超弩級少女4946

かつて、「きみまる」「えんとっくん」名義で同人誌を出していたってのは公然の秘密、なんですかね?



超弩級少女4946

超弩級少女4946

東毅
(C)Takeshi Azuma/Shogakukan 2009

彼女が欲しくて欲しくてたまらない主人公・飛田マコト15歳。基本的にはいいヤツだけど、全然モテナイ。おまけに背が小さい。そんな彼の前に、ついに憧れの女の子が…!? でもなんか・・・ちょっと・・・アレ!? 夢と感動と衝撃(?)が一緒にやってくる“超弩級”ラブコメディー!!

posted with EmbedSunday on 2009-09-21

タッコク!!!』に続く、サンデー超連載の軸となりうる漫画が遂に単行本化。

アキバBlogでも紹介されましたし、何とか実売1万は行って欲しいところです。
アキバBlogにも取り上げられたことを見ても分かるように、ヒットする要素はあると思うのですが。
とか言いつつ自分は買ってないんですけどね


売りは何と言ってもヒロインが巨大娘だということですが、巨大娘が登場する漫画自体はオリジナルという訳ではありません。
個人的に知っている範囲では『天地を喰らう』の竜王の4女・麗と5女・嵐です。

天地を喰らう 総集編(1) (ジャンプコミックス)

天地を喰らう 総集編(1) (ジャンプコミックス)

天地を喰らう』 1巻 p57 本宮ひろ志

設定としては「竜王の娘は200年に一度、若返りのために若い男の初精を求め、その代償としてひとつ願いを叶えてくれる」というものでした。
要するに精通(性的な意味で)をまだしていない男とセックスするということなので、同じ体格になる必要があります。
天地を喰らう』 1巻 p76

主人公は普通の体格なので、以前述べた『着せ替え型』(主人公に自分を投影し易い)に当たりますが、
相手が小さくなってしまえば巨大娘フェチにとってはちょっと残念な展開です。
天地を喰らう』 1巻 p61

想像するに、巨大なちちしりふとももを愛でたいという欲求を満たしてないんですよね。
巨大娘フェチがこの世にいるのかどうかは知りませんが、
昔『GS美神 極楽大作戦』でおキヌちゃんが人間になった時に賛否両論あったという話を
「椎名百貨店the web」か「C-WWW」で見たような気がするので、『天地を喰らう』でも似たような状況になっていても不思議ではありません。



巨大娘が巨大なままの漫画もありました。成年コミックスですが、ZERRY藤尾の『巨大美少女上陸』です。

SMILE (FUJIMI COMICS)

SMILE (FUJIMI COMICS)

『SMILE』 p9 ZERRY藤尾

サイズ的には4946のまなとほぼ一緒ですな。
成年コミックですので、当然ながらセックス描写が必要になります。
こちらは巨大娘がミクロ化するのではなく、巨大男とセックスする展開になってます。

まぁこの状況で単なる痴話喧嘩するってのが面白いんですけども。
こちらの場合、巨大娘フェチにとっては満足のいく展開ではありますが、『コスプレ型』(主人公に自分を投影し難い)なのが微妙なところです。


超弩級少女4946』はどちらの方法も採ってません。
この作品はワンフィクション...「巨大少女がいる」に関連する条項のみがフィクション設定であり、
後はだいたいリアルに描くというパターンなので、巨大娘がミクロ化することも、主人公がマクロ化することもできません。
いやまぁ元々普通の娘がマクロ化して超弩級少女になったんですけど、ミクロ化して普通の生活を営めるのは勿体無いですしね。
マクロな状態でどう生活してるかを描くのもこの作品の一つの魅力になってますから。


で、この漫画はその辺りをどう表現するんだろ?と興味津々でした。まぁセックスする必要はありませんがね。

以前からこの二人の関係というものが、怪獣を迎撃するストーリーに全く絡まないので
どうしたものか・・・?と悩んでいました。


というのも、
基本ラブコメであるのに、怪獣迎撃という地球レベルの危機が起こり
ヒロインがその責務に就いているのを
主人公が見てるだけしかないってのはどうなのよ?
・・・と思ってたからです


かといって、主人公は多少腕っ節が強いとはいえ、怪獣を倒せるわけじゃないし
倒せてしまったら、それはそれで面白いですけどヒロインの存在意義が
・・・というか、この漫画のテーマの背骨がポッキリいってしまいます


二人の恋愛(?)感情をうまいこと地球防衛と絡めるアイデアはないものか?
ウルトラマンエースで前半は男女二人で変身してましたけどあんな感じで
(でもあれもなんか後半になると男一人で変身できるようになってしまいましたけど)


まなはマコトが好きだからマコトは世話係につけられる・・・
みたいなイメージはあったんですけど
もっとはっきりマコトがまなを助けていることが分かるものはないのか
まなにとってマコトはどういう存在なのか
なぜ彼女の近くにいるのか?
何のためにいるのか?


ただのラブコメなら「恋人同士だから」の一言で済む話ですが、
まなのように特殊な環境にいるヒロイン相手だと
特殊な理由がないと恒常的に行動を共にすることすらできないのです


正直ここのところはかなり悩みました


小難しい設定を作るならいいですけど、なるべくわかりやすくしないといけないし
それでいて戦闘を明確に補助、しかも二人の恋愛(?)感情に根ざした行動


・・・・・そんなん有るか!!!??


と、結構な間悩んでたんですけど
とある人のアドバイスを受けて出たのが今回のネタなのです


コロンブスの卵というか・・・気がつけばそんなもんかって話なんですが
結構苦労しましたw
東毅日記 2009年7月26日(日) 第五話発売です〜

後だしじゃんけんになりますが、私もこの点がネックだなぁと感じてました。
絆が薄かったんですよね。
もちろん「関係の履歴」によってこの絆を強くすることもできますが、
巨大娘という設定が売りの漫画なので、絆にも何かしら設定の裏づけが欲しいところです。


そこで出された設定が素晴らしい。単純明快、強い愛の絆の表現、さらには戦闘時間が制限される理由にもなってます。
超弩級少女4946』 #5 p14 東毅

「俺を喰え!!」
いやー、正直やられました。
確かに単純ではありますが、考えぬいた結果に出されたのは伺えます。
人間の魂が食料で、3分以内なら消化されずに戻ってこれるという設定を加えることによって、
戦闘の緊迫感を出しつつそのリスクを背負うことによって絆を表現。
熱血ですなー。
超弩級少女4946』 #5 p18

ここで愛の告白。いやー凄いぞこの漫画。
何気に左下の口を空けてるコマなんて色っぽくていいじゃないですか。
カマキリのオスは交尾した後メスに喰われるという話がありますが、そんな感じです。
天地を喰らう』のように巨大娘がマクロ化するのでもなく、
『巨大美少女上陸』のようにヒーローに感情移入しにくい漫画でもない。
なおかつ巨大娘がヒロインだという設定を絆に結びつけるこの設定の素晴らしさよ。


女の子が巨大なだけの漫画だと思ってましたが、#5のこの設定によって一気に凄い漫画になったと思いますね。
問題はこの素晴らしい設定を今後どう生かしていくかですが。
その辺り注目していきたい作品です。