神のみぞ知るセカイ#48

主人公が秀才キャラというのはある意味楽だなぁ。

「新しいバディー…しかもおばちゃん!!これは重要な情報ソースだ!」
「バディーは男でも女でも可…しかし悪魔の方からバディーを選べない」
「ゲームじゃああいうおばさんに限ってとんでもない切れ者だったりするんだが…」

読者に印象付けたいことをそのまま台詞として書けるんだから。
とは言え、何の工夫もなしに書いてしまうとあまりにも安直すぎる。
大切なのは知識の範囲を限定しつつ、知らない事に関しては1を知って10を知るような構成にすることだ。


「重要なソース」だとするのは、既にハクアを重要なソースとして扱ってるので自然な流れ。
その時に何故重要なソースかという説明までしてるので完璧だ。

ボクもお前をどうこうする気はない。今ボクが置かれている状況をもう少し知りたいだけだ。
(中略)
ボクはただ…一刻も早くこのゲームから開放されたい。
それには情報が必要なんだ!! エンディングに辿りつくために!!
FLAG.23 地区長、脅迫される。

雪枝さんが切れ者なのは「ゲームでは…」という説明で全て解決。主人公がギャルゲーの神だからこそできる理屈だ。
この理屈はまことに万能。いずれこの辺りはまとめて書いてみたいが...


問題は2つめの「バディーは男でも女でも可…しかし悪魔の方からバディを選べない」。
ネットを見回してみたが、この部分に関しての記述はほとんどないように見える。
しかし個人的には引っかかる。

FLAG.48 彼女彼女の事情


何回読んでもこの会話から情報を収集したとは思えない。
「会話が省略されてるんだから、そこは想像で補え」と言われたらそれまでだが、
バディーは男でも女でも可なのは見れば分かるし(まさかオカマかどうか確認してた訳じゃないだろう)
ハクアがこのおばさんを選ぶわけがない説明が不足してるように思える。
有能ではないからという理由なら、前回で「バディーが無能だから!!」と言ってるのでココで分かる訳じゃない。
ネームいじってる際に抜け落ちたのだろうか?


自分なりに再構成するなら、バディーが男でも女でも可なのがココで分かったのは、
雪枝さんが本当にバディーかどうかを疑ってたからとする。
悪魔の方からバディーは選べないのは、会話の内容からハクアと雪枝さんとの契約の状況が桂馬とLCとの状況に相似しているからとする。
ハクアがこのおばさんを選ぶわけがないと分かったのは、会話の仕方から。


「早くも収穫だ!!
 このおばさんが本当にバディーなのは間違いない。ボクが契約した状況と全く同じだ。
 つまりバディーは男でも女でも可…
 しかも悪魔の方からバディーは選べない。エルシィの時もそうだったし、
 そもそも有能かどうかを気にするハクアがこんなおばさんを選ぶわけないからな…」


このままだと新しいバディーだから訪ねてきたという発言と矛盾するので、
「新しいバディー…しかもおばちゃん!! 本物ならこれは重要な情報ソースだ!!」に変える。
こうすりゃすっきりする。あくまで個人的には、だが。
一般的な影響を考えると、ここまでこだわる必要はないかもしれない。
けれど、若木先生はやれる人だと思うし、このブログではプロット重視で行きたいのでこういう所にはこだわっていきたい。


にしても、雪枝さんは実に味があるな。完璧に大阪のおばちゃんだ。
母親かどうかは分からんけど、身近にいる人がモデルにいても不思議じゃない。
セールスレディという事になってるが、モデルになった人は恐らく○産党員なんだろう。
しんぶん○旗をの配達と勧誘していたと決め打ちするぜ!
さすがに漫画で○旗配る訳にはいかないのでゴクルトになってるが、この設定を使って桂馬が甘いもの苦手だというキャラの再描写をしてるのはGood。


忘れずにLCを一コマだけでも出しつつ、さらに桂馬がLCを気に掛けてる台詞まで入れるのは好感が持てる。
そして、前回以下のような事を書きましたが

メインルートでは3〜6話構成かつ桂馬と攻略キャラとの1対1の関係を描くので、キャラに深みが出せません。
作者の力量云々の話ではなく、あまり色んな表情を入れるとどんなキャラかを把握してもらう前に混乱してしまいます。
なのでキャラ付けはせいぜいツンとデレや、楠のような乙女と格闘家といった二面性が限界です。
しかし、何度も登場するであろうLCとハクアはそれ以上の表現が可能です。
例えばハクアは桂馬に対してはツンデレ、LCに対してはお姉さんキャラといった、相手に応じた役割を演じさせることができます。
言い方を替えればカップリングを通じてキャラに深みを出せます。
今回を見ても明らかにハクアはこのオバハンに対して桂馬やLCとは違った対応をしてるので、この辺りも考えているんでしょうきっと。

「いやいや〜今日のはっちゃんゴキゲンさんやわ〜 いつもブスっとしてるのに……
 きっと桂木さんが来たからやわ。
 はっちゃんはいつも桂木さんのことかっこいいかっこいいゆーてますやん。」
といった台詞や、桂馬がおばさんに対する表情や態度などがキャラに深みを出す演出になっていて、個人的にはとても評価高いです。