。
まぁそもそも登る山が違うので久米田先生とはあまり関係が...いやルートパラダイスという黒歴史があるか。


レーシック火田先生ブログに感想書いたら自主的に見に行くという恐ろしい事を書いているので、念のため本当に見に来た場合を考慮して。


見ないほうが良いですよw 
励ましの文章を書いてないというより、気を悪くするような事しか書いてませんから。


と、予防線を入れたところで。









どーでも良いかも知れませんが、銀塩≠gelatinなのが気に喰いませんw
折角写真と未来という、どっちも視覚に関係するものを扱ってるんだから、それっぽいタイトルもあったんじゃね?と思いますね。
例えばvisionは視覚という意味と、いわゆるヴィジョン(予見)という意味がありますし、future sightならば未来予知という意味になりますし。
私はブログのタイトル見ても判るように、そういうの考えるのが苦手なのであまり良いのは思いつきませんが。


以前どんな漫画を描いていたのか知らないので比較はできないのですが、絵を見て読みたくなる漫画とまでは言いませんが、
絵だけで読み飛ばされることはほとんど無いと思います。
コマ割りや構図も健闘してるように見受けられます。いくつか(例えばp8下段)のように、あまり利いてない箇所もありますが。


絵に関しては、圧倒的に表情のパターンが少ないのが最大のネックですかねぇ。
声優でも、一つの挨拶を20くらいのパターンで言えないとプロになれない的なことを聞いたことがありますし、
300dpiと100dpiを比べたら違いが明白なのと同様、漫画のポテンシャルに大きな影響が出ると思います。
むしろ心配なのは、この少ないパターンでも漫画が描けていること。
細やかな心理描写をするつもりもない事ですね。
女性は表情の違いで相手がどういう事を考えてるかを察しようとする(と思う)ので、比較的女性層が厚いサンデー系列で、さらに恋愛モノを書くとなるとこれが致命傷になりかねません。


ファインダーの向こうに未来が見える」という設定はそう目新しくないのかもしれませんが、悪くはないと思います。
ただ、またどーでも良いことかもしれませんが、個人的に気に喰わないシーンが二つほど。


幸田さんが女性に囲まれている時には日本語喋ってるのに、マタタキ相手にはフランス語喋るというのは解せません。
挨拶になるとつい...という風に解釈できなくもないですが。
それよりもフィクションの導入の方法に疑問があります。


「SF的なフィクションが一つだけ存在するフィクション」を表す単語の存在を知らないので、仮に「ワンフィクション」と命名しますが、
この手の作品に注意が必要なのは、いかにそのフィクションを読者に納得して貰うかです。


ここでは2パターンに分けてみます、まずは設定として予め組み込んでおくパターン。
例えば『絶チル』なら超能力がある世界、『図書館戦争』なら事前検閲が許される世界という前提になってます。
世の中は広いので「こんな設定ありえねー」と言ってこの段階で読まない人もいなくはないですが、
普通はこの設定を飲み込んだ上で読んでくれます。
もちろん銀塩少年でこのパターンは使えません。未来予知があたりまえの世界を描く訳じゃないですから。


次に、後から組み込むパターン。
例えば『ハルヒ』なら「ハルヒがそうありたいと思ったことが具現化する世界」です。
これは長門キョンに説明して初めて明らかになります。
そして、長門はこのフィクションを知っていても不思議じゃないと納得させる描写が後で出てきます。
キョンが初め「長門は電波か?」と思わせているのもまた読者への抵抗感を薄めます。
神のみぞ知るセカイ』もこのパターンですが、LCは悪魔なのでフィクションを知っていて当然です。
「ワンフィクション」では、フィクションな部分を除けばノンフィクションである必要があるので、
キョンや桂馬その他のリアル側の人間がフィクションな部分を知っているとするのは説得力に欠きます。



銀塩少年 #1 22-23p


銀塩少年ではこのパターンで行くしかないですが、鷹村さんは明らかにリアル側の人間。
フィクションを知っていると納得させる描写は一切ありません。
なのでイキナリ「普通に考えて、未来が見えてるんだ!」と言われても、
「そんな非現実的な。この漫画って電波少年ってタイトルだっけ?どう考えても普通じゃないだろうw」
というように...一般的に受け取られるかどうかは分かりませんが、私はそう思いました。


一応それなりの工夫は見受けられます。
一番初めに未来が見えたシーンでは気のせいとしか思わせてなかったり、
置きビンのシーンで「そういう事ができうる能力を持ってる」ことを印象付けたり、
上に引用したページの後では、主人公はまだこの能力を疑ってたりと。


ただ、やっぱり鷹村さんが電波だという印象しか受けないなぁ(苦笑)
いっそ最初の登場シーンで「やっぱお前写真家目指すべきだよ! そして世界中のUFOの写真を取りまくろう!」
と鷹村さんを長門のような(一見)電波さんにしてしまえば、このシーンでの突拍子の無さは打ち消せますが。
リアル側のヘンな人が言った言葉がたまたま当たった、という事にするわけです。


ただまぁ、それだと鷹村さんが可哀想なので、
主人公のマタタキが「あの鐘の下の場面も、いつか来る未来?」と思った後に
鷹村さんに「いや、冗談で言っただけなんだけど」的な否定を言わせるという手にすればいいかもしれません。
で、「普通に考えて、そんな訳ないよなぁ。でも、もしも本当だったら…」
とマタタキが考えたとなれば、これこそが普通の考えです。
これだとフィクションを知る人間はいませんが、試行錯誤を何度か経た上なら読者も納得がいくと思われます。
まぁ、今更変更できませんがねw


その他のプロット的な内容は、まだ一話なので何とも言えないのですが、
少なくとも最後のページで自分が血を流して倒れているというシーンは衝撃的で、この引きは良いと思いますね。
続きが気になります。